スクリーンショット_2019-07-24_19

トレタ、ヤプリ、スマートキャンプ、FORCAS、SaaS企業経営者4名が語る「急成長を実現するSaaS組織立ち上げのリアル」

今日は虎ノ門ヒルズで開催されているSaaSWayカンファレンスに参加しています。以下、登壇者情報です。

Speakers

中村 仁氏
株式会社トレタ
代表取締役

庵原 保文氏
株式会社ヤプリ
代表取締役

古橋 智史氏
スマートキャンプ株式会社
代表取締役社長

Moderator
佐久間 衡
株式会社FORCAS
代表取締役

以下、セッション概要です。

レストラン・飲食店向け予約管理システム、トレタ。
アプリの開発・運用・分析をクラウドで実現する、ヤプリ。
法人向けSaaSの比較・検索サービス、BOXIL。

日本で急成長を遂げているSaaSの代表格だ。
その代表取締役3名に、SaaSの急成長を実現するための「リアル」を問う。

プロダクトか組織か文化か。
それぞれに欠かせない要素とは一体何か。
意見は一致するのか、それとも真逆に割れるのか。
SaaSを愛する3名の経営者と共にたどり着くゴールとは。

以下、書き起こしします。

佐久間さん)このセッションはリアルに振り切って、リアルなチップスを聞いていきます。まずは中村さんSaaS愛を一言。

中村さん)トレタの中村です。SaaSはやっぱり嘘がないんですよ。長い目で見ると、嘘をつくことができないビジネスモデルになっていて、裏表がないのが魅力ですね。

庵原さん)ヤプリの庵原です。SmartHRの60億、うちも30億とすごい資金規模ですし盛り上がっていますね。

古橋さん)SaaSを広げるBoxilというサービスをやっています。SaaSがないとご飯食べれないですし、もちろんSaaS愛があります。一緒にお客さんのビジネスを広げようということでやっていますね。お客さん自身もフランクに相談いただいたりしますし、新しいサービスを積極的に取り入れてくれるんですよね。そこは本当愛してますよね。

佐久間さん)そもそも、プロダクトとマーケットと言う話。そのあと、組織と文化の話をしたい。まずはリアルなイメージを持ってもらうために、どうやってSaaSのアイディアに至ったのか、教えてください。

中村さん)飲食店特化型のバーティカルSaaSです。従来は紙でやっていた予約管理をiPad+SaaSでやろうという会社です。台帳によって出来たアセットを元に、Toreta nowやGoogle提携、トレタCCというサービスを始めています。当日オンラインで予約できるようにしました。また、Google Mapで予約ができるようにしたり、トレタCCは予約を受け付けるのまで代行して対応するというサービスです。

佐久間さん)もともと飲食店12年やっていたんですよね?そこからなんでITに?

中村さん)30才で飲食店に入ったのですが、いかに遅れているかに驚きました。お店の経営で苦労していたので、多くのお店は同じような無駄をやっている。だとしたら解決しないと飲食の未来はないと思った。自分が欲しかったサービスを提供した。僕はレセプションをやっていたのですが、大変な仕事を解決したいと思ったんですね。

佐久間さん)実際、本当にiPad使ってやるかどうかってわからないと思うんですが、どの段階でやると思ったんですか?

中村さん)いやそこは疑ってませんでした。プロダクトマーケットフィットじゃなくて、プロダクト中村フィット、というのを考えていました。料理の職人が使えるようなツールを作ればみんな使うだろうと思っていましたね。

庵原さん)プロダクトはプログラミング費用でプログラムが作れます。お客様は非ITのお客様になります。しかも簡単にアプリを更新できます。作っただけで放置するのではなく、継続率は上がる。そして、進化。SaaSなので、常によくなるので、その3つが大きな特徴ですね。

佐久間さん)中村さんは飲食店が原体験でしたが、庵原さんの場合は?

庵原さん)単にスタートアップがやりたかった、というのが大きかったんです。シリコンバレーのようにやって自分たちの価値を出したいと思っていましたね。アプリを簡単にドラッグ&ドロップで作れたらすごいんじゃないの、と思いながらやってました。会社員やりながら、2年の時間を使って、それから起業しました。

佐久間さん)深い原体験もなく、2年どうやって頑張ったんですか?

