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神戸からのデジタルヘルスレポート #21 (Keen/Zomedy/CardioCube/DermTest/EyeMove)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回はその第21回です!
元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)

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1. Keen:手癖・習慣コントロールデバイス

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企業名:HabitAware
URL:http://habitaware.com/
設立年・所在地:2014年・米ミネアポリス
直近ラウンド:Seed(2018年8月)
調達金額:$560k(HAX、SOSV、Institute of Mental Healthなど)

「なくて七癖、あって四十八癖」といいます。普段過ごしている中で無意識にやってしまうクセ、誰しもありますよね。
その中でも、鼻を触ったり髪をいじったり爪を噛むなどの仕草はシーンによっては相手に悪い印象を与えかねません。そんな、無意識にやってしまう習慣をコントロールし、改善するためのトレーニングを提供してくれるのが、米国のスタートアップ・HabitAwareが開発しているKeenというデバイスです。

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このデバイスは手首に装着し、事前に学習させたクセを表す動作が繰り返し現れた時にモーションセンサーが反応し、微細な振動で装着者に知らせてくれます。そうすることで、普段の習慣を最小限に抑えるようにユーザーを支援します。まずは癖に自覚的になることが大切、そのためのデバイスですね。

お値段は、$149.00なので、割とリーズナブルな値段なのではないでしょうか。形や色もスタイリッシュなので、「装着するのが恥ずかしい」とかはなさそう。Bluetooth接続も可能で、スマホアプリから行動記録をみることもできます。普段の生活におけるクセや習慣を直したい一般の方にも使えますし、子供向けにも良さそう。

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おしゃれでいい感じ。
左手にGarminのスマートウォッチを付けているんですが、左手はこれにしてみようかしら...

2. Zomedy:世界初!過敏性腸症候群デジタル治療アプリ

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企業名:Bold Health
URL:https://www.bold.health/
設立年・所在地:2018年・ロンドン
直近ラウンド:Seed(2018年9月)
調達金額:N/A(Startupbootcamp Digital Health Berlin、Zinc.VC)

Bold Healthは、エビデンスに基づいた認知行動療法とストレス軽減療法に基づいたデジタル治療ツールを提供しているスタートアップです。その最初の製品が「Zomedy」で、過敏性腸症候群(IBS)の世界初のデジタル治療アプリです。

過敏性腸症候群とは、検査を行っても炎症や潰瘍といった器質的疾患が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛、腹部膨満感などの下腹部の不快な症状が起こり、かつその症状が持続するものをいいます。Zomedyでは症状記録や日常動作において気をつけるべき内容を伝えてくれます。

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「病は気から」という言葉があるように、過敏性腸症候群のような、原因のわからない身体的症状は、原因がわからない不安やメンタルの不調からさらに症状が悪化していきます。見逃されやすい精神的健康にも着目した素晴らしいサービスだと感じました。↓のサービスページで、研究に協力してくれるユーザーを募集しています。Google formでやっているのも親近感...

3. CardioCube:AIスピーカー活用 心臓病管理アプリ

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企業名:CardioCube
URL:https://cardiocube.com/
設立年・所在地:2018年・ロサンゼルス
直近ラウンド:Seed(2018年10月)
調達金額:$480k~(The Cedars-Sinai Accelerator、Techstarsなど)

Amazon EchoやGoogle Homeの登場で、音声UIが注目を浴びています。医療・ヘルスケアの文脈でも、これらのデバイスが注目されつつあります。

CardioCubeは、心臓病患者のために開発された音声アシスタントアプリです。医師の診察予約や予定のリマインダー、オンラインでの医師面会や薬の補充リクエストを行ってくれます。画面操作を行うスマホアプリなどと違って、音声を介することで、患者は医療従事者をより身近に感じ、安心感を得ることができます。このアプリケーションは、Amazon Echoまたはその他のスマートスピーカーを使用するため、特殊機器利用の負担が少ないです。

同じようにスマートスピーカーを活用して高齢者向け医療を最適化しようとするAiva Healthは18年末にGoogle、Amazonなどから資金調達を実施しています。この領域はあついですね。

The Cedars-Sinai Acceleratorで行われた彼らのピッチが、この製品の可能性をわかりやすく表現していました。

さらに、同社は、Podcastでも幅広い健康に関する情報を提供しています。健康に関する幅広い情報から、専門的な知識まで、毎日のように配信されています。このGiveの姿勢が素敵。

日本でもスマートスピーカーを活用した高齢者支援のあり方が様々なところで研究されています。Let's make it happen.

4. DermTest:開業医向け皮膚がんD2D連携支援

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企業名:DermTest
URL:https://www.dermtest.com/
設立年・所在地:2013年・エストニア
直近ラウンド:Seed(2016年10月)
調達金額:€50k~(Startupbootcamp Digital Health Berlinなど)

遠隔診療の文脈の中で、医師同士の連携(D2D連携)は最も重要な領域の一つです。医師といってもひとりひとり強い分野が異なり、かつ地理的な制約(専門医が都市に集中する傾向 etc)もあるなかで、医師同士がオンラインで連携すればより効率的に室の高い医療が提供できるのでは、と言われています。日本でもアルム社が提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ・JOINが医療機器認定されていますね。

今回紹介するDermTestは、悪性皮膚腫瘍に発展するかもしれないほくろの初期変化について専門医に相談することが可能なアプリケーションです。具体的なユースケースとしては、皮膚がんの専門家ではない開業医が同社の製品を使用することで皮膚がんの予兆を早期に掴み、専門医にその患者を紹介する、というような流れです。

エストニア拠点のDermTestですが、現在は欧州3カ国で展開。日々200人の意思に利用されており、これまで130件の皮膚がん予兆が検出されたとのこと。↑のWebトップ画像を見ると普及版のカメラにアタッチメントをつける感じでしょうか。かんたんに導入できそう...

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画像診断系はD2D連携やAI活用の余地が多くあると感じています。
エストニア企業でできるのなら、日本でも...!!

5. EyeMove:眼球運動によるパーキンソン病オンラインスクリーニング

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企業名:EyeMove
URL:https://www.eyemove.ru/
設立年・所在地:2016年・露モスクワ
直近ラウンド:Seed(2018年7月)
調達金額:N/A(Startupbootcamp、Rutech Ventures)

エストニア企業に続いて、今度はロシアのスタートアップを。
(英語ページがリンク切れで、全てのコンテンツがロシア語で苦戦しました...)

Eyemoveは、目の動きをトラッキング・解析することによりパーキンソン病の兆候を検出するプログラムです。具体的には、眼球の動きをもとに反応時間、眼球運動時間、目の軌跡を割り出し、各項目の平均値と標準を比較することでパーキンソン病罹患の確率と進行度を検出します。

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同社は今後、パーキンソン病のみならず、アルツハイマーや注意欠陥多動性障害、自閉症など他の中枢神経系の疾患にも眼球診断を適用させることを目指しています。治療方法の発見もそうですが、ただしい症状理解をするのも難しい中枢神経系疾患。こういうソリューションがどんどん増えてほしいです。

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こんな感じで、第21回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)



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