野安ゆきお

主にゲームに関する文章を書くことを仕事としています。よろしくどうぞ。

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マガジン

  • 野安の電子遊戯工房note(2022年10-11月号)

    2022年10~11月にアップした「ゲームに関する自分の記事」を中心にまとめたものです。

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最近の記事

「ゲームが趣味」の人におすすめ! 傑作小説『アリアドネの声』

 2023年発売の小説の中で、ゲームが好きな方が読むべき一冊といえば『アリアドネの声』(井上真偽・著)で決まりです。異論は認めません(笑)。  この本、とにかく面白いのですよ。  とある女性を、ダンジョンから脱出させるお話です。往年の名作『ICO』みたいな設定だ、と説明するとイメージしやすいかもしれません。ゲームに親しんでいる人ならば、めっちゃ楽しめるんじゃないかと思います。  いろいろなランキングで年間ベスト10の上位に選ばれていますから、小説に親しんでいる人にとって

    • 2024年2月・Nintendo Switch後継機に関する新聞記事についての雑感

       2024年2月26日。日経新聞が、Nintendo Switch後継機の発売時期に関する記事を出しました。それは2025年春になりそうだ、という記事でした。  どうせ飛ばし記事だろ!  と切り捨てる声がネットには溢れておりまして、日本のゲームファンが新聞のゲーム情報に対して厳しい目を向けていることが感じられる昨今なわけですが、そうやってシンプルに切り捨てるのは、ちょっともったいないとも感じております。そこで今回は、この記事について、思うところを書いておきましょう。  

      • 2024年・新年のご挨拶(その1) Nintendo Switch後継機の話

         新年あけましておめでとうございます。  2024年になりました。今年に起きそうなこととか、昨年(2023年)に起きたこととか、いろいろ書いていこう思います。  となれば、真っ先に書くべきネタは、Nintendo Switchの後継機についての話でしょうか。  まあ、間違いなく、今年のどこかで発売されますからね。  念を押しておきますが、なにひとつ保証はしませんよ。こんなものは、ただの「予想」にすぎません。「たわごと」と言い換えてもいいくらいです。  わたしはゲーム

        • 天下の馬鹿ゲー『F-ZERO99』で"競争"ならぬ"狂騒"を楽しもう!

           2023年10月。  最近は『F-ZERO99』を楽しんでます。これ面白過ぎます。  99人同時対戦の「なんちゃら99」というソフトは、これまで任天堂オンライン会員用の無料コンテンツとして数多く配信されてきましたが、それらの中で、これは1、2を争う面白さでしょう。  どこが、そんなに面白いのか?  プレイしてみればわかります。これは「馬鹿ゲー」なのです。ゲーム開始から終了まで、ひたすら、どったんばったん大騒ぎ! の数分間が続くゲームです。その狂騒ぶりが、めちゃくちゃ

        「ゲームが趣味」の人におすすめ! 傑作小説『アリアドネの声』

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        • 野安の電子遊戯工房note(2022年10-11月号)
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        記事

          東京ゲームショウ2023の取材を終えての「どうでもいい」雑感 

           9月21-24日に開催された東京ゲームショウの取材が、今年も無事に終わりました。  メディアによっては「編集スタッフの多くが発熱」したところもあったようですが、東京ゲームショウが終わって1週間が経過したいま、わたしはめちゃくちゃ元気です。いけない病気には襲われなかったようです。よかったよかった。  というわけで、東京ゲームショウ取材を終えての雑感を、ちょっとだけ書いてみようと思います。  なお、まっとうに分析した文章はギャラが発生する仕事として書きますので、ここでは読

