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マイクロソフト、カオナビ 、パーソルプロセス&テクノロジー、Resilyが語る、今なぜ「エンプロイーエクスペリエンス」を考えるのか - SaaS時代の組織づくり -

以下の面々によるセッションが始まりました。

Speakers
冨士野 光則氏
日本マイクロソフト株式会社
Microsoft 365 ビジネス本部 コーポレートクラウド&コンシューマービジネス推進部 部長

佐藤 寛之氏
株式会社カオナビ
取締役副社長 COO

浅沼 祥氏
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
HITO-Linkサービス開発部 マネジャー(HITO-Link事業責任者)

Moderator
堀江 真弘氏
Resily株式会社
代表取締役

今回のセッション内容は以下の通り。

EX(エンプロイーエクスペリエンス)とは何か?
EXは、その企業で働く体験を通して得る、従業員にとっての価値。
EXを明確に定義し、引き上げ続けていくことが求められている。

それは、企業が目指す未来であるビジョンの明確化、その達成のために必要な従業員の明確化、入社後の従業員体験の明確化につながる。

顧客に価値を届けられないとすぐに解約されるSaaSの世界。
顧客に届ける価値とサービス提供者が目指す価値が一致する。
同様に、従業員に届ける価値と企業が目指すビジョンを融合させていくことが必要だ。

SaaS時代の組織デザイン。EXはその土台になる。
組織デザインに精通した4名に、EXについてお話しいただく。

以下、書き起こしていきます。

堀江氏)今日実は妻が初めての子供が生まれそうということで、ドキドキしているんですが・・・。

(会場拍手)

今回はSaaSの人が多いので、どういう組織作りかそれぞれからまずはピッチしていきます。僕はResilyというサービスをやっているのですが、社員は顧客に対して、自分が体験した価値あることしか話せません。そのため、社員が感じた価値が顧客価値を産みます。そのため、従業員体験が大事ですので、ミッション・ビジョン・バリューに向き合う必要があります。立場が違えば、同じ情報を見ても認識にずれが生じます。

会社の目標と部門の目標が違うので、オープンである必要があります。小さいモヤモヤを共有して上下横断的に失敗も良いことも共有して心理的安全性を高めるようにしています。毎日怪我しながら走っている感じですね。

次はHITO Linkの浅沼さんお願いします。

浅沼さん)弊社はパーソルグループの子会社で、金融や流通小売にSier事業を通じて、サービスを提供しています。今はHITO LInkの責任者をしています。こちらはスタートアップマインドを持った新規事業で、新卒・中途採用とOKRなどを扱っているサービスです。現在は3000名を超える企業なので、もともとは機能別の縦割り組織でしたが、マトリクス別の組織にしました。

まずやったのは、「大切にしている価値観」を決めました。また、OKR運用、1on1などを通じて可視化するようにしました。また、1on1もログ化しています。ビジョン・ミッションをみんなで決めています。

堀江氏)うちは10名程度ですが、3000名でオープンにするのはすごいですね。あとで触れていきます。では、カオナビ さん。

佐藤氏)もともと、リンクアンドモチベーションに入社し、シンプレクスに入り、2011年からカオナビ に参画しました。モチベーションクラウドの浅野さんは同期ですね。簡単に言うと、最初社長が作って僕が売っていました。

現在は1300社以上の導入実績になり、3年連続No.1を達成しています。HR領域のサービスは多くなっていますので、ユーザーの便益を最大化させるために、連携強化しています。

ミッションは「シンプルな仕組みで世の中をちょっと前へ」。ビジョンは「マネジメントが変わる新たなプラットフォームを」。企業としてのこだわりとしては「仕組み化とプロダクトビジネス」です。最近は行動指針を一新しました。知恵を使ってレバレッジを使って世の中に価値提供したいと思っていました。SaaSをやるということは仕組みで工夫する会社にすることが基本ですね。SaaSなのでバリューチェーンが広いですよね。言いづらいことがああってもちゃんと言う、というのが大事だと思っています。どういう人を採用し、どうやっているかを話していければと思います。

富士野さん)マイクロソフトというと、良いイメージも悪いイメージもあると思います。2分間で会社の変革を語るのは難しいのですが、以前の話から。部署間で内部抗争がありました。WindowsとOfficeのオンプレミスのサービスに依存していました。

CEOが取り組んだのはカルチャーでした。彼はCEOのCはカルチャーだと言ったんですね。グロースマインドセット(成長マインドセット)だというわけです。優れた行動として「早く決めて早くやる」というものを決めたんですね。でもこれめちゃくちゃなことを言ってるじゃないですか(笑)

