見出し画像

スポーツビジネス2.0! Bリーグ常務理事 葦原一正氏イベントレポート

プロ野球、Jリーグに次ぐ第3のプロリーグとして2016年9月に開幕した国内男子プロバスケットボールリーグ・Bリーグ。開幕シーズンは旧リーグと比較して入場者数は50%増(約224万人)、リーグ売上は約10倍の50億円に急成長したといいます。そんな急成長の理由について、1月17日に開催されたアカデミアイベントにてBリーグ常務理事の葦原一正氏が語りました。今回はその模様をアカデミア会員の山口がお伝えします。

登壇したのは、高校時代からスポーツビジネスで食べていきたいという夢を持っていたという葦原一正さん。

外資コンサルでのキャリアを経て、収入が半減するスポーツの世界に飛び込むために新婚の奥様を説得し、2007年にオリックスバッファローズに入社された葦原さん。その後2012年に横浜DeNAベイスターズに転身し、2015年にBリーグ立ち上げに関わるようになったといいます。

二つのリーグの統合で生まれたBリーグ

既存の二つのバスケットボールリーグの統合により2015年に設立されたBリーグですが、その統合プロセスは独特のものでした。葦原さんは、既存にあった二つの組織のいいところを融合していくやり方ではなく、ゼロから新しいカルチャーを作るアプローチを取ったそう。

チームは、即戦力で動ける若い人と、業界経験者を中心に少数精鋭でスタート。

スピーディに立ち上げを進めなければならないから、現場への権限委譲が徹底されました。

Bリーグ急成長の理由

この3年で急成長したBリーグですが、選手の年俸も平均1000万円台前半まで上がってきたそう。バスケの場合ベンチを含めスタメンは13人。野球やサッカーと比べると選手数が少ないので、年俸が上げやすいといいます。

1億円プレーヤーの登場も夢ではなくなってきたとか。

ターゲットとする客層は、徹底して若い人。野球、サッカーが高年齢化していることから、あえて若いスマホ世代をターゲットにしたデジタルマーケティング戦略を取っているそうです。

日本のスポーツ市場の課題

Bリーグの戦略を考える時に葦原さんが注目するのは、「世界のスポーツ市場」。世界の方が魅力的であれば、日本のトップ選手はみな海外に出てしまうからです。

日本よりもかなり大きいと思えるアメリカのスポーツ市場(野球、アメフト、バスケットボール含む)ですが、実は20年前は、日本と同じ市場規模(1500億)だったそう。でも、今やその7倍に成長しています。

一方、日本はそれほど伸びていません。この差は一体何なのでしょうか。

一番の要因は、リーグ主導のガバナンスだと葦原さんは分析します。日本では、リーグよりも球団の力が強く放映権などは各球団で交渉していますが、アメリカではリーグ全体で放映権を売っていくというような全体最適化ができているとか。

さらには、スタジアムの新設と改築も進んでいるため、ハードとソフトの一体経営が実現されてるといいます。

でも一番大事なのは、一つ目にあげたガバナンス。日本の野球の世界では中から改革するのが難しかったこともあり、バスケにチャンスを求めたと葦原さんは心の内を明かしました。

川淵チェアマンのリーダーシップ

戦略が大事だけど、それ以上に、ガバナンス、そしてリーダーシップが大事とお話される葦原さんが尊敬するのは、やはりサッカー界でJリーグを盛り上げた立役者でBリーグのチェアマンを務める川淵三郎さん。

川淵チェアマンは、チームを一つに纏めるビジョンを示すだけでなく、その根拠を必ず示すそうです。

「Aだ!なぜならば・・・」

そういう話し方を常にされるとか。

外向けには「自分は独裁者」と言うこともあるそうですが、内部には徹底して「お前たちが考えろ」と言い、最後は必ず「ありがとう」で締める。それが徹底しているそうです。

そういったちょっとしたことで人を惹きつける人望が、ずば抜けてすばらしいと葦原さんは評しました。

川淵チェアマンの思想の根本の一つ目は、コペルニクス的回転。たとえ常識に反することだとしても、新しく変えるときは180度変えることを大事にされているそうです。

もう一つは、ビジョン・アンド・ワークハード。正しい打ち手は誰にもわかりませんが、とにかくやり込む。やり込んだら最後は切り開けるということを信じているといいます。

そんな風に信じる力は、不確実性が増している今の時代のビジネスマンに求められる素質のように思えます。

真のプロフェッショナルとは

イベントの後半は、会場とのQ&Aとディスカッションの時間に入りました。

最初のテーマは、プロフェッショナルについて。皆さんは、一流のプロフェッショナルと普通の人を分けるものはどんな要素か?と問われたらなんと答えるでしょうか。

会場からは、「当たり前のことを当たり前にやる」という意見がでました。

葦原さんもまさにそれが答えだと同意し、「小さなことを圧倒的に積み重ねることがとんでもないところへいくただひとつの道」というイチロー選手の名言を紹介しました。

この他にもたくさんのQ&Aで盛り上がった今回のイベント。

参加者にはBリーグの観戦チケットがプレゼントされ、大盛況の後に終了しました。

<登壇者プロフィール>

葦原一正
B.LEAGUE常務理事・事務局長
1977年生まれ。早稲田大学院理工学研究科卒業後、外資系コンサルティング会社に勤務。2007年に「オリックス・バファローズ」、2012年には「横浜DeNAベイスターズ」に入社し、社長室長として、主に事業戦略立案、プロモーション関連などを担当。2015年、「公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ」入社。男子プロバスケットボール新リーグ(B.LEAGUE)の立ち上げに参画。常務理事・事務局長。

💡NewsPicksアカデミアとは?

毎月最前線で活躍しているゲストをお招きしてビジネスに役立つお話を伺うイベントを開催しています。
イベント以外にも、毎月最先端の知が学べる書籍が手に入り、オリジナル動画コンテンツも視聴可能。
NewsPicksアカデミアを、ぜひご自身の教養やキャリアのアップデートに役立ててください。

この記事が参加している募集

イベントレポ

Bリーグ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?