野安の電子遊戯工房 ~ハリルホジッチ解任の件が、ゲーム産業に影響ないことを祈りたい~


 先日、アディダスのショップの前を通りかかりました。

 これは、やばいなぁ——と、わたしは心の中でつぶやきました。

 ワールドカップまで一か月を切っているというのに、日本代表関連のディスプレイがないのですよ。店内にも入ってみましたが、目立つところには「サッカー日本代表」を想起させるものが存在しないのです。

 ここ20年間で、これほどまでの「アディダスによる、日本代表の無視っぷり」を目撃したのは、たぶん初めてのことです。ひどいな、これは。




 でも、アディダスとしては、こうするしかなかったのかなぁ。

 ワールドカップに向けて盛り上がるタイミンクで、サッカー協会自らがそこに、冷や水をぶっかけてしまいましたからね。熱心なサッカーファンの多くが激怒してしまいました。それらの人たちと対面で接しなければいけないショップ側としては、「さあ、ワールドカップだ!」といったお祭り気分が出せなくなってしまったのでしょう。

 だから、今回の解任劇について「スポンサーの意向に違いない」という陰謀論を口にする人もいますが、わたし、まるで同意していないのですよ。

 たぶん逆ですよ。スポンサーこそが、きっと今回の一件の最大の被害者です。4年の一度の最大の商機を失っちゃいましたもん。けっこうな金額のダメージがあると思うなぁ。

 その上で、「スポンサーが黒幕なのかも」という悪評まで立てられちゃうんだから、ほんと大変だよなぁ——と同情するしかありません。



 

 だけど、ほんと、どーするつもりなんだろう。サッカー協会。

 サッカーファンを怒らせ、スポンサーたちに被害を与えて、ならば視聴率的な盛り上がりも上がることは期待できないし、誰ひとり得をしないんですよね。みんな損をしている。全員が被害者。

 ハリルホジッチさんは訴訟すると言っているし、もしこれが受理され、裁判沙汰になってしまったら、おそらくサッカー協会会長・田嶋さんには失脚エンドしか待っていないだろうし、つまり解任を決断した本人すら損をしてしまうわけで、「犯人すら被害者」という笑えないオチしか待ってないような気がします。

 だとすると、これ、つまりは誰も得をしない、誰も望んでいなかった自爆テロみたいなもんですよね。みんなが苦虫をかみつぶすだけの、馬鹿馬鹿しいかぎりの事件です。




 まあ、個人的なことをいえば、わたしは「とことん呆れ、醒めてしまった」ので、しばらくは日本代表がどうなろうが、知ったことではない——という気分なのですが。

 でも、とりあえず、自分の仕事のことをいいますと、今回の件が、サッカーゲームの売り上げなどに影響を与えないといいなぁ——と、そんなことを祈るばかりです。

 すぐに影響があるとは思わないけど、数年というスパンで見たとき、今回の件を機に「サッカー人気が落ちる」可能性は少ならずあるでしょうし、ゲームに関わっている者としては、ほんと迷惑な話です。ダメージが少なくてすむよう、祈るしかありません。

(2018/05/21)

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