ここで出てきたのがSaaSです。Teamsを使って、ダッシュボードや資料共有、進捗管理をしていきました。そうすると、各人員の働き方が見えてきたんです。トップ営業のふるまいの見える化ができたんですね。お客様あのネットワークの大きさはトップの方が20名多いんですね。社内ネットワークも1.6倍の人数の差がありました。これによって年間の生産性が224%上がったんです。さらに勤務時間は40日削減し、従業員数も7%減りました。

堀江さん)カルチャーは共通していましたね。SaaSにおいてEXが重視される理由は?

佐藤さん)お客様とサービサーの関係は永続的に続くことで、LTVが高まりますよね。ということは、会社と従業員の関係も同じですよね。続けば続くほど良いということかな、と。選択している商売が商売ですからね。お客様との契約を続けることより従業員との継続性の方が難易度が高い時代になったので、そういうことをしていかないといけないですよね。

堀江さん)生々しいことを言うんですが、カスタマーサクセスって一番きついこと言われると思うんですが、彼らに対して体験向上施策をしていますか?

浅沼さん)そもそもSaaSは顧客の成功がビジネスの成功につながるところがまずワクワクしているところです。もともとはSIビジネスをやってました。そのため、エンジニアがワクワクできるかどうか、というのが大事だったので、それを考えるきっかけでした。それが結果的にサービスにつながったんですね。僕らが感じることはお客さんも感じることなので、EXとCXは同義になっているのかなあ、とは思いますね。なので、自社のサービスをドッグフーディングしながらやってますね。

うちの場合、マトリックス型組織になって、感度が上がるようになりますね。組織変革と合わせてグロースしていったという感じはありますね。

堀江さん)オープンにすればするほど、コラボレーションが難しくなったりすることもあると思うんですが、マイクロソフトさんの資料だとコラボしている人の方が、パフォーマンス高いと書いてあったと思うんですが、このあたりの苦労や乗り越え方ってありますか?

冨士野さん)シンプルに言うと、評価制度で乗り越えました。以前は自分の売上をそれぞれが追っていたのですが、360度評価を導入したのが一番大きかったですね。社員満足=顧客満足とつながる時代になったと思っていまして、社員が満足していないと、「ここがいいんですよ!」とは言えないんですよね。

堀江さん)そこで言うと、社内コラボレーションすればするほど、ミドルの役割って変わるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。メンバーが価値を体感するまでミドルが頑張ることが多いと思うんですが。

佐藤さん)そうですね。どうやって従業員をモチベートするか、惹きつけるかが、給与・地位・情報などではなくなってきています。情報はオープン化され、高速にフィードバックされるわけなので、ミドルは何をやるんだっけ、となる。一方で従業員の働く意味をミドルも語る時代になった。それが語れないと「開発がアホ」とか「営業がアホ」みたいなことを言う会社になってしまうわけですね。ミドルと会社が一体化しておくことが大事だと思いますね。

堀江さん)情報格差がミドルの条件ではないと考えると、ミドルはどうなっていくんでしょう。

富士野さん)メンバーのケアかな、と思います。ちょこちょこ本社からやってくるんですが1on1で、「How can I help you?」って言うんですね。ビジネスも複雑になってきているので、一方的なものも違うのかな、と思うんですね。自分自身の反省も含めて。

堀江さん)マネージャーがケアに時間を使うことってどこの会社にも発生していると思うんですが、一方でそれ以外の業務もある。

富士野さん)僕は社員が自律的に働いてくれるやる気スイッチが大事だと思っていて・・・

堀江さん)どこかで聞き覚えが・・・。やる気スイッチを探す旅が大事ということですね。

佐藤さん)ある程度まで行くと顧客が答えを持っている、となる。それと同じことで、従業員が答えを持っている。それを聞かないといけない。僕らがスティーブ・ジョブスなら違うんですけど。7割の品質で出して、フィードバックをもらうんです。残りの3割の品質を埋めるスピードが遅いとよくないんですね。プロフェッショナルである現場のメンバーがそれはよく知っているので、「君はどう思う?」と聞く必要があるということかな、と思うんですね。

堀江さん)とすると、暗黙知を形式知にするのがミドルの役割となる、ということですね。では、浅沼さん

浅沼さん)現場の持っている解というのは大事だと思うので、任せるべきだと思います。一方でハンドリングしないといけないのは、役割がマチマチになります。結合する部分をいかに補完するか、柔軟性を持てるか、が大事かなと思います。

堀江さん)インサイドセールスとフィールドセールスが喧嘩するとかいうのもあるあるかなと思います。どっかが崩れると全体が崩れますので、結合部分はしっかり見ないといけないですよね。そういう意味でミドルはプロフェッショナルである必要ってあるんですかね?

