野安の電子遊戯工房 ~東京ゲームショウ2018雑感~


 9月に東京ゲームショウがありましたので、その雑感を書いておきましょう。

 わたしは20日~23日まで4日間とも皆勤しておりまして、計45時間くらい幕張メッセにいました。すごく疲れました。

 そのくらい長時間、現地にいた者として、今年の東京ゲームショウをもっとも象徴していたのは「大手メディアの取材チームの少なさ」だったんじゃないかな、と思うのです。「オールドメディアの関心の薄さ」と言い換えてもいいかもしれません。例年に比べ、テレビクルーの人数が圧倒的に少なかった。

 これから発売される新ハードはないし、VRなどの新技術の大々的なアピールもない――というタイミングですから、大手メディアが「ここに注目だ!」的なシンプルな切り口で語れるようなニュースを作れる期待が持てず、例年のような取材陣を派遣しなかったのでしょう。




 でも、だからこそ、今年の東京ゲームショウは大成功だったと断言していいのだと思うのです。

 今年の東京ゲームショウの入場者数は、過去最高の29万8690人でした。昨年が25万4311人だったことを考えると、飛躍的な人数増です。

 メディアは注目しなかった(大々的に取材する価値はないと判断した)けれど、ゲームファンは大挙して訪れたということです。昨今、あらゆる分野で見られる「世間一般の注目度と、大手メディアの注目度が、著しくズレてている」という現象が、そこには表出していたのですね。

 出展メーカーの各ブースも、大手メディアへの対応には力を入れず、きちんと来場者たちに向き合っていました。各ブースが、自社ゲームのファンを楽しませるために全力を尽くす方向に努力していたように思います。その結果、トータルで過去最高の入場者たちを招き入れることに成功し、東京ゲームショウは大盛況のうちに幕を閉じること成功したのです。




 もう少し、具体的に書きますと。

 今年は、「まだ発売日も決まっていない話題作の新着映像だけを流すコーナー」といったものが。めっきりと減りました。そういった「話題になるためのネタをふりまく」だけの場が少なかったのです。

 試遊コーナーの中の「プレス対応用のスペシャルな試遊台」も減りました。現地に訪れたことのある方はご存知かもしれませんが、試遊コーナーの中には空間的にゆったりとした場所が用意されていることがあります。これはレポーターが体験プレイするシーンを、カメラクルーが脇に入って撮影するための席なんですね。しかし今年は、そういった席が用意されない試遊コーナーが減り、みっちりと一般向けの試遊台を並べる構成になっていたところが多かった。

 つまり、大手メディアに話題を振りまいてもらうための努力よりも、訪れてくれたファンのため、とにかく1台でも多くの試遊台を用意する方向の努力を優先していた、ということですね。

 今年の東京ゲームショウが過去最高の入場者数を記録したのは、こういった努力が、ちゃんとゲームファンに伝わったからなんだと思います。そして、実際にファンが大挙訪れたのですから、大成功だったと言っていいのです。




 だから、わたし個人としては、けっこう大変でした。

 わたしは、タレントさんと同行して、その体験プレイ記を書くという仕事を毎年のように行っておりまして、つまりは典型的な「オールドメディア的な取材」をしているからです。

 こういった取材では、タレントさん本人、メイクさん(やマネージャーさん)、カメラマン、そしてわたしの4人がユニットとなって動くため、プレス用に用意されている"空間的にゆったりした席"がないと、けっこう大変になるんです。とりわけカメラマンさんは大変で、周囲には一般のお客様がいるので、いろんなアングルからタレントさんを撮影したくても、物理的に無理になってしまうんです。

 そんなこんなで、今年の取材はいろいろと大変な面もあったりしました。ほんと疲れましたよ。ふー。




 ちなみに、今年、わたしが担当したのは水沢柚乃さんという方です。10年ほどタレントの取材レポート記事を書いてきましたが、彼女はダントツで「ゲームに対して真摯」な方でしたね。同世代のタレントさんの中では、「ゲームの好き具合」のガチ度で群を抜いていると思います。そのため、記事執筆そのものは、すごくスムーズだったことを、彼女の名誉のために付記しておきます。

水沢柚乃さん「おとといも朝まで20時間ゲームしてました」

 もしかしたら、彼女は「文章を書く」というトレーニングを積んだら、そっち方面でも活躍できるかもしれませんね。そんな方でした。


(2018/10/01)

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