見出し画像

神戸からのデジタルヘルスレポート #82 (在宅・遠隔診療/治療 5/7)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回も引き続き在宅・遠隔診療/治療の企業をご紹介いたします。

1.  Livi:英国・北欧 救急にも対応できる遠隔医療

画像1

企業名:Livi
URL:https://www.livi.co.uk/
設立年・所在地:2014年・ストックホルム(スウェーデン)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Crunchbaseより

Liviは、スウェーデンを拠点に、スマートフォンアプリによる遠隔医療サービスを提供しています。ビデオ通話により遠隔地から診断を受けられるほか、予約や処方箋の入手なども行うことができます。設立はスウェーデンですが、サービス展開の拠点は英国のように見て取れます。

自宅、職場、外出先、どこからでも開業医(GP)の診察予約が可能です。予約以外にも、医療アドバイス、診察、処方箋、専門家への紹介を受けることができます。年中無休で利用可能である上、当日予約もOK。"goodbye to waiting rooms"(さよなら待合室)が、特徴をよく表現しています。

画像2

NHSとも連携し、無料でサービスを受けられる対象地域を調べることもできます。日本外だと、保険カバーでいけるかどうかを調べるのも一苦労。言いアピールポイントですね。

画像3

また、Liviは2021年9月に緊急医療&救急医療を提供するプラットフォームのVIX Digitalを買収しました。これにより、一般GPと救急系・急性系治療との接続が可能となりました。急変時にかかりつけ医と救急搬送先が即座にデータ連携できるのは、患者にとってはもちろん現場の医療者にとっても有難いですね。

2. MyMed:オンラインでビデオ診療

画像4

企業名:MyMed
URL:https://www.qdoctor.io/
設立年・所在地:2015年・ロンドン(英国)
直近ラウンド:Series A(2020年4月)
調達金額:$1.9M

Crunchbaseより

MyMedは、オンラインでビデオ診療ができるアプリケーションや遠隔地でも診療を可能とするシステム「Q Doctor」を開発・提供しています。医師と患者を繋ぐ主なサービスが以下2つです。

QHealth
オンラインでビデオ診療ができるサービス。無料で健康相談が可能であり、プライマリケアから慢性疾患、緊急性を擁する場合の対応、メンタルヘルス関連のセラピーに至るまで、幅広い領域に対応しています。英国の国民健康保険NHSとも連携済みで、安価な利用が可能です。Covid-19関連でもサービスを展開。

画像5

Digital Locum service
かかりつけGPにかかることが出来ない場合(出張中や旅行中など)、他のエリアの医療機関での受診予約ができる上、非対面でも診察を受けることができます。平日の夜や週末でもOK利用可能。コロナ疑い患者がふらふら外出して、みたいなケースを防ぐことが出来そう。

画像6

MyMed創業者であり、NHS所属の医師でもあるDr. Chris Whittleは、医療アクセスに平均2週間の待機を強いられる現状を目の当たりにし、これらの医療アクセス状況を改善したいとの想いから起業したそうです。今では同じ志を有する専門家チームを創り上げ、成長を続けています。

その他、医師向けのNHAネットワークに即座に安全にアクセスできる仮想PC(vPC)サービスや、Covid-19のワクチン接種予約システムも提供しています。Notionを使って↓公開しているのも、今風だなと感じました。

3. EmPowerYu:在宅ケアを改善する介護管理プラットフォーム

画像7

企業名:EmPowerYu
URL:https://www.empoweryu.com/
設立年・所在地:2013年・サンタクララ
直近ラウンド:Non-equity Assistance from MassChalenge (2020年12月)
調達金額:N/A

Crunchbaseより

EmPowerYuは、高齢者を対象とした在宅ケアを改善する介護管理プラットフォームを提供しています。在宅期間中にも継続的に心拍数をモニタリングすることで、発症の予兆等のリスク評価を行います。

高齢者の多くはスマートフォン等のモバイル機器に慣れておらず、保有していない人も多く存在します。このような背景から、モバイル機器ではなく、家の中にIoTハードウェアを搭載することで、患者自身にモバイル機器の操作や常時携帯を強いることなく、モニタリングを可能としています。

画像8

下記のようなリスク兆候が見られないかリアルタイムで把握し、補足数値の正常範囲逸脱や日常生活パターンの変化兆候が見られた際には即座にアラートを鳴らして、重症化を回避できるようなソリューション設計となっています。

4. Kare Mobile:アプリ予約OK、オンデマンド歯科診療機能内蔵車

画像9

企業名:Kare Mobile
URL:https://www.kare.mobi/
設立年・所在地:2017年・ルイビル
直近ラウンド:Convertible Note(2021年2月)
調達金額:$250K

Crunchbaseより

Kare Mobileが提供しているサービスは、アプリで予約すると、歯科診療設備を内蔵した車両が家やオフィスまで来てくれる、コンシェルジュ歯科サービスです。こちらから行かずに、向こうが来てくれる。歯科医院もこんな時代ですか。

画像10

忙しくてなかなか歯科医院まで足を運べない人、お年寄り等の通院が困難な方にとって、画期的といえるサービスではないでしょうか。資金調達プレゼンの動画が↓なんですが、最後Q&Aの部分で週次の売上高やアプリDL数などを細かく提示していて、数字はパワフルだなと改めて感じました。

現在は自動車会社・フォードのFord Motor Company Fund、及びDeltaDentalと協同して、供給が不足している地域へ緊急歯科医療の提供も行っているようです。
様々な疾患の要因ともなるといわれている慢性疾患の歯科分野。将来の大きな疾患を予防する打ち手として、今後の動向が気になります。

5.  Hale Health:リモートケアSaaS

画像11

企業名:Hale Health
URL:http://hale.co/
設立年・所在地:2013年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Venture  Round (2017年1月)
調達金額:N/A

Crunchbaseより

Hale Healthは、医療従事者がリモートで患者をケアすることに特化したサービスプラットフォーム。各種ツールを用いた数値管理から、ビデオ通話やメッセージ、写真の共有等を通じたコミュニケーションまで、遠隔でのケアで必要とされる要素を詰め込み、よいUXに仕立て上げているように見えます。”Automated Programs”で行うべきTodoやコンプライアンスの程度、活動量などを明示することで、医療従事者、特に看護師さんなどの負担が減りそうだな、と感じています。

デバイスから得る血圧や脈拍等のバイタル情報は、Haleアプリに連携されます。本人はもちろん、医療従事者側で一括確認できるのは便利ですね。全体の情報と、個別患者の情報が、見やすく整理されています。

連携されたデータは医療チーム間で共有され、もとに患者の状態をリアルタイムでモニタリングすることが可能です。入院や通院時でなくても患者の状態を把握でき、今後の治療計画の意思決定や危険兆候を早い段階で察知することに役立ちます。自分がかかるなら、こういう遠隔ケア提供者がいいなぁと感じさせてくれるサービスでした。

----------

いかがでしたでしょうか?マガジン内の他のデジタルヘルス記事も、ぜひお手すきで見てみてください。

お知らせ1: リサーチ・情報収集に関する本を出しました!

お知らせ2: 毎週読んだ記事や考えていることなどを配信するニュースレターをしています。無料です。ぜひ登録してみてください。



応援ありがとうございます!