佐藤さん)当社の場合、スペシャリストとマネジメントにわけています。スペシャリストがマネジメントをやる必要がないと思ってる。でも、これでマイクロソフトさんみたいな大きな会社になれるのかは気になってます。

浅沼さん)専門とマネジメントは明確にわかれています。細かい分野で分かれていて、マネジメント寄りの用意もあるし、キャリアコースへの促しはもともとあって、常に磨いていますね。

堀江さん)ケアする要件が言語化するのが大事ですね。ミドルの役割は暗黙知化して形式知化していき、結合部分を見ることになってきてますね。さて、EXのSaaSを導入したあと、劇的な変化はどこからどう生まれていますか。これ結構難しいと思うんですけど。

佐藤さん)お客様にも答えがあり、サービスベンダーにも答えがあると思っています。そのディスカッションが大事だと思っています。これを元にやれば、御社は変わるんです、と言い切れる仮説が大事です。こう使ってください、僕らに合わせて、と言い切れる自信も大事。うちは特別だから、というのが全てのお客様が言うんですけど、特別じゃない会社はないですから、そこは大事ですね。

堀江さん)マイクロソフトは変わったと思っているんですが、何が一番大きいんでしょうか。

富士野さん)もともとアウトルックでやってましたが、Teamsやるようになり、最初は5%もいなかったんです。なかなか変わらなかったんですけど、Teamsを使う人が増えていくと、メールの人たちが気づくようになるんですよ。自分たちも使わないとまずいんじゃないか、となったんですね。会社としてはTeamsを使った部門の成功事例をスポットライトを当てていったりはしましたね。評価とかと連動はさせなかったんですが。携帯も一緒ですね。ガラケーとスマホもいきなり変わることはないと思うんで、発信し続けるところから始めるのが大事ですね。

堀江さん)5%ってすごいですよね。腹が据わっているというか。最初少ないときって大変ですよね。スポットライトは最初から決まっていた?

富士野さん)いえ、実は全く決まっていなかったんです。あとからですね。

堀江さん)浅沼さんはどうでしょう。

浅沼さん)仮説と信念を持って提案する、というのがまずは大事ですね。そこのディスカッションに時間を割いていました。汎用的な成功パターンは重要だと思っていました。劇的な変化って出しづらいですけど、どれだけ向き合って、どれだけ熱量持つかが大事かなと思っています。あとは、社内の話なんですが、ドッグフーディングして使っていくと、ビジョンがそもそもなかったり、トップダウンなことやってたりとか、そういうことに気づいたりするんですよね。そういう変化を一つ一つやっていくことで、お客様に伝えられることも増えていく。

佐藤さん)パーソルさんってSI事業やってたじゃないですか。劇的に変わるのがやっぱり夢。でもB2Bだとそんなことはないと思うんですけど。SI事業だとカスタマイズで作っちゃうイメージがあります。そこはどうやって変えたんですか?

浅沼さん)経営陣に熱量高く伝えられるか、アピールし続けられるか、が大事かなと思ってました。OKRの運用を広げていくのが次のミッションですね。

堀江さん)その熱量って一時的に上がるけど下がって行ったりもするじゃないですか。そういうのはどうやっていますか?

浅沼さん)OKRを使いつつ1on1をやっています。プロダクトオーナーとメンバーで1on1をやって情報共有しつつ、OKRで進捗管理をしていますね。それをログ化して、全員が見れるようにしていますね。これはSaaSならではかな、と思いますね。

堀江さん)富士野さんのやる気スイッチの話なんですが、人のやる気スイッチって変わるじゃないですか。どう捉えていますか?

富士野さん)1on1は徹底しています。そのため、都度見逃さないようにするってことかなと。あと、シャドーイングですね。いきなり異動って難しいので、ロールを3週間だけやるっていうことはやっていますね。

佐藤さん)インサイドセールスマネージャーをカスタマーサクセスマネージャーに異動させるんですけど、そういうのって大事だなと思うんですよね。

堀江さん)専門性が多いので、シャドーイングがいいんじゃないか、というのがミドルの要件として出てきましたね。どうもありがとうございました!

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