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鳥貴族で聞く不幸な話。

人の悪口をいう友達がいる。
僕にできることは、まだあるのだろうか。(by RADWIMPS)

「元カノには不幸になってほしい。」
鳥貴族でみかんチューハイを飲みながら友達は言った。
彼とは高校・大学と一緒で、勤務地も東京で一緒だった期間があり、一緒にライブに行ったり映画を見に行く仲だ。
今日も、映画をみてあいちトリエンナーレを行った後だった。

あーはじまったな、と思った。
彼は一緒に過ごしていると良い人だが、嫌いな人に対しては露骨に態度が悪い。
嫌いになるとどんどん険悪になり、最終的に断ち切ってしまう。
そして、嫌いな人に対しての負のストレスが口から流れ出る。

「もう大学と縁ないから。アメフト部とも関係がない。」
彼は大学時代、アメフト部に所属していた。
元カノも同じ部活だった。
元カノと関係が悪くなったが原因で所属していたアメフト部とも関係が悪くなった。
そうして、仲の良い数人を除いて部との関係を断ち切った。

もったいないな。と思った。
自分が紡いできた歴史を真っ向から否定したり周囲との繋がりを大切にしないのは不幸を呼ぶ。
と"自己啓発本"を愛読する僕は思った。
そして、説得するつもりでつい言ってしまう。
人との縁を大切にしないと、不幸呼ぶよ。

「おれは性格が悪いから。」
彼は自己否定をした。
彼も人の悪口が自分の弱さからくることを自覚はしていたのだった。

うん、性格悪い。
性格直していこうよ。
ひとつひとつの振る舞い変えていこうよ。
もっとポジティブにいこうよ。

とは言えない。
人は諭されたときに”敗北した"と感じ、意見の不一致を戦争の観点で捉える"戦争のメタファー"が備わっているという。(by自己啓発本)
僕は諭せるほど人間が出来ていないし、ここで戦争の引き金を引く訳にはいかない。
敵は強靭な肉体を持つ元アメフト部、兵力の違いを見せつけられる。

人間関係は大切にしていった方がいいよ、とだけ言った。
僕はどう接することが正解だったのだろうか。
友達の性格を矯正すべきだったのか。
うんうんうんと共感の相槌をひたすら繰り出して、ワカルワカルと仲間感を出すべきだっただろうか。

人が全人類を好きになることは出来ないし、人を嫌いになるのは仕様が無い。
けど、人の不幸を願うというのはひどく虚しい。
友達も心の奥底では虚しいことをしているのは認識している。
けど、心が悪口を叫びたがってしまっているのだろう。

僕はその場しのぎの幸せのためにミックスジュースを注文してしまった。

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