見出し画像

4 タイでしか見られないこと

旅をしていると、この国はどないなっとるんや、と思うことがたまにある。

ぼくが2000年に世界求法(流浪ともいう)の旅に出かけて10年たったころだろうか。その頃まではタイ、バンコクの国際空港といえばドンムアン空港のことを指していた。そして10年ほど前にそこから反対方向のバンコク郊外右端っこにスワンナプーン空港が完成した(地図で北を上とした場合)。巨大な空港である。

日本とアジアの往復にトランジット空港としてバンコクのこの2つの空港を使うことが多く。この15年ほどアジアから日本への帰りに一休みするために空港近くのホテルを使っていた。

スワンナプーン空港が開港した頃からだろうか。それともぼくだけたまたまそういう場面に出会したのだろうか、ある不可解な現象が起こり始めた。

それはホテルサービスの低下。特にフロント。

使っていたのはエントリーレベルの安宿だが。

2000年代の10年間はそんなことはなかった。何が原因かは知らない。確かに外国観光客の数は鰻登りで空港まわりのホテルは大繁盛。従業員がこき使われているだろうことは察しがついたが。

ぼくが贔屓にしていたスワンナプーン空港近くのあるホテルは非常にユーザー評価の高い居心地のいいホテルだった。それが、訪ねるたびにフロントは段々とげとげしい対応をするようになり、朝食を出すレストラン係員もいつも不貞腐れていた。それは予約サイトのとても低いユーザー評価や彼らのコメントにも現れてくるようになっていた。

日本とアジアを度々往復するようになっていたが、ただ同じように海外観光客が急に増えた日本の空港付近のホテルでは体験しない出来事だった。

流石に何年も使っていたホテルだが、非常に不愉快なことが多いので利用をやめた。そして空港から一駅離れた別のホテルを使い始めた。がそこのレセプションの女性もいつもうちに何らかの怒りを抱えていて対応がいくたびに荒くなってきた。そして、たまたまビルマから出稼ぎにきた気のいい若者がレセプションに加わるようになって少し緩和したが。しばらくしてその女性はやめたようだった。姿を見なくなった。

そういえばぼくのいくホテルのレセプションは若い女性が多い。

そして、彼女たちは何かモヤモヤしたものを抱えている。それが客に噴出してくるからたまったものではない。

今ちょっと 沈没* して長居しているホテル(兼アパート)でもそういうことがあった。表面的には何でもないようだが、ここのレセプションにいる二人の女性も同じだった。イライラと不満が彼女たちからも感じられた。理由は何かわからない。家賃を払うとき以外はなるべく近寄らないようにしていた。すると半年していなくなった。退職した理由はわからない。(ただここはコロナ禍で客や居住者の数はとても少なかったので、忙しいからだんだん不機嫌になる、というような理由づけはできない。)

*沈没とはバックパッカー用語で、流浪しているうちに気に入った国や場所やパートナーができて、一つの場所にとどまるようになること。

ことほど左様に、このタイのホテル・レセプション事件は頻発している。不思議というか不可解だ。ぼくだけに起こる共時性現象か。

国々でさまざまな問題が起こっているが、殺人や強盗などの事件にならない限りこのような人間性の問題、勤務態度の問題、ホテルサービスの問題に光が当たることはないだろう。

以上