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神戸からのデジタルヘルスレポート #11 (ReddyPort/Kali/Kurbo/GraphWear/Airo)

第11回です!
今回も元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます!

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1. ReddyPort:医師から絶大な支持を受けるNIV製品開発

企業名:ReddyPort
URL:reddyport.com/
設立年・所在地:2014年、ソルトレークシティ
直近ラウンド:Seed(2018年6月)
調達金額:$400k

ここはデジタルヘルスというより、ピュアに医療機器です。それでも面白そうなのでご紹介。

ReddyPortは、NIV(非侵襲的換気療法)のための器具を製造、販売しています。NIVとは、呼吸不全患者に対して、口や鼻から空気を送り込む治療法のことです。

具体的には、以下のような器具を製造、販売しています。

ReddyPort Elbow:十字に切れ目の入った部分から、口内へのアクセスを可能にし、ReddyPort NIV製品のアダプター部品と接続できます。半永久的に使用することができる優れものです。

ReddyPort Oral Care Kit:マスク内の空気圧を維持しながら、毎日のオーラルケアを可能にするキット。キットの先端に、口腔ケアコンポーネント(吸引ブラシ、綿棒など)が付属しており、マスクをしたまま、オーラルケアを行うことが出来ます。

CO₂ Capnometry:正確なCO₂濃度の測定を行う器具です。

ReddyPort Patient Microphone Kit:患者がマスクをつけたまま、コミュニケーションをとることを可能にするキット。取り外し可能なマイクと、ノイズキャンセレーションを提供するバッテリー駆動のスピーカーが含まれています。しゃべった内容をマイクが拾い、スピーカーから出てきます。呼吸状態が安定した状態で会話ができる、患者目線の素晴らしい商品です!

なんと、臨床医の89%が、ReddyPortの製品を標準のNIV製品よりも好みと答えており、NIV治療を強く支えているのがこのReddyPortです。ぱっとみても非医療者の私にはわからないんですが、医療者の方だと「そうそう、これなんだよ!これが使いやすくてさ!」ってなるんですかね... 安易に判断せず、ユーザーに委ねるべきですね、判断とは...

2. Kali Care:投薬データの分析・提供

企業名:Kali Care
URL:kali.care
設立年・所在地:2014年、サンフランシスコ
直近ラウンド:Series A(2017年、2月)
調達金額:N/A(Plug and Play、Aptar Group)

Kali careは、医師や製薬会社、ヘルスケア提供者に服薬に関するデータとその分析結果を提供するための統合プラットフォーム("An end-to-end connected platform")を提供しています。そのために、スマートセンサーからクラウド環境まで様々なものを組み合わせてモニタリングの仕組みを構築しています。

実際に行っているのは↓のようなこと。
臨床医や患者のための治療薬の選択サポート:Kali Care上で収集されたデータを用いて、医師が患者のニーズに合わせた薬を処方できるようにサポートします。また、薬を服用することが難しい患者や、リスクの高い患者を特定することで服薬に関するサポートを行います。
臨床試験のための企業や対象者の負担の軽減:臨床試験において、参加者には薬の摂取量やリマインダーを提供し、研究者には参加者の進捗状況をリアルタイムで簡単に追跡することを可能にしています。これによりより良いデータを取得しつつ、参加者がより少ない負担で研究を遂行することを支援します。

Kaliによると、現在22カ国で展開、6千万のデータポイント、30ヶ月の継続使用を達成していると。素晴らしい事業実績。

もともとは臨床医たちによる、服薬アドヒアランスの悪さに関する問題意識から生まれた同社。そのコアにある価値観は、

・How we can all support our loved ones as they combat difficult medical issues
・How we can arm doctors with better insights to treat individual patients based on their unique lifestyles, and not just based on a generalized, abstract ‘patient’
・How researchers and pharma can develop better, more efficient medication based on more accurate data

にあると。
患者、医療者、研究者、製薬会社、みんなを幸せにしたいという欲張りなKali。さらにコスメや飲料の分野にも事業展開していってます。今後もがんがんいってほしい...!!

