「リアル脱出ゲーム×ニンテンドー3DS 超破壊計画からの脱出」を称賛したい
「リアル脱出ゲーム×ニンテンドー3DS 超破壊計画からの脱出」が素晴らしいです。
5話構成。
各話の制限時間は60分。
ひたすら謎を発見し、解いていくゲームです。
――と説明すると、ただの謎解きゲーム? もしくは謎解き主体のアドベンチャーゲーム? と思うかもしれません。うん。それは正しい。ゲーム内容を客観的に説明するなら、たしかに、これは謎を解いていくだけのアドベンチャーゲームですよ。
でも、いざプレイすれば、わかる。
これまでのどんなゲームとも、プレイ感が違います。ゲームをプレイしているというより、楽しいイベントに参加しているぜ! という感覚。そこに強烈なライブ感があるのです。
そもそも「リアル脱出ゲーム」とは、遊園地やテーマパークなどで開催される参加型イベントのひとつ。
何百人もの参加者が、施設内に隠されたさまざまな謎を解くことを目指します。チームで参加してもいいし、個人で参加してもいい。みんなで協力しつつ、他の参加者と競いつつ、ひたすら謎に挑むというイベントです。
制限時間内にすべての謎を解けるのは、参加者のごく一部だけ、という難易度設定になっているのが一般的で、クリアできた人は心からガッツポーズをし、クリアできなかった人は悔しさに包まれるという、なんともアツくなるイベントなのです。
具体的に、どのような内容のイベントであるかは、検索して調べてください。中身について記した文章が、たくさん発見できると思います。
このイベントを、ニンテンドー3DS上で再現したのが、「リアル脱出ゲーム×ニンテンドー3DS 超破壊計画からの脱出」です。
世界中の3DSに爆弾が仕掛けられた!
謎を解くことで、これを解除してほしい!
そんなシンプルなストーリーのもと、さまざまな謎に挑むことになるわけですが、ただし、そこにはひとつ大事なポイントがあります。家庭用ゲームとしてはかなりの掟破りではあるのですが、このソフト、自分のタイミングで謎解きに挑むことができないのです。
だって、これは「リアル脱出ゲーム」というイベントを再現したソフトですからね。
みんなで同時に参加してこそ、アツくなる! わけです。
だから、イベントの開催時刻は事前に決められています。ソフトを買って最初にやるべきことは、「○日の○時スタートの回を予約」すること。そして、その時刻になったら、ネット接続環境が整った場所で待機し、日本中の参加者と同時に謎解きに挑むことになるのです。
「えっ? 一日に数度の、決められた時間にしかプレイできないの?」
――と、ちょっと気乗りしなくなった人もいるかもしれません。わかりますよ。テレビゲームって、いつでも、どこでも、好きなタイミングでプレイできることが、その最大の魅力のひとつですからね。
でも、それでも、ためしに参加してみてほしいと強く思うのです。決められた時刻に、大勢で参加しているからこそ発生する、この強烈なライブ感こそが、このソフトの魅力だからです。
ライブ感を増幅させるのが、参加すると自動的に結成される「ヒント協力隊」という6人のチーム。チーム内の誰かが謎を解くと、その謎のヒントが手元に届く(注:読みたくないなら読まないままにもできる)という、ゲーム攻略的に役立つ要素もあるのですが、それはまあ、オマケみたいなものですね。
むしろ大事なのは、「○○さんは、レベル2を正解しました」「××さんは、レベル4を正解しました」みたいなメッセージが、次々に流れてくることです。チームメンバーの進行具合が、逐次報告されるんです。
うわ、わたしが解けなかった謎を解いている人がいるのか! くそー! 負けてられるかぁぁぁ! と、そんな気分にさせられていくのです。競争意識みたいなものが煽られていくのです。だからこそ、みんな一斉に謎に挑んでいるという実感と、強烈なライブ感が生まれていくという仕掛けです。
だから、これはビジネス的視点から見ても、興味深いゲームです。
ゲーム単体で見れば、謎解きを楽しむだけの娯楽商品です。つまりは往年のヒット書籍「頭の体操」みたいなもの。なのに、
・プレイできる日時を限定する
・大勢で同時に参加する
という規制をかけることによって、「ネット上で楽しめる、同時参加型のイベント」に仕上がっているわけですよ。そこが、なんとも新しいのです。
ネットが普及し、あらゆるコンテンツが無料化している昨今では、たとえば音楽を聴くことにお金を払わない人も珍しくなくなりました。音楽なんか、ネットで無料で聴ければいいやと。
だけど、そんな人たちも、ライブやコンサートには、ごく自然にお金を払います。コンテンツにはお金を払わないけど、イベントにはお金を払うのです。たぶん、それがネット時代というものなのでしょう。
そんな時代の空気に沿ってゲームを作ると、なるほど、この「リアル脱出ゲーム×ニンテンドー3DS 超破壊計画からの脱出」のような形になるんだなぁ――と、いたく感心させられました。ゲームを「同時参加型のイベントにする」ことによって、新しいゲームビジネスの形が提示されているわけです。
ほんと、そんな視点から興味を持った方にも、ぜひ体験してほしいゲームといえましょう。
そんなわけで、興味のある方は、ぜひ参加してください。
ストーリーは5話構成。9月8日現在、第2話までが解禁されておりまして、連日イベントが開催されています。第3話以降は、次の週末から順次解禁されるようです。まだまだ楽しいイベントは続きます。
だから、わたし、ゲームの中身を知っているかのように解説していきましたが、まだ第2話までしか中身を知りません。第3話以降を、ワクテカしながら待っている状態です。第3話が解禁されて以降、ここまで書いてきた解説が的外れなものになっている可能性もありますが、ご容赦ください。
それでも、なんか面白そうだなぁと感じた人は、ぜひ参加してみてください。2015年9月末までは、第1話が無料でダウンロードできるようです。
最後に、第2話までの時点で、謎についての感想を。
恥ずかしながら、第1話も第2話も、わたしはクリアできませんでした。どちらも最後の謎で詰まりました。正解を知った後、「なんで、そこに気付かなかったんだぁぁ!」と、2度ほど苦悶するハメになりました。
そうなんですよ。出てくる謎は、パズル系だったり、ひらめき系だったり、なぞなぞ系だったり、つまりは知識を問うようなものはなく、たぶん小学校高学年なら、誰でも解けるレベルの謎なんです。
なのに、ギリギリで解けない。
あと少しのところで、タイムアップになりました。
ほんと、悔しいまでに絶妙な難易度設定です。イベント終了後、クリアできた人の名前がスタッフロールのように流れるのですが、わたしが参加した回は、2回ともクリアした人の率は20%くらいでした。
なので、解けなかったわたしは少数派ではない! けっこう、みんな解けなかったんだ! 恥ずかしくなんかないもん! と言い訳がましく叫びつつ、もっと多くの人がこのソフトにハマり、わたしと同じようにクリアできずに苦悶しやがれ! と邪悪な念を送りながら、今回の文章を締めさせていただきます。
(「リアル脱出ゲーム×ニンテンドー3DS 超破壊計画からの脱出」公式サイト→http://www.nintendo.co.jp/3ds/eshop/jcyj/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?