野安の電子遊戯工房 ~身体からサビが落ちていく「マリオテニス エース」~


 最近は、ワールドカップ観戦の合間に、「マリオテニス エース」をプレイしています。

 いやあ、これは面白いなぁ。ついつい指が痛くなっていくゲームをプレイするのはひさしぶりです。ショットを打つ際、なんか力が入っちゃうのですよ。素晴らしいゲームだなぁ。




 わたし、1984年のファミコンソフト「テニス」、1987年の「ファミリーテニス」あたりから、めぼしいテニスゲームは、ひととおりプレイしてきた経験があります。

 こういった"すれっからし"のゲーマーの欠点は、初めてプレイするテニスゲームでも、だいたいの攻略法がわかっちゃうことです。テニスというスポーツは、そのルールがとことんシンプルであるため、結局のところ「相手が届かないような場所に、届かないような強さのショットを打つ」ことが必勝法になる。それを効率よく行うためには、たぶん、こんなふうなプレイすればいいんだろうな――と、おおよその目星が付いちゃうんです。

 このため、新しいテニスゲームが登場して、いきなり誰かと対戦プレイしてみるとも、かなりの高確率でわたしが勝っちゃうんです。最初から攻略の目星がついているんだから当然ですね。

 いきなり勝てるなんて、楽しそうですね――と思うかもしれませんが、これはまったく逆でありまして、最初から攻略の目星がついてしまったら、ゲームなんて面白くないんです。どうすれば上達できるんだろうと悩み、いろいろと試し、次第にコツをつかんでいく過程こそが、テレビゲームの楽しさってヤツですからね。

 つまり、わたしは、テニスゲームというジャンルでは、それを経験できない身体になってしまっているということです。もう綺麗な身体には戻れないのだと、なかば諦めておりました。




 だけど「マリオテニス エース」は違いました。ものすごーく新鮮に、指が痛くなるほどボタンを強く押しながら楽しんでいます。

 どうしてかというと、これ、テニスゲームのように見えて、テニスゲームではないからなんですね。

 公式サイトを見ると「本格テニスバトル」というかキャッチフレーズがついていて、いったんなんのことだ? と購入前は疑問に思っていたのですが、いざプレイしてみて。その意味が深く理解できました。テニスゲームとは、明らかにプレイ感覚が違います。「ラケットでボールを打つ」という条件下で行われる格闘ゲームみたいなプレイ感覚、とでも説明できるでしょうか。

 このため、これまでのテニスゲームで培ってきたノウハウが、あまり活用できません。むしろ昔ながらのノウハウに頼ろうとする癖がついていると、それが上達の妨げになる。30年以上テニスゲームに親しんできたわたしは、その経験が足枷になり、ストーリーモードの序盤に出てくるザコキャラにすら勝てない始末だったのです。




 従来のテニスゲームとの違いは、ものすごーくシンプルでありまして、かんたんに言うと

 「エナジー」を溜めることで、特別な技が使える

 の一文で説明できます。ラリーを続けていくとエナジーが溜まる。このエナジーを使うと特別な技を使うと、とうてい返すことのできない凄いショットが打てる。さて、どのタイミングで使うといいか? という駆け引きが生まれているのです。

 ただし、特別な技を使ってのショットを相手に打たれても、エナジーを消費することで対応することも可能。相手が凄いショットを打ってきそうなら、こちらもエナジーを溜めたままにしておけば、どうにかなったりするのですね。そんな駆け引きもあるのです。

 そして、ストーリーモードをプレイしていくと、この特別な技を使わないと、なかなかクリアできないような試練が、うまいこと順序良く登場するんです。物語を追っていくことが抜群に面白いモードでありながら、きわめてすぐれたチュートリアルになっているのです。

 なので、ストーリーモードを進めていくうちに、ついつい力が入ってしまい、指が痛くなっている自分がいるのですね。なんでこんなに夢中になってるんだろ、でも楽しいなぁ、といった気分。これまでテニスゲームをプレイしてきたことで身体についてしまったサビが、どんどん落ちていくような感覚に包まれております。

 とはいえ、具体的に、どのように楽しいのか――を書きはじめると、ちょいと長くなりそうなので、それは次回以降に書くことにします。みなさま、とりあえずプレイしましょう。面白いっすよこれ。

(2018/07/03)

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