「ウェルビーイングなチーム論」/春学期 前野ゼミ第1回レポート
個人が幸せに働ける、より良い組織にするにはどうすれば良いのか。4月から開講しているNewsPicksアカデミア春ゼミでは、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司先生を招き、「ウエルビーイングなチーム論」をテーマに3ヶ月間学んでいきます。チームの幸せについて考えた前野ゼミの初回について、ボランティアスタッフの中込がレポートします。
あなたのチームは「幸せ」ですか?
働く環境や組織のあり方が見直される今、「個人が幸せに働ける、より良い組織とは?」という問いに向き合うビジネスパーソンは増えていると思います。
「幸せ」というと、曖昧で捉えにくい分野だと感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、幸福学は今、世界的に多くの研究者が取り組むテーマの一つであり、体系的な研究が進んでいます。
今回は幸福学研究の第一人者である前野隆司先生を講師に招き、理論と実践を織り交ぜながら学びを深めていきます。
どんな組織でも「幸せ」は共通のテーマ
さっそく参加者同士の自己紹介がスタートすると、バラエティに富んだ方々が集まっていることに驚きました。
会社員、教師、公認会計士、医師、公務員・・・働く環境はバラバラでも、みなさんに共通するのは「自分自身や、一緒に働くメンバーの幸せを実現したい!」という想い。
どんな組織においても「幸せ」は重要なテーマであることを改めて実感しました。
幸福感を上げることは、パフォーマンスの向上につながる!
講義が始まると、前野先生の膨大なデータに基づいた知識のシャワーを受けて、会場の熱気はどんどん高まっていきます。
学問分野の定義からスタートし、年齢や性別、国、就業形態など様々な切り口で幸福度を分析した結果などを解説。
中でも私が印象に残ったのは、幸福感とパフォーマンスの関係性です。
幸せに働いている人が高いパフォーマンスを発揮することということは、なんとなくイメージしてはいたものの、実際の研究結果を聞くと、さらに幸福学を深く学びたい!という意欲がますます湧いてきました。
幸せの4つの因子とは?
幸福学についての前提知識が整った上で、講義後半は「どんな人が幸せなのか?」という問いに切り込んで行きます。
前野先生が1500人の日本人を対象にアンケート調査・因子分析を行った結果、人の幸せは4つの因子で決まるといいます。
第一因子 「やってみよう」因子(自己実現と成長)
第二因子 「ありがとう」因子(つながりと感謝)
第三因子 「なんとかなる」因子(前向きと楽観)
第四因子 「あなたらしく」因子(独立と自分らしさ)
一方、この4因子を裏返した「不幸の4因子」が示されると、参加者の中には「私の職場では不幸の4因子が全て揃ってしまっている…」と不安を口にする方もいました。
それぞれの組織が、多様な課題に直面している。
講義終盤のディスカッションでは、幸せの4因子をベースに、参加者の方々が自身の所属する組織が抱える課題を提起し、たくさんの議論が巻き起こっていました。
「社員同士のつながりが深まりすぎてムラ社会のようになってしまい、あなたらしく因子が発揮しづらい状況ではどうすべきか?」
「仕事にやりがいは感じているけど、あまりに忙しく余裕がないとき、何が足りていないんだろう?」
「組織の中でも横断的なつながりを持っている人は幸福感が強い。かつてのタバコ部屋のような役割を、別の形で実現することはできないか?」
初回の講義から活発なディスカッションが繰り広げられ、今後の講義がますます楽しみになるスタートとなりました!
執筆:中込
<プロフェッサープロフィール>
前野隆司
1962年山口生まれ。広島育ち。84年東工大卒。86年東工大修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。2011年より同研究科委員長兼任。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。
<ゼミ詳細>
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