          東京ゲームショウ2023の取材を終えての「どうでもいい」雑感 

          東京ゲームショウ2023開幕前にちょっとだけ書いておきたいこと

           これを書いているのは9月20日。東京ゲームショウ2023の前日です。事前に、いろいろと書いておきましょう。  今年のゲームショウは、どうやら、とてつもなく凄そうです。  コロナによる規制が(ほぼ)なくなり、今年から完全体で復活することになった結果、ゲームショウ史上最大規模のものになることが、開催前に確定しちゃいました。  コロナ禍による規模縮小の時期には、いつか元気に復活できるのだろうか――という不安もありましたが、それは完全に杞憂でありました。2023年の東京ゲーム

          東京ゲームショウ2023開幕前にちょっとだけ書いておきたいこと

          2023年。じいちゃん・ばあちゃんがゲーマーとして描かれる時代の到来

           ちょっとだけ大袈裟な話をします。  2023年夏。ゲーム広告のありかたに、大きな変化が訪れたようです。こちらの写真をご覧ください。  『マリオカート8 デラックス』の広告写真です。じいちゃん、ばあちゃんが、孫といっしょにゲームをプレイしています。夏休み時期のテレビCMでも登場していた光景でもあり、見たことのある方は多いでしょう。  じつはこれ、日本のゲーム広告の歴史の中で、めちゃくちゃ画期的なワンシーンといえます。  どこが画期的なのか? じいちゃん・ばあちゃんがコ

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          2023年。じいちゃん・ばあちゃんがゲーマーとして描かれる…

          「ピクミン4」の世界的ヒットは新ゲーム用語「DANDORI」とともに

           『ピクミン4』が、めちゃくちゃ面白いです!  これは正真正銘の大傑作ですわ。2001年にシリーズ1作目が登場してから22年。ゲームファンの間での評価は抜群に高く、世間一般での知名度も高かったのに全世界規模での爆発的ヒットを達成できなかったシリーズだった『ピクミン』が、ついに世界に羽ばたくかもしれません。  とにかく全方位的に面白いです。小学生でもワイワイと楽しめる直感的なゲームでありながら、慣れていくにつれて深さが見えてくる。そのあたりのバランスは、全シリーズ中で随一で

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          「ピクミン4」の世界的ヒットは新ゲーム用語「DANDORI」と…

          「ゼルダの伝説 TotK」とは、めっちゃ楽しい「あつ森」である

           『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下「TotK」)が、とてつもなく面白いです。  50年を超えるテレビゲームの歴史の中で発売された全ゲームの中で、これはトップクラスの面白さです。これこそ歴代世界一だ、と考える人も少なくないでしょう。マジでめちゃくちゃ面白いです。  ――と、そんな評判を目にしても、「なんか難しそう」「きっと上手い人向けのゲームだし」と、これは自分がプレイするゲームではないな、と敬遠している人もいるのでしょうね。  ああ。もったいない

          「ゼルダの伝説 TotK」とは、めっちゃ楽しい「あつ森」である

          映画「マリオ」の大ヒットと、ポリコレに関する論争について

           映画『ザ・スーパーマリオブラサーズ・ムービー』が、全世界で快進撃を続けています。  2023年6月現在、興行収入は13億ドルを突破しました。アニメ映画として世界的な社会現象を起こした『アナ雪』を超えました。今後『アナ雪2』を超え、全アニメ映画の中で世界歴代トップの座を奪うかもしれません。  そんな現状を見て、ポリコレ(政治的正しさ=political correctness)を気にしすぎているハリウッドアニメが興行的に苦戦する中、そういうものに気にしない『マリオ』が快進

          映画「マリオ」の大ヒットと、ポリコレに関する論争について

          ゼルダ初見者に向けた「ゼルダの伝説TotK」アドバイス ~ZELDA TotK日記~

           ふと空を見上げたとき、そうか、こっちの世界には浮島が存在しないんだよな――と、そんな不思議な気分になって立ち止まってしまう人が、いま世界中に何百万人もいるかと推測されます。『ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・ザ・キングダム』が発売されました。   いま、世界中の人が、ネット上にいろいろな感想を述べているでしょう。  なので、わざわざわたしが何かを書く必要はないのですが、いちおう昔は攻略記事のライターをしていたこともありますし、初心者向けのアドバイスを書いてみようかなと思っ

