「ミュージカルの舞台に出たい」スタートアップ勤め37歳2児の母が、想いを果たすまで

いよいよ、博品館劇場新作ミュージカル”PIANIST”の舞台が明日(私の出る月チームの初演は9/1~)に迫ってきました。
元劇団四季の看板俳優で、現在も多方面でご活躍の中井智彦さん、言わずとしれた人気声優の新田恵海さん、そして天使の歌声秋野紗良さんをはじめ、経験豊富なプロの皆様と一緒の舞台に立たせていただきます。

このnoteは、「なぜこのタイミングでミュージカル?」と聞いていただくことも増え、自分なりに想いをまとめてみたくなった、この稀有な経験を書き留めておきたかったので、書いてみます。

あなたは誰?

申し遅れました、伊藤希美と申します。薬局向けSaaSを提供するスタートアップでコミュニティマネージャーをしています。
元コンサルタントで薬剤師でもあり、実際に薬剤師として働いていたこともあります。家庭では、2人の男の子の母でもあります。
人が、生きがいをもって心身ともに健康でいること、それを支える医療基盤に興味があり、健康に関するコンテンツ作成・編集をやっていたのに、ポテトチップスとカップヌードルを愛している、矛盾をはらんだ人間です。

子ども2人、仕事もやってて、突然ミュージカル…いったいなぜ

全ストーリーを話すと3年越しの超大作(いやもしかしたら28年越しかも)なので、いつかミュージカル映画にします。嘘です。(もしも聞きたいという奇特な方がいらしたら喜んで話すので、ぜひお話しましょう!)
簡単に言うと、平日はフルタイムの仕事/送り迎え/ワンオペ育児でバタバタ、コロナ禍もあり出かけることもままならず、子どもと夫に合わせてなんとなく過ごす週末…。
それが長期化することで、自分の想い・やりたいことに耳を傾けることができなくなり、だんだん自分の中の前向きな力が減ってきた感じがありました。
そんな時思い出したのが、一時期薬剤師をやってたときに参加していたミュージカルでした。

「仕事できるようになるより、歌上手くなりたい」

これは、実際に私がその渦中にいる中で、ようやく夫に言えた言葉です。
このときはようやく絞り出した感じだったのですが、思ってることをはっきり認識できたのは姉が持っていた「働き方の哲学 -360度の視点で仕事を考える-」を読んだ時です(Prime会員はKindle版無料で読めるみたいです)。「成功」と「幸福」について、その違いを言葉にしているコラムがあるのですが、その中にこんな記載があります。

幸福は「器を作り・満たし・分ける」こと
幸福は、まず自分の「器(うつわ)」をこしらえることから始まります。
(中略)
ここには作り手の3つの喜びがあります。1つに、器を作る喜び。1つに、器を満たす喜び。1つに、満たしたものを他者に注ぎ分ける喜び。
幸福は、これら「作る・満たす・分ける」という作業自体にあります。

村山昇「働き方の哲学 -360度の視点で仕事を考える-」P.191

これを読んで、自分のこの元気のなさが何から来てるのか、どうすれば取り戻せるのか、とても腑に落ちたのです。
世間的な、相対的な「成功」ではなく、自分にとっての「幸福」を追求する時間を増やしていきたいと思ったのでした。
その後色々な方に関わっていただきながら、たどり着いたのは、
「自分の声・言葉を使って」「時間・空間を作り」「人の気持ちを動かすこと」
それが自分にとっての「器」なんじゃないか、ということ。
なぜなのかはわかりません。とにかくそれが好きで、大切で、それ以上の理由は今のところないんです。

ワークショップ、そして稽古を経て

そんなこんなで、2021年からT1projectのミュージカルプロジェクトというワークショップに参加させてもらうことになりました。

「嘘のない演技を追求する」を掲げるだけあって、ワークショップでも今回の稽古でも、演技を見る目はとてもシビア。ちょっとでも演技と内面にズレがあると、すぐに見抜かれて指摘をいただきます。
そして、リアルを追求するからこそ、日常生活の自分の振る舞いや思考の癖と向き合わざるを得ません。
自分の癖に気づき、要因を考え、必要があれば修正していく。その繰り返し。いわゆるメタ認知です。修行です。
ですが、「ワークショップに通ったら、人生なんかいろいろうまく行っちゃって、不思議です」なんてことはありません。(それなら人生もっと楽なのですが。)

自分をメタ認知して修正していくには、結構な精神力を使います。
1つ活動を増やしたことで、忙しさも増しました。
気持ちの面では、相変わらず浮いたり沈んだりしながらです。
それでも一つ、「自分にとっての『器』と関わっている時間がある」と思えることで、どこかで必ず前向きな気持ちが生まれてくるのだと思います。

本番を控えて、改めて感じる感謝

公演初日の前日ですが、このストーリーを改めて振り返ると、家族と職場を始めとした、多くの方の理解と応援とご協力があって、初めて成立したことだなと思います。

この稽古期間の稼働時間の少なさなど、本当にご迷惑をおかけしていると思いますが、「応援してる!」「観に行くよ」と言ってくださる職場の皆さん。

夜遅くまで稽古がある8月いっぱい、子どもたちを預かってくれ、愛情いっぱいに、そして子育ての大先輩として、我が家のわんぱく坊主たちに貴重な体験をさせてくれた両親。

T1projectの皆さん。
突然連絡した私を、プログラムの途中から受け入れてくださり、いつも的確な指摘をくださる代表の友澤さんをはじめ、あたたかく、丁寧に接してくださるT1projectのみなさん。
特に、同じように「社員」として働きながら参加している方がいらっしゃる方と共感し合ったり励まし合えたことは、本当に心の支えになりました。

これまで出会ってくださり、応援してくださる友人・皆様。
忙しい中、遠方からわざわざ観に来てくださる方々。応援メッセージくださる皆様、応援いいねくださる方々。

家族。
ママと遊びたい盛りなのに、週末ワークショップにでかけることを、次第に応援してくれるようになった子どもたち。
週末にワークショップへ行く時間、貴重な週末を遊びたい盛りの子どもたちと過ごしてくれた多忙な夫。

皆さんへの感謝を忘れず、精一杯やってきます。

これが何かにつながれば嬉しいし、つながらなくても経験し感じたり考えたりしたことは、無駄にならないと思います。

最後に

本当はもっと早くこのnoteをまとめたかったのですが、もう明日からプレビュー公演が始まるというタイミングになってしまいました。
A席は完売ですが、S席はまだ残っていますので、もしご興味持ってくださった方、応援してくださる方がいたら、TwitterDM等でご連絡いただけたら泣いて喜びます。
または、ご自身でご予約いただくこともできます(→こちら

ミュージカルプロジェクト、次期は10月から始まります。いま参加者を募集していますのでもしご興味のある方はこちらから。

私の個人的な備忘録的noteを、最後まで読んでくださってありがとうございました。
もしこれが、自分の想いがわからなくなったり、踏み出せずにいる方の背中を押せたら嬉しいなと思います!

大きな感謝を込めて、いざ本番へ!!
いってきます!!


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