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神戸からのデジタルヘルスレポート #70 (患者モニタリング 1/2)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

だいぶご無沙汰してしまいましたが、これから何本か記事をお届けしていこうと思います。気長に待ったりお付き合い頂けますと幸いです。

今回と次回は、もう診断がなされ、治療を継続している最中の患者さんの支援・見守りを事業領域にしているスタートアップをご紹介します。

1. Omada Health:慢性疾患を有する従業員へのサポート

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企業名:Omada Health
URL:https://www.omadahealth.com/
設立年・所在地:2011年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Venture Round (2020/05)
調達金額:$256.5M

Omada Health(以下、Omada)は、糖尿病等の慢性疾患を有する患者に対し、デジタルヘルスプログラムを提供するデジタルケア企業です。患者の血糖値等の健康状態を測定・モニタリングし、アプリを通して医師等の専門家と連携し、専門的なヘルスコーチングを提供しています。

接続されたヘルスデバイス、リアルタイムデータ、およびパーソナライズされたフィードバックを組み合わせることで、糖尿病予防、2型糖尿病管理、高血圧や患者行動及び筋骨格系の問題等に役立てています。Apple Watchが立ち上がるタイミングや呼吸のタイミングを教えてくれるように、Omadaのアプリは糖尿病患者に食事や血糖値の測定などを思い出させてくれます。

そして今年4月、Omadaはよりケア結果を効果的にするために、製品開発のためのOmada InsightsLabを設立しました。このラボでは創業10年で45万人の会員から得た10億件以上のデータをベースに、自社ツールの改善に向けた活動を行っています。

例えば、Omadaのサービスを利用する糖尿病患者では、ケアチームやコミュニティとやり取りする人は健康目標を達成する可能性が24%高いことがわかっています。この洞察を取り入れ、(今話題のナッジをあえて"減らし")ケアチームが患者とより多く対話する方法を実装する開発を行うことがOmada InsightsLabの目的です。


2. Propeller Health:喘息患者向け症状分析と専門家連携

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企業名:Propeller Health
URL:https://propellerhealth.com/ja/
設立年・所在地:2017年・ウィスコンシン/マディソン
直近ラウンド:Corporate round (2018年1月)
調達金額:$69.9M

Propeller Health(以下、Propeller)は、呼吸器の健康管理をサポートするセンサー、モバイルアプリ、分析、およびサービスを提供するモバイルプラットフォーム企業です。

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喘息やCOPD等の呼吸器疾患の患者ユーザーの吸入器にセンサーを取り付け、このセンサーがスマートフォンとワイヤレスで同期し、患者の症状状態をトラッキング、トラッキング情報に基づいてパーソナライズされたフィードバックを患者ユーザーへ返していきます。薬の使用頻度や服用タイミングのリマインダーを知らせてくれます。患者ユーザーはPropellerデータを医師や家族と共有できます。

半年以上にわたってPropellerを使用した患者ユーザーは、利用していない患者よりも58%高いアドヒアランス(服薬遵守)を示す臨床試験結果が出ています。これは、喘息患者の喘息憎悪のリスク低下に繋がる可能性を示唆しています。

半年以上にわたってPropellerを使用した患者ユーザーは、利用していない患者よりも58%高いアドヒアランス(服薬遵守)を示す臨床試験結果が出ています。これは、喘息患者の喘息憎悪のリスク低下に繋がる可能性を示唆しています。

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3. Voluntis:症状管理サービス

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企業名:Voluntis
URL:http://www.voluntis.com/
設立年・所在地:2001年・シュレンヌ(フランス)
直近ラウンド:Post-IPO Equity(2018年5月)
調達金額:$36.1M

Voluntisは、Patient Relationship Management(PRM)を専門とするヘルスケアソフトウェア企業。腫瘍学、糖尿病、免疫学のDTx、その他慢性疾患を対象とした疾患にとらわれないプラットフォームサポートソリューションを提供しています。現在、60万人以上の患者がサービス対象となり、50以上のプログラムが展開されています。米国、EU、カナダの規制当局の承認を得ており、デジタル治療のフロントランナーとして活躍しています。

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2001年に3人の起業家によって設立されました。現在は、製薬、医療機器、デジタルヘルス業界で国際的な経験を持つ経験豊富な経営陣で構成されています。

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Voluntisが提供しているサービスのひとつがDTx専用のプラットフォーム「Theraxium」です。「Theraxium」はSoftware-as-a-Medical-Deviceに適用される業界標準および規制に従って設計および開発されたデジタル治療薬です。アプリの処方箋、トリアージとワークフロー、患者への治療や予防におけるアクションの促進、患者動向モニタリングとデータ収集と分析といった役割を果たしています。

また、製薬企業とデジタル治療薬を共同開発しており、差別化された治療エクスペリエンスの提供やより効果的な治療方法の追求、臨床及びビジネスにおける課題解決のためのソリューション分析を行っています。

4. Wello:従業員向け健康管理サービス

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企業名:Wello
URL:https://wello.ca/
設立年・所在地:2017年・カルガリー(カナダ)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

welloは、従業員とその家族の緊急的な医療ニーズのサポートと長期的な健康管理及び支援を行う仮想ヘルスケアを従業員福利厚生プログラムを提供しています。2017年に設立され、カナダのアルバータ州カルガリーを拠点としています。カナダの企業とその人事チームを支援する、というのがコアにあるミッションです。

従業員が電話またはビデオを介して、24時間年中無休で身体的および精神的健康サポートに簡単にアクセスできるようにします。NPS(ネットプロモータースコア)で81、顧客評価も4.8/5と質の高いサービスを提供していることが伺いしれます。

コロナ禍からの職場復帰について様々な記事が出てきていますが、Welloはそのサポートを一つの成長の機会にしようとしています。同社のサービスを使いつつ、社員になにかあったときにすぐにサポートできる体制をつくることで企業・社員それぞれを満足させようとしています。↓はそれをテーマにしたウェビナーの映像です。

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いかがでしたでしょうか?マガジン内の他のデジタルヘルス記事も、ぜひお手すきで見てみてください。

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