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マイナビDANCE ALIVE HERO’S 2019 FINAL レポート

平成最後のダンスヒーローに輝いたの誰だ?! マイナビDANCE ALIVE HERO’S 2019 FINALを勝ち抜いたダンサーとは?

新元号が"令和"になることが発表され、新時代に向けて日本中が未来に期待を寄せるなか、平成最後のダンスバトルの祭典"マイナビDANCE ALIVE HERO’S 2019 FINAL"が、4月21日に両国国技館で開催された。

ダンス界のヒーローを生みだすために誕生した"DANCE ALIVE HERO’S"。通称アライブと呼ばれるソロダンスバトルの大会は、今年はマイナビを冠につけ、日本全国から勝ち抜いたダンサーたちによる激戦を繰り広げた。

悲願の初優勝を狙うもの、ずっとダンスシーンを生きてきたレジェンド、名を上げるために勝ち抜いてきた新世代のヒーロー候補など、それぞれ異なった背景を持ったダンサーが戦い抜いた大会の模様をレポート!

※こちらは2019年5月9日にYouStyleで掲載された記事です


HIGH SCHOOL DANCE COMPETITION FINAL

関東・中部・関西の3地区で開催された全国予選を勝ち上がった高校ダンス部によるダンスコンペティション。
今年は「日本大学明誠高等学校 / Leap Lore」「桜丘高等学校 / Mighty@mind」「大阪府立登美丘高等学校 / TDC」の3校が決勝のメインステージに駒を進めた。

この並びを見ると、バブリーダンスで社会現象を起こした"大阪府立登美丘高等学校"に注目が行きがちであるが、このコンペティションは、海外ダンサーがジャッジを務めるため、そう言った前評判やイメージは一切意味をなさない。
目の前で繰り広げられるダンスパフォーマンスで、高校ダンス部のトップが決まるという緊張感のある戦いが繰り広げられた。

まず最初にパフォーマンスをしたのは「大阪府立登美丘高等学校 / TDC」。
ダンス部メンバーの保護者がハンドメイドしたという派手な金銀の衣装でファーストインプレッションを掴むと、傘や衣装を使って踊るダンスや独創的な振付でエンターテイメント性の高いパフォーマンスを披露していた。

2番目にパフォーマンスをしたのは「日本大学明誠高等学校 / Leap Lore」。
銀の衣装にベレー帽を被り、メンバーのメイクも統一されており、ダンスもシンクロ率で勝負していたのが印象的。シンクロ率で攻める方向性なのに、緩急が必要な難度の高い振り付けや、カノンを巧みに多用した構成など、難しいことに挑戦したアート性の高いパフォーマンスを披露していた。

最後にパフォーマンスしたのは「桜丘高等学校 / Mighty@mind」
ドレッドヘアーで、ニュージャックスウィングを取り入れたダンスを魅せていたのが印象的。ダンスが持つパワーを純粋に見せようという部分では一番長けていたと思う。エナジーが伝わるパフォーマンスだった。

3校それぞれが、異なったジャンルと個性を武器に、勝負を掛けてきたコンペティション。
優勝は、パフォーマンス中に、ジャッジが思わず立ち上がりそうになるほど興奮を誘った「大阪府立登美丘高等学校 / TDC」が勝ち取った。

60点満点中57点を記録し、2位と10点以上差をつけて優勝した"大阪府立登美丘高等学校"。
Akaneコーチも見守るなか、「ここで終わりじゃなくて、ここからレベルを上げていきたい。応援よろしくお願いします。」と力強い言葉を残していた。

スターが生まれた瞬間! 優勝を勝ち取ったのはあのキッズダンサー


キッズの決勝戦は、HIYORI、勇太、MiYUを倒したJJと、ゆめくま、Lil REBEL、Miss Twiggzを倒したBeniの対決となった。
どちらが勝っても初優勝になるバトルは、Beniが体全体を使ったエグいHIPHOPで先攻を仕掛ける。対するJJは持ち前のファンキーなLOCKで音ハメを自由自在に決めていく。
JJの勢いはセカンドムーブに入るとさらに勢いを増し、パッションが爆発したかのようなムーブを繰り出し会場を盛り上げる。音に合わせたムーブや音ハメなどセンスの塊とも言えるムーブで優勝を勝ち取った。

