野安の電子遊戯工房 ~任天堂、東京ゲームショウのビジネスミーティングエリアに初出展~


 東京ゲームショウ2018に、任天堂が初出展する! というニュースが流れてきました。

 ビジネスディ(一般入場者が入れない日)に、ビジネスミーティングエリアに出展するようです。場所は国際会議場。幕張メッセの入り口に向かう大きな階段の手前の、左手にある建物ですね。

 東京ゲームショウには、いろんなゲームの情報を発表しますよん! という一般向けの顔とは別に、業界関係者たちによるまじめなミーティングとか、まじめな発表会とか、そういったものが行われる業界向けの顔も持っておりまして、それらがビジネスデイには行われています。そこに任天堂が参加する、ということのようです。

 なので、現時点での推測ではありますが、一般入場者の方が、任天堂の出展を目にする機会はないと思います。あくまでも業界向けの顔見せということだと思われます。




 そもそも、どうして任天堂は、これまで東京ゲームショウに出展してこなかったのか――という問いに関しては、ここには書かないでおきます。

 「初心会」「スペースワールド」「CSG」といった言葉でネット検索してみると、おおよその経緯は把握できると思いますが、その経緯が本当に正しいかどうかは、この業界で30年ほど過ごしてきたわたしにも、よくわからないからです。

 結局のところ、きっと答はひとつじゃないんですよ。ゲームショウの立ち上げ当時、任天堂に出展をお願いした人がいて、でも任天堂側には出展しないと決断した人がいて、それらの人たちから話を聞けることがあったとしても、たぶん、出てくる答はバラバラになるんじゃないかなぁ。交渉事ってのは、そういうもんです。

 だから、そんな過去のことを調べても、結局は真相にはたどり着けないでしょうし、たどり着いたところでたいした意味もないでしょうから、2018年、やっと任天堂が、ビジネスディだけとはいえ、東京ゲームショウに関わるようになったのだなぁ、時代は変わってきたなぁ、とシンプルに喜ぶといいんじゃないかと思います。




 そして、これは「ゲームの展示会」というものの意味が、どんどん変わってきていることの証明でもあるのでしょう。

 もともとゲームの展示会というのは、インターネットなどがなかった時代に、自社のソフトを大々的にお披露目する場として用意されました。ゲーム屋さん、そして理由通業者さん、一社ずつに自社ソフトを説明していくと膨大な労力がかかってしまいますので、だったらすべてのゲームを一か所に集めて展示し、そこに流通関係者を招いてしまえば効率がいいじゃん! という理由からスタートしたのです。

 なのでインターネットなどが普及したとき、もはや、わざわざ巨額を投じて展示会を開く必要なんかないんじゃない? ――という理由により、世界最大のゲーム展示会・e3でさえ、いったん終了(縮小だったかも)することになったのですが、いざ展示会がなくなってしまうと、それはそれで業界全体の盛り上がりに水を差してしまうことが判明し、ふたたび巨大イベントとして復活したという経緯があったりします。

 このため、世界中のゲーム展示会は、もともとは理由通関係者向けの発表会としてスタートし、いまではゲーム業界を盛り上げるための、いわばフェスティバルとして側面を強く出す形へと変化しながら、現在まで続いているのです。

 そしていま、ゲーム展示会は、フェスティバルとして側面だけではなく、また新たな側面を持つようになりつつあるのかもしれませんね。だから、いろいろなものが変化してきているのかなあと。

 それが、どんな側面なのかは、現時点では、わたしにもよくわからないんですけどね。今年も取材に行くので、現場の空気に触れることで、ちょっとずつわかってくるのかもしれません。

(2018/07/04)

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