庵原さん)1つ言うと前の会社が嫌でつまらなかったんですよ。その時にITでやりたいと思ってました。それならスタートアップだ、という強烈なモチベーションがありましたね。

佐久間さん)2年作ってそのあと顧客は増えたんですか?

庵原さん)いえ、2年泣かず飛ばずでした。いわゆるプロダクトアウトだったので、お客さんのこと何も考えてなかったんです。なので、2年間すごく辛くて、芸能人とかに書いてもらったりしても売れなくて。とにかく売れなかった。でも最後、アパレルだけは刺さったんですね。しかも、そこはちゃんとやめずに効果も出たんです。

佐久間さん)1社や数社だけじゃなくてマーケットがある、と感じたのはどのタイミングですか?

庵原さん)わかんないんですよね。2社導入して1社やめたら、50%なわけですし、ユニットエコノミクスとかチャーンとかは考えても仕方ないんですよ。アパレルのお客さまは月10万円で導入してもらったんですよ。ある時呼び出されて、僕とファウンダー二人で「解約かなあ」とビクビクしながら行ったらまさかの全然違う反応でGAに「700万円売れた」と書いてあったんですよ。その時に速攻で写真を撮って次の日に資料に差し込んで売ったりしてましたね。

(会場爆笑)

古橋さん)大企業もスタートアップにもいたのですが共通の課題があるなあと思うんですよね。アナログなところって解決されていないんですね。B2Bでやろうと思い、最初はコピー機とか携帯とかも載せていたんですけど、そこからSaaSにシフトしていきました。B2B版価格コムって感じだったんですけど、価格コムが最近やり始めちゃって・・・

(会場爆笑)

佐久間さん)どの時にいけると思いましたか?

古橋さん)マーケット全体でも5000億円くらいあると思うんですが、B2Bのリード創出市場はもともとあると思ってました。集客最初どうするの、って考えていたんですが、集客できるようになってから売りにいきましたね。その時は勝手にサービスをどんどん載せて、順位上がったあとで、問い合わせが来てから連絡しました。20%の確率で怒られるんですが、送客できます、というと、契約はするけど、ってなるんですよ。

(会場爆笑)

セールスフォースでも使われるようになって、一気に業界でも知られるようになりましたね。

佐久間さん)SaaSってベストプラクティスじゃないですか。その再現性をどうやって維持してますか?

古橋さん)格好良い言い方だとドッグフーディングだと思うんですけど、単純に自分の欲しいもの使いたいものをひたすら追求して、自分たちのサービスを自分たちでも使っていましたね。

佐久間さん)シンプルに使え、カスタマイズするな、っていうのって、とはいえ難しいじゃないですか?そこはどうやってますか?

中村さん)他社はカスタマイズするって言う。うちはカスタマイズはしません、って言う。その結果コンペで負けるというのは結構ありました。運用していく上で、障害になるので、これだけはやめようと言ってました。イシューファースト、リスペクトオールなど色々あるんですが、イシューファーストを忘れちゃいけないんですよね。

他社はカスタマイズしたことで、開発止まっちゃっているんですよね。顧客第一ではなく、イシューファーストだと敢えて言っている。「この機能だけ入れてくれたら契約するよ」と言われる。でも、それにNOと言う。お客様が考えた解決策をそのままやるんではなくて、WHYを何回か、突き止めて普遍的な課題解決な時にだけ標準機能にしていく、という風に考えていますね。

庵原さん)アプリ開発なんて、カスタマイズの鬼じゃないですか。すごい難しいんですよね。営業からは毎日来ますからね。今うちはぶっちゃけ受注率10%なんですけど、90%は取れないんですよ。真意を把握して、できる方向に寄せるのが提案力だよねとは話している。朝礼や締め会でも、全社のためのカスタマーサクセスだとは話している。1社1社ではなく、最大公約数を取ることが大事、と考えている。

中村さん)僕らはもっとも効率的なオペレーションを提供しないといけない。なんでそんなことやってるんですか、というオペレーションって多い。しかも、それが脈々と受け継がれている。無駄な作業は山ほどある。それをツールの上で再現してしまうと、生産性を下げてしまう。数千や数万の単位で業務効率を知った上で作っているので、僕らが正しいと思うことをやるべきだと考えていますね。

