語学文法書の対訳本を作ってほしい、という思い付き

 まだ読み終わっていないので〈本の感想〉とは言えませんが、思い付いたことがあるのでいったん記録します。

 読み始めた本というのは『aimer la GRAMMAIRE』(Pierre BERGOUNIOUX著。「文法大好き!」くらいな訳で妥当でしょうか??)という、フランス語で書かれたフランス語の文法書です。50ページですべてがわかる!的に煽られているけれど、本の最後は63ページ。でも巻末の設問を除けば46ページ。……細かいツッコミはともかく、何にせよ薄い小さな本です。

 私が大好きな〈語学教師にして教本著者〉の佐伯智義さんは、「語学はその言語で勉強すべし!」と訴えておられます(『日本人のためのフランス語』は名著!)。
 また、フランス語を勉強しようと思ったときにお世話になった東京神田・神保町の古書店の店主さんは、「読みたい本が決まっているなら(ジャネ!)、薄い文法書をささっと勉強した後にすぐその本に取り掛かるべき」と助言くださいました。日常会話には日常会話の、専門書には専門書の言葉遣いがあるから、小説ががっつり読めるようになってから専門書、みたいな行き方は遠回りですよ、と。

 近頃の私はそこそこ真面目に『L'evolution psychologique de la personnalite』(Pierre JANET著。『人格の心理的発達』。日本語訳は関計夫)を辞書引きながら・和訳本見ながら読んでいるのですが、図書館をうろうろしていて、本書と目が合ってしまい、かつ佐伯さんのお言葉を思い出し、「こういう本で文法を一度は勉強しておけ、ということだよな……」変な目覚め方をしてしまったのでした。毎度おなじみ、試験前には部屋の掃除がしたくなるタイプの脱線ですな。
 フランス語で書かれたフランス語の問題集(もちろん答え付き)はちょっと解いてみたことがあって、日本語で書かれたフランス語問題集よりよくわかるような気がした気がするので、ちゃんとした文法書にも一度は当たってみよう、と思ったのでした(薄いけど)。

 読み始めた感じ、だいぶ簡単に要点を書かれた親切な本だと思います。冒頭から、「私たちには心と身体、二つの側面があります」とあって、さすがデカルトの国、おフランス感満々でしびれます。読んでいくと、佐伯さんの本で見聞きしてうろ覚えな文法用語もそこここに出てきて、確かに日本語で「形容詞」と覚えるよりも最初から「l'adjectif」と覚えていったほうが近道な気がする。
 で、思い付いたのですが、対訳本の文法書って需要がありそうに思うけれど出版されてないのかしら?
 左ページに原文・右ページに日本語訳が書かれたタイプの語学書は小説とか童話なんかでいくつか出ていて私も読んだことがありますが、あれの文法書バージョン。

 現在の私は辞書を引いても誤訳ばっかり・意味不明ばっかりだし、ホントの入門当初にはそもそも文章が読めないんだから文法書だって読めません。だから文章と文法を、〈文法書の対訳本〉で学びましょう、というのはなかなか一石二鳥な近道なように思えるのですが、そんな本はあるのかなあ……と、ふと思いました。私は見たことがないけれど、あったらおもしろそう。
 いまからフランス語の本が出ても私は買わない気がするけれど、ロシア語とか韓国語とかアラビア語とか、文字ハードルの高い辺りで出してくれたら、ちょっと見てしまうかもしれない。まあ、でも、私は語学のセンスがカラキシ無いことが自分でわかっちゃったからなあ……買ってまで勉強はしないかなあ。それより早くジャネを読めよ、って感じですしね……。

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