ダンスはもちろんのこと、バトル中に見せるダンス大好きオーラや甘いルックスもあり、この日で一気に人気者になったJJ。

「3度目の挑戦で優勝できて嬉しい。でもここで終わりじゃなく、これからが勝負なので頑張りたい」

と、謙虚なコメントでさらに上を目指す向上心を見せていたのが印象的。来年もアライブに挑戦するということなので、これからの活躍が楽しみだ。

まさに、アライブの「ヒーローを生みだす」というテーマを体現したバトルであった。



初の地方優勝大学が誕生! 超強豪ダンスチームがRIZEに参戦


RIZEの決勝戦は、九州地区の日本経済大学と関西地区の近畿大学の対決に。
実はアライブのRIZE部門は、創設されてから一度も地方の大学が優勝したことがなく、本バトルの勝者が、初のRIZE部門地方優勝大学に輝くという歴史的快挙となる一戦だった。

アライブのゲストショーケースにも登場していた"九州男児新撰組"のメンバーで構成されている日本経済大学は、のっけから得意のパワームーブを仕掛け、それだけでは面白みがないということでKRUMPなどのムーブも取り入れてRIZEらしいバトル展開で攻める。

対する近畿大学は得意のLOCKで対抗。仲間と踊るときは楽しそうに、相手に仕掛ける時には挑発的に、まさにクルーバトルならではのバチバチ感を出していた。途中でバンダナを使ったルーティンを見せるなど多彩なムーブで攻めていたのが印象的。

どちらが勝ってもおかしくない熱いバトルは、日本経済大学が勝利!
RIZE初の地方優勝大学の座を手に入れた。


11年越しの悲願達成なるか?! HOUSEの新旧世代バトル


HOUSEの決勝戦は、TAIKI、RYOakaDJ226を倒したSuthoom(SYMBOL-ISM)と桃、Shu_heiを倒したKAZANE(LUCIFER)の対決に。
シード枠で登場したSuthoomは、誰もが知るHOUSEダンスシーンを作ってきた一人だ。そこに新時代を切り開きたい若手筆頭株のKAZANEが挑む形になった。

昨年の決勝戦では、同じくシード枠で出場したレジェンドHOUSEダンサーのPInOに負けたKAZANEは、くしくも同じ状況でアライブの決勝に挑むことに。先攻はそのKAZANEが、ステップに加えて女性らしさを生かしたムーブで自分らしさを出していく。対するSuthoomもステップに加えてドープなムーブで自分のスタイルをぶつけていった。
後半になるにつれて、観客の歓声を味方にフロアムーブを入れて激しく舞うKAZANEに対し、終始ペースを見出すことなく音楽と向き合った自分のダンスを踊り続けるSuthoom。

激しいバトルを制したのはKAZANEだった。優勝が決まった瞬間に手で顔を覆い涙を流すKAZANE。HOUSE部門のメインステージに出て5年、キッズ部門から数えれば11年目で手にした悲願のアライブ優勝を噛み締めていた。


ブレイクダンス世界4大大会クラスのカードが実現! BBOYの頂点に輝いたのは?!


BREAKの決勝戦は、Yosh is stoic、EVIL JOEを倒したISSEI(FOUNDNATION)と、SHADE、NORIを倒したアメリカからの刺客であるVictorのバトルになった。
これはまさにドリームカードだ。なぜなら彼らは世界で実績を残しているBBOYであり、Victorはブレイクダンス世界4大大会の一つである"Red Bull BC One"の2015年覇者であり、ISSEIは同大会の2016覇者だからだ。世界最高峰のブレイクダンスバトルが、アライブの決勝戦で実現した。

先攻のVictorが、連続パワームーブで一気に会場を沸かせると、ISSEIも一緒にムーブに混じるなど、バトルでありながら観客を楽しませることも忘れない二人の姿が非常に印象的。
対するISSEIは、フットワークからパワームーブ、フリーズと繋げる。Victorと違ったのはISSEIは、フリーズにバリエーションをつけていたところだろうか。

2曲目に"太陽にほえろ"のテーマソングを使った曲が流れると、二人のムーブはどんどん激しくなっていく。ヘッドスピンを含む大技の応酬と、世界トップクラスのBBOYのバトルで、昭和の名作ドラマの音楽が使われるという激レアなシチュエーションに会場のボルテージは最高潮に達していた。

そんな歴史的なバトルを制したのはISSEI。Victorには通算で負け越していたISSEIであったが、自国開催のアライブでライバルをきっちり倒し有終の美を飾った。

大会後のヒーローインタビューでは「小さい時にブレイクダンスに出会って、最高の遊びを見つけたと思った時と同じ感じでダンスができた。今日は自分の好きなダンスが踊れたから優勝できた」と、自身が最高のコンディションであることを明かしていた。
今後さらなる飛躍を見せてくれるだろう。