古橋さん)セールスフォースとかもそうで、カスタマイズしようとすると、微妙だったんですよ。そこから全部システムに合わせると考えると、うまくいったんですよ。

中村さん)これ自分たちの恥ずかしい話なんですけど、セールスフォース はカスタマイズしちゃって業務効率落ちました。笑

(会場爆笑)

庵原さん)僕らの場合、取れないお客さんを定義してます。僕らで言うと、RFPが出てくるとダメですね。

佐久間さん)THE MODELのような分業体制について聞きたい。

中村さん)これは日々悩んでいますね。理想で言うと、THE MODELは最下流から上流にバックキャストしないといけないんですよね。

佐久間さん)わかりやすく言うと、インサイドセールスからマーケティングにフィードバックするみたいな・・・?

中村さん)そうです。チャーンしないためには、「正しいお客さんに正しく売ろう」ってことだと思うんですよ。リードは誰でも良いわけではなくて、理解してくれる人を選ぶのが大事ですね。でも、実際にやろうとすると、上流から下流に押し付けてしまうんですよ。なんとかやれ、ってどうしてもなる。

佐久間さん)正しいお客さまじゃない人に売っちゃうみたいな。

中村さん)セールスフォース さんは突き返すことができるらしいんですよね。そういう制度設計が必要だとは感じています。

庵原さん)僕らの場合、採用順ですね。これがSaaSのリアル(笑)とりあえず、営業を採用しましたね。そこから分業にだんだんとしていった感じですね。CSは去年くらいですからね。

中村さん)最初は僕らも電話して商談して契約をして設定して。これを一人で全部やるってことをやってました。全工程をやるのを分けましょうって話は自然と出て行きました。毎日電話しても全く傷つかないナンパ体質なやつと、マメにお客さんのところに行くやつとだんだんと分かれていったんですよ。

全行程を知っているやつがいないとやっぱりうまくいかないんだと思うんですよね。現場が納得した上で、分業にしないと「なんで取り上げるんですか」ってなっちゃう。

佐久間さん)僕の場合は、最初から分業にしましたね。一方で課題なのは、全体感。分業をやりながらの全体感がわからなくなったりする。

中村さん)全体最適をみんなどう意識できるかが大事ですね。

佐久間さん)基本的に組織で一番大事なのは、採用だと思います。どうしてます?そもそもいないですよね。

古橋さん)いないですね。なので、まずは単純に育成ですね。会社自体もSaaSっぽくマニュアル化していって、蓄積していってますね。経験者がいなくても興味ある人自体は多くなっているので、中途だけじゃなくて、新卒も力入れてますね。

佐久間さん)カスタマーサクセスの文化について。どう浸透させていますか?

庵原さん)動画撮影・事例づくりを力入れてますね。事例を作る専門チーム「コミュニケーション本部」を作ったくらいです。年に1回、CS DAYをやって、全社イベントをやってますね。カスタマーサクセスの本を輪読して、みんなで読んだような感じになるようなものだったり、ユニクロの社長にユニクロアプリの改善提案するロールプレイイングとかをやったりしていますね。決勝戦とかで盛り上げたりしていますね。

佐久間さん)解約を防ぐ、というのよりも事例ってすごく大事ですよね。中村さんはどうですか?

中村さん)これからの飲食店、という使命感があるので、そこに共鳴する人を採用するようにしてますね。カスタマーサクセスは極めて重要だとは感じていますね。ありがとう、という動画を集めて忘年会で流してみたりして、そうすると泣く社員もいますからね。

僕らの場合はお客さんとして行くと使っているところが見れるんですよ。それが見れる・実感値としてハッピーにできているということがわかる。お店に行けばいいから。そこは恵まれていますね。福利厚生でトレタ30という制度があって、トレタを導入している企業でご飯を食べたら3割引きにします、ということをやっています。役に立っている、という実感があり、領収書もらうときは、会社名名乗らないといけない。そこで一言・二言交わして話すことができますからね。実感できるようになるというのは、大きいんですね。

佐久間さん)古橋さん、新卒の方に教える教え方は?

古橋さん)リードナーチャリングって時間がかかるんで、「セールスフォースの場合、売上の半分が1年以上前に獲得したリードから生まれている」みたいなことから教えていますね。

また、ジョブローテを組みやすいようにして、色々経験してもらっていますね。

サポートされた費用は、また別のカンファレンス参加費などに当てようと思います。