コンテンポラリーダンスのワークショップに行ってみた。

2023年5月27日(土)に札幌市教育文化会館で行われた
「高橋竜太 コンテンポラリーダンス ワークショップ」
行ってきました。

私は、ダンスは未経験、
コンテンポラリーダンスもよく分からない、
(大変申し訳ないのですが)高橋竜太さんも存じ上げない、
コンテンポラリーダンスが、というよりも、
「ダンスという世界」の初心者です。
そんなど素人ですが、
「ダンスってどうやって教えるんだろうか」という
教育の観点で興味を持ったので、
この素晴らしい機会を逃すまいと、見学してきました。

「プロの方が初心者の方に教える様子」は
教育に携わる者として、大変興味深かったです。

ダンスの内容については、私は詳しく存じ上げないので、
とんちんかんな解釈をしているかもしれませんが、
「教える」という観点で大変勉強になったので、
学んだことをまとめてみたいと思います。

初心者クラスの半分以上は経験者

今回私が見学させていただいた初心者クラスは、
抽選で選ばれた「小学5年生~大人の男女25名」が参加する
大人気のクラスでした。
数年この高橋さんのワークショップは続いているそうですが、
初心者クラスは、今年初めて開講したそうです。
ということで、広告には、
「はじめてクラス・基礎レベル」と書かれていましたが、
今回見学させていただいた限りだと、
正直それは嘘だったんじゃないかなと個人的には思います笑

参加者のほとんどは、
何かしらのダンス経験者何だろうなぁという
見た目や動きをしていました。
見た目で言えば、
半分以上の人がバレエシューズを履いていましたし、
動きで言うと、
バレエらしい動きは素人目でも分かりやすかったです。
体の動きに伸びがあって、大きく動いており、とっても優雅。
あと、そのバレエの立ち方は、私でも知っている、
というような場面が何度もありました。
これについては、参加者全員に
ダンス経験の有無を尋ねたわけではないので
本当のことは存じ上げませんが、
見学していた限り、
皆さん何かしらのダンスの経験者なのだろうなと感じました。

推測ですが、「ダンスを本当に初めて学ぶ」となったときに、
コンテンポラリーダンスから入る人は少ないのかもしれません。

この仮定が仮に正しいとして、それはなぜなのでしょうか?
「バレエやっています」「ブレイクダンスをやっています」などと
同様に、「コンテンポラリーダンスをやっています」とは
なかなか聞かないのはなぜなのでしょう?

これについては、講師の高橋さんによる
コンテンポラリーダンスとは何か、という解説に
手掛かりがあったように感じました。
私が解釈したものをまとめると以下の通りです。

コンテンポラリーダンスとは、どのダンスのジャンルにも含まれない、
ダンスの分野、という矛盾を抱えるジャンルです。ジャンルがない、というジャンルのダンス。なので、「これ」といった具体的な基礎があるわけではありません。その人その人のオリジナルのダンスが「コンテンポラリーダンス」なので、その人のルーツが基礎となります。

講義内で高橋さんが話していたことをnozaが記録し、nozaが自分の言葉でまとめました。

自由さや新しさを求めて、
新たなダンスの形を追求した先に生まれた
コンテンポラリーダンスは、
現在存在する、究極の自由さなのかなと感じました。

しかしそれ故に、「教える」ということは難しい。
「何を教えたらいいのか」「何を伝えるのか」という中身は、
「先生」の個の中にしかない。
だからこそ、教える側としては、
体系的に教えることが難しかったり、
教えられる側は、
「今日は、この授業を通してコンテンポラリーダンスの基礎を抑えたぞ」
などとは、決して言えません。
(なぜならその基礎は、その「先生」の基礎でしかないからです。
また別の先生の所に行けば、全く違うことを教えられるかもしれません。)

このような難しさに包まれたコンテンポラリーダンスですが、
個人的には、この考え方は好きですし、納得します。

教育で言い換えてみると、
私たちは日々の授業で、教科内容を「教えている」けれども、
「実際に何を教えているのか」「何を伝えているのか」を
果たしてそれを体系的に明確にできるのか、と考えてみると、
少なくとも私は自信がありません。
私が教えているものは、
あくまで、私の目のフィルターを通して見た
教科内容を教えているだけであって、
私がそれをほかの先生方と1ミリのずれもなく
理解・解釈し、子どもたちに教えているかというと、
そうではないだろうと思います。
(またそうである必要もないだろうと思います。)
もちろん、日本には学習指導要領があるので、
その内容を教えていれば、ある程度は、
「体系的に教えている」といえるかもしれないけれど、
「バレエ」を理解するように、私は「教科」を理解できているだろうか、
根っこの部分はどうなんだろうか、と考えてしまいます。

答えはありませんが、
コンテンポラリーダンスが直面している難しさは、
自分に無縁の世界のものではないのだろうなと
感じました。

振付を覚える、ということ。

このワークショップでは、
有名なクラッシックの曲に振付を付けて踊る、という
活動がメインでありました。

この時、高橋さんが、
「振付を覚えるのではなく、ストーリーを覚える」と
おっしゃっていたことが印象的です。
その振付の背景にはどんな物語なのかを想像しながら、
練習の時から手を抜かず、
しっかりと表情と気持ちも入れて、繰り返すことで
結果的に覚えることができる。

これは、教育における「情動記憶」と関連付けることが
できるかもしれません。
気持ちが動かされた時の記憶は
色褪せず、長い間残ります。
体全体を使って表現するからこそ、
その時感じた感情は体の中に染み込んでいくのだろうと、
思いました。

まとめ

コンテンポラリーダンスの特性上、
「よく分からないダンスだな」という印象を持たれがちですが、
それが直面している「よく分からなさ」は、
決して私たちと無縁のものではなく、
真摯にダンスについて追及していくからこそ生まれる
問いなのだろうなと感じます。

また、今回の講座を通して、色々な疑問がわいてきました。
たとえば、「本当の素人」にコンテンポラリーダンスを教える、
となったら、
今回の講師の高橋さんはどうするんだろう。
この講座が小学校5年生から、というのはなぜなのだろう。
ダンスの世界で、「コンテンポラリー仲間」の関係性って
どんななのだろうか。
などなど。

自分が経験したことのない、新しい世界に触れたからこそ、
たくさんの疑問が浮かび上がってきて、とても面白かったです。
また、こういった全く知らない世界をのぞき見してみたいと思います。

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