「ゼルダ」日記・その1 ~電源入れたら2分で冒険!~


 うわー。これは純文学だなー。

 Nintendo Switchの「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」をプレイしてみて、真っ先に、そんな感想を抱きました。

 電源を入れてゲームをスタートさせてから、わずか1~2分後。プレイヤーは広い大地に放り出されます。「目覚めたら、ザムザは虫になっていた」かのように、「プレイヤー(が操作する主人公)は、突然、そこに立たされている」のです。

 理由の説明なんか、ありません。

 ストーリーの説明も、ありません。

 ゲームの操作説明すら、ほとんどありません。

 この時点では、次に何をすればいいのか、その具体的な指示はありませんし、そもそも冒険の目的すら説明されません。完全にフリーハンドな状態で、ゲームの世界に放り出されるのです。なんという割り切ったゲームデザインなのでしょう。くらくらします。



 「時のオカリナ」以降の「ゼルダ」が、基本的な操作方法を身につけるまでの、いわば「研修期間」みたいなものが導入部に用意されていたのと比べると、とんでもなく不親切だ! ――と断じることもできるでしょう。

 でもね、それがいいのですよ。

 何も知らないまま歩いているから、驚くような理不尽さでゲームオーバーになったりします。ただの朽ちた遺跡だと思っていたモノが、こっちが接近したら「ブイーン」と音を立てて動き出し、いきなりレーザー光線を撃ってきて、一撃で殺されたりするんです。

 なんの気なしに塔を歩いていて、手すりがないところがあるから「ここから降りるのか」と飛び降りてみたら、はるか下まで落下して、一発で墜落死したりもします。ほんと、とんでもなく不親切です。

 でも、それがいいのですよ。

 というか、それこそが楽しいんですよ。何度も死んで、だけど次はその経験をもとに「どうすればいいか?」を考え、攻略していく。そんなトライ&エラーの繰り返しと、それを経て上達していくことが、ゲームの面白さの原点だよなぁ……と、ひさしぶりに思い知らされた気分です。

 昨今よくある、ていねいなチュートリアルのあるゲームに慣れてしまい、鈍っていた自分の心から、がしがしとサビが落ちていく感覚といいますか。そうだよな。こういうのがゲームだよな! と叫びたくなるような、そんな気分になるといいますか。



 だから、最近のゲームに慣れているゲームファンは、戸惑うかもしれません。

 補助輪のない自転車に、いきなり乗せられるようなもんですからね。きっと何度も転びます。痛い目に遭います。

 でも、それを乗り越えたならば、素晴らしい楽しさがあなたを待っていますよ! という、そんなふうにデザインされているゲームなんですね。

 これは原点回帰ともいえます。ファミコンとかスーパーファミコンの時代。ソフトの容量が不足していたためゲームに装飾を施す余裕がなく、プレイヤーをいきなりゲーム本編に飛び込ませるようなゲームデザインをしていた頃のやりかたを、そのまま蘇らせたような、そんな手触りのゲームともいえるからです。

 あとは、こういう不親切っぷりを「おもしろーい!」と思えるかどうか? 「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」は、そんなところが楽しめるかどうかの分岐点になるような、そんなゲームです。



 ……というわけで。

 ゲームをプレイしつつ、「具体的な攻略方法」などのネタバレを避ける形で、プレイ中に思ったこと、感じたことを、つらつらと日記という形で書いていくことにしました。

 どちらかというと、自分用のメモとして書いている側面が強いので、読んで楽しいものになっているかどうかは保証しませんが、これを読んで「あれ? わたし、今回のゼルダを楽しめるタイプかも。買ってみようかな」と感じる人がいるかもしれないし、そういう人が出てきたら嬉しいなぁ……と期待しつつ、こうして公の場に残すことにした次第です。

 なお、これはプレイ途中での感想なので、より先までゲームを進めている人からすると「ヌルいな」「間違ってるな」と感じることもあるでしょうが、そのあたりは大目に見てくださいませ。また、わたし自身の感想が、ゲームを進めるうちに変化していく可能性も多々ありますが、そちらも寛容に受け止めてもらえると嬉しいです。

 では、この日記、次回に(たぶん)続きます。

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