現在のレジェンドと未来のレジェンドが対決! HIPHOPを制したのは


HIPHOPの決勝戦は、SHO-HEY、RICOを倒したKYOGO(D'OAM)と、CHOBy、Takuyaを倒したYASS(零)の対決に。
HIPHOPもバトル背景が、HOUSEに近いものがあり、関西のHIPHOPダンスシーンを長年牽引してきたKYOGOと、Overflow・Beat Buddy Boi・零と若手時代からHIPHOPシーンのトップクラスに君臨しているYASSによる世代をかけたバトルだった。

特にYASSは長年アライブに挑戦し続けており、昨年は同じ零で活躍するYuseiがHIPHOP部門で優勝しているので、自分もそこに続きたいという気持ちがあったと思う。そんなYASSの先攻で始まったバトルは、YASS特有の独創的でドープなムーブをキメて会場から歓声を呼び起こす。対するKYOGOもオリジナリティー溢れるムーブをキメて対抗、そこにベーシックの強さが加わるので、やはりシーンを作ってきたダンサーのダンスは一味も二味も違うものだった。

そんなHIPHOPのバトルを制したのはKYOGO。
「飲まれていた。対戦相手のおかげでアイデアが生まれた」と、ヒーローインタビューでコメントしていたが、相手を受け止めた上で、倍返しするのはさすがベテランというかダンスやバトルを知り尽くしていると思わせるバトルだった。


関西ダンサーは強く深い! ドーリムバトルになったALL STYLES


アライブのラストを飾るALL STYLESは、CGEO、enaを倒したYUKI(幸道場/ナビオ前ポッパーズ)と、CHABO、IBUKIを倒したGUCCHON(Co-thkoo)の対決に。
両者とも関西を拠点にダンスシーンを作り上げた存在であり、多くのダンサーにリスペクトされているダンサーだ。YUKIは言わずもながレジェンドダンサーであるし、GUCCHONも近い将来レジェンドダンサーと呼ばれる存在になるだろう。
そんな二人によるドリームバトルは、ダンスを愛し、音楽を楽しみ、今尚ダンスバトルを通じて進化していることを証明するような互いを高め合うバトルに。

特にGUCCHONは、アライブの前日予選に突如現れ、本戦出場の切符をかっさらい、本戦でも優勝するという超強豪ダンスバトラーであるが、レジェンドダンサーであるYUKIと決勝の舞台で対峙した時には、緊張の面持ちだったのが印象的だった。

関西のダンスシーンは、基礎や歴史を大切にし、グルーヴィーでソウルなダンスをするイメージを筆者は持っているが、この二人のバトルは、観客を煽ったり、互いのムーブを見て笑いあったり、エンターテイナーな見せ方の裏に確かなダンススキルが見えるなど、想像をはるかに超えるダンスバトルで会場から大歓声を生みだす。
2曲目には、モンキー・パンチの追悼の意を込めた「ルパン三世のテーマ」がかかり、それに合わせて二人のムーブが激しさを増すといった音楽とダンスの一体化も見られて、非常に豪華で夢のあるバトルだった。

そんなアライブラストを飾るにふさわしい熱戦は、GUCCHONが勝利!
YUKIとバトルがしたくて、前日予選に参加したと話していたGUCCHONは、見事にアライブの決勝という最高の舞台でその目的を果たしたのだった。


今年も両国国技館を満員にし、多くのダンスファンを増やし、魅了したマイナビDANCE ALIVE HERO'S 2019 FINAL
未来のスターダンサーの誕生、悲願の初優勝で見せた涙、世界クラスのドリームカード、ダンスの奥深さを感じさせるバトルなど、相も変わらず濃厚なダンスバトルが繰り広げられていた。

次回はどのようなダンサーが現れ、バトルを通じてどのようなドラマが生まれ、ダンス界のヒーローが生まれるのか?

令和初のアライブ開催が待ち遠しい。

TEXT_EDIT:NOZATATSU
PHOTO:ANOMALY INC


マイナビDANCE ALIVE HERO’S 2019 FINAL
マイナビDANCE ALIVE HERO’S 2019 FINAL
開催日:2019年4月21日(日)
会場:両国国技館(〒130-0015 東京都墨田区横網1丁目3番28号)
開催時間:OPEN 11:00 / START 11:30 / CLOSE 20:00
主催:株式会社アノマリー
冠協賛:株式会社マイナビ
協賛:株式会社ローソンエンタテインメント/Monster Energy/株式会社Cygames
協力:ダンスチャンネル/専門学校東京アナウンス学院/SHOW! 国際音楽・ダンス・エンタテイメント専門学校/専門学校東京ビジュアルアーツ/東京ダンス&アクターズ専門学校

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