3. Kurbo Health:子供向けのダイエットサポートApp

企業名:Kurbo Health
URL:Kurbo Health
設立年・所在地:2013年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Series A(2015年12月)
調達金額:$5.8m(Data Collective DCVC、Susan Wojcicki<-YoutubeのCEO など)

大人の肥満も大問題ですが、最近の研究によると幼児~10代で肥満とされる人の数が世界で1億2400万人に上り、過去40年間で10倍になったことが明らかになったそうです。

こうした状況の中、Kurbo Healthは、肥満の子どもが自主的にダイエットを続けられるようにガイダンスしてくれるアプリ「Kurbo」を提供しています。「Kurbo」のダウンロード数は、Google Playで1万を超えています。

コーチが付いて、食事の管理を徹底して、運動をゴリゴリして、、、、
まさにRIZAP型です。成功した親御さん、お子さんの話を伺うとなかなかどうして、いい感じっぽいです(企業PR動画なのであたりまえですが)

手軽なものだと1ヶ月69ドルから、6ヶ月プランだと294ドルになります。事務に行って何をして、ってことを考えるとお得なのかも。

こういう行動変容促し系のサービスって何が成長・競争力のげんせんになるのかがいまいちわかっていなくて、フォローしながら自分なりに解を出していけるといいなと思っています。

4. GraphWear Technologies:汗による病気検出

企業名:GraphWear Technologies
URL:www.graphwear.co
設立年・所在地:2015年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Series A(2018年4月)
調達金額:$4.7m(BioInnovation Capital, Mission Bay Capital など)

皆さんも体験したことのある血液検査。痛いし、怖いし好きな人はいないはず。。そんな痛みのある血液検査の世界を排除し、手頃な価格ですべての人が利用しやすい非侵襲的な評価方法を開発するという使命のもと設立されたのが、「GraphWear Technologies」という会社。

この会社では、非侵襲的な汗検出技術の開発を行っています。なんと、一滴の汗からマイクロ栄養素(グルコースなど)と病気を測定できるすると。専用のチップが入った機会を腕に巻き運動をすることで、チップが汗を回収し、回収した汗から含まれている成分を解析します。
トップ画像にある通り、まさに "Sweat is the new blood"を目指していますね...

↓が2017年冬に行われたPlug and Playでのピッチ動画。たった4分なのでぜひ。この時点でNFL2チーム、NBA1チームなどを顧客にしていて、さらに糖尿病ケアなどの市場に入っていくと。現状はどこまできたんでしょう...汗に注目するのは面白いなぁと思うのでいい感じにUpdateされたいです。

5. Airo Health:カロリー摂取量を計測できるブレスレット型ウェアラブル

企業名:Airo Health
URL:http://airohealth.com/
設立年・所在地:2013年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Seed(2016年8月)
調達金額:$143.8k(Y Combinator、FundersClub、Velocityなど)

ブレスレットでカロリー摂取が計測できるという画期的なウェアラブルデバイス「AIRO」を開発したのがAiro Healthです。食事の質などもチェックできるので、食生活を手軽にモニターして健康維持やダイエットに役立てることができます。

「AIRO」はブレスレットのように手首に装着して使用し、内側に付いているLEDライトで食事前後の血液中の代謝物質を感知できるのが最大の売りです。分光計でさまざまな波長を使って、脂肪やプロテインなどをどれだけ蓄えているかが分かり、カロリー摂取量も計測できます。すべての測定データはiPhoneなどのiOS端末で閲覧できます。

その他の機能としては、心拍数やカロリー消費量のモニターがあり、また、心拍数に基づいてストレスレベルをチェックしたり、睡眠サイクルをモニターしたりすることも可能です。

昼食で脂肪分を取りすぎた場合は、スマートフォンを通して夕食に脂肪分を控えるようにアドバイスを送ってくれるらしいです。手首につけるだけで食生活のアドバイスがもらえるなんて最高ですね。ちなみに、値段は一つ2万円前後だそうです。

フィロソフィーとバリューとソリューションのサイクルが美しい。

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こんな感じで、第11回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)

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