          ゼルダ初見者に向けた「ゼルダの伝説TotK」アドバイス ~ZELDA TotK日記~

          原作の知識が少ないほど、映画「マリオ」は深く楽しめる ~「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の感想その2~

           『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、世界レベルでとてつもない人気になっております。  全世界の興行成績は、あっという間に10億ドルを突破。  おそらく、このまま2023年のナンバーワン興行収益の映画になりそうな気配です。  ここまで全世界で愛されているならば、わたしがわざわざ感想を書く必要など1ミリもないわけですが、せっかくこのページを訪れてくれた人のため、ちょっとだけ話を続けます。  というのも、この映画、大きく誤解されているような気がしてならないのです

          原作の知識が少ないほど、映画「マリオ」は深く楽しめる ~「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の感想その2~

          「ザ・スーパーマリオ・ムービー」の感想など(ネタバレなし)

           公開初日に観てきました。  素晴らしい映画でした。  ひたすら楽しかったです。みんな観ましょう!  ――と褒めるしかない映画でありました。なので、わたしがわざわざ感想を書く必要など、きっと1ミリもないでしょう。  とはいえ、たった40文字の感想文を載せただけでは、わざわざこのページを訪れてくれた人に対して申し訳ないので、ちょっとだけ話を続けます。  この映画の最大の凄さは、作り手が観客を信頼していることだよなぁ、とわたしは強く思うのです。  映画作りの基本的な心

          「ザ・スーパーマリオ・ムービー」の感想など(ネタバレなし)

          "手助け"のゲーム史~3~ "手助け"文化が浸透した国では、「ネトゲ婚」が増加する?

           大昔、テレビゲームは、ひとりで黙々とプレイする遊びだと思われていました。  そんな風潮があったことを、若い世代の方々はピンと来ないかもしれませんね。でも、うちの子、いつもゲームに没頭してばかりで、ちゃんと友達と遊ばないのよ、ちゃんとした大人になれるかしら……なんて苦言を母親が口にするのが当たり前だった時代が、本当にあったのです。  そこから時代が流れ、ゲームは「孤独な娯楽」から、「みんなで楽しむもの」へと、そのイメージをゆっくりと逆転させていきました。それがゲームの歴史

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          "手助け"のゲーム史~3~ "手助け"文化が浸透した国では…

          "手助け"のゲーム史~2~ 日本という国の治安の良さが"手助け"の文化を生んだ

           上級者が、初心者を手助けしながらプレイする。  そんな仕組みがゲーム内に実装されるようになってきたのは、00年代あたりからだね――という話を、前回のコラムで書きました。  今回は、それよりも前の話です。コントローラーを介しての"手助け"の仕組みがなかった時代から、日本ではゲーマーが互いに"手助け"する文化が醸成されていたよね、という話です。  ものすごく有名な話から始めましょう。  1986年発売の『ドラゴンクエスト』は、プレイヤーが一定時間、何もしない(コントロー

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          "手助け"のゲーム史~2~ 日本という国の治安の良さが"手…

          手助けのゲーム史~1~ どの時期に、ゲームの腕前は「親>子供」に変わったのか

           "ゲームの歴史"を語るのは、すごーく難しいです。  なぜなら、ゲームを遊ぶ姿は「可視化されない」からです。みんな自宅で楽しんでいるだけなので、どのように夢中になっているかが確認できないんですよ。  劇場映画ならば、どのような客層が映画館に足を運んだのかがわかります。映画を見た後にどのような表情を浮かべていたのか、といった詳細まで確認することが可能です。  でもゲームは違う。たとえば『ポケモンGO』のように、どのように遊ばれているのか、どんな年齢の人が遊んでいるか、それ

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          手助けのゲーム史~1~ どの時期に、ゲームの腕前は「親…