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歴史と数字で会社を読む/【冬学期】大山敬義ゼミ第4・5回レポート

日本M&Aセンター常務取締役の大山敬義氏が率いる「歴史と数字で会社を読む」ゼミの第4・5回目について、ゼミ運営ボランティアスタッフの田辺さんがレポートします。

※ゼミ第1回のレポートはこちら
※ゼミ第2回のレポートはこちら
※ゼミ第3回のレポートはこちら

あなたの業界の企業が成功する方法(第4回)

大山ゼミ第4回では、ゼミ生に対して課題が与えられました。
「あなたの業界の企業が成功する方法を教えてください」というものです。

皆さんも、ご自身が所属している会社の社長になったつもりで考えてみてください。

今回は、課題への回答を考えるうえで、4つのポイントをご紹介したいと思います。

1 成功の定義を考える
2 ビジネスの仕組みを定量化する
3 コア・コンピタンス、ケイパビリティを考える
4 デジタル革命をチャンスにする

1 成功の定義を考える

「あなたの業界の企業が成功する方法を教えてください」という問いに対して、まずは「成功」を定義することが重要だと大山先生は言います。

成功の定義は、各企業によってバラバラだと思います。例えば、「世界シェアNo.1になる」「会社が継続する」「地元に貢献する」等、色々な形の成功があると思います。あなたの属する業界・企業にとっての成功を定義することで、まずは目指すゴール・ビジョンを明確にしましょう。

2 ビジネスの仕組みを定量化する

次は、成功をいくつかの要素に分解し、定量化することで、具体的にどの部分を改善すべきかを検討します。

例えば、ある旅館の成功を「売上拡大」と定義した場合、これを分解すると、客室数×客単価×稼働率の要素に分けることができ、どの要素を伸ばすかを考えたうえで、施策を打つことが重要です。

大山先生の経験則では、複数の要素ではなく、集中的に1つの要素を改善する施策を打つことが重要とのことです。

3 コア・コンピタンス、ケイパビリティを考える

コア・コンピタンス、ケイパビリティとは、「自社の強み」のことを指します。これらを踏まえて施策を打つことが重要と大山先生は話します。

コア・コンピタンス:バリューチェーン上における特定の技術力や製造能力を指す。
ケイパビリティ:バリューチェーン全体に及ぶ組織能力を指す。

4 デジタル革命をチャンスにする

「デジタル革命をチャンスにする」とは、どのような意味でしょうか。
大山先生は具体例の1つとして、「ネットワーク外部性」を活用することが有効と言います。

ネットワーク外部性:ある財・サービスの利用者が増加すると、その財・サービスの利便性や効用が増加することを指す。例えば、友達数人のみが使うSNSよりも、多くの人が利用するLINEの方が便利に感じること等が挙げられる。

例えば、LINEはテキストチャット機能を「無料で・多くの人」に販売し、圧倒的なシェアを確保しています。シェアが拡大すると、「ネットワーク外部性」が働き、消費者の満足は更に高くなります。その結果、LINEはシェアを更に伸ばし、テキストチャット機能の周辺事業(スタンプ等)で益々儲かります。

LINEの事例を踏まえると、テクノロジーを用いて、以下のような好循環を生む施策を打つことが成功への近道かもしれません。

①薄利多売でシェア確保
②ネットワーク外部性の効果発現
③顧客満足度向上
④シェア拡大、収益拡大

「あなたの業界の企業が成功する方法を教えてください」という問いを考えるうえで、4つのポイントをご紹介しました。

少々難しい問いで、ゼミ生も苦労しましたが、非常に学びのある講義でした。

企業再生の真実(第5回)

大山ゼミ第5回では、ゲスト講師に日本M&Aセンター笹先生をお招きし、「失敗した企業」について考えました。

企業を救う手段

まずは、業績が厳しい企業を救う手段について考えます。
大山先生は、企業を救う手段を、病気の治療に例えて以下のように表現します。

①再生計画の策定(バファリン)
②債務償還のリスケ・支援協議会設置(漢方薬)
③私的整理(内科療法)
④法的整理(外科療法)

医療の世界において、患者がバファリンを飲んでいる間は、単なる体調不良に過ぎませんが、外科療法のフェーズになると、場合によっては「死」に至ることもあります。

企業再生の場合も、法的整理がうまくいかない場合、業界の一般論として、経営者が自ら「死」を選ぶことも稀にあるようです。

企業としては、外科療法で失敗をする前に、早い段階で現状を変える手段を講じる必要があると感じました。

企業が失敗する理由

大山先生は、「失敗した企業の責任はすべて経営者にある」と言います。
例え業績が悪い企業でも、経営者が変わった途端、業績がV字回復し、生き返っている事例が数多あるからです。

企業を分析するうえでは、決算書の数字だけでなく、経営者の「質」にも注目する必要があると改めて感じました。

まとめ(第4回・第5回)

今回は、企業の成功失敗の両面に注目をしました。

私が感じたこととしては、自分が企業の社長になったと仮定した場合、自社が成功する方法を見出すことがいかに難しいか、そして、会社を経営することの責任の重さを痛感しました。

「会社経営の難しさ」を学んだところで、今回の投稿は以上となります。

<プロフェッサープロフィール>
大山敬義/日本M&Aセンター 常務取締役
株式会社日本M&Aセンター常務取締役。1967年神奈川県生まれ。立教大学社会学部卒。1991年日本M&Aセンターの創業に参画。2012年4月より同社常務取締役。M&Aアドバイザーとしての成約実績は150件以上で国内最古参のM&Aプレイヤーの一人。また、40社余りの企業再生の実績がある他、自らハンズオンの企業再生に取り組み松ノ井ホテルグループの取締役を務めた。2018年4月、日本M&Aセンターからスピンオフした小規模企業専門のオンライン事業承継・M&Aのマッチングサイト「バトンズ」を運営する、アンドビズ株式会社代表社長兼CEOに就任。

文:田辺 靖貴

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