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「無人コンビニ」はもう古い?中国小売最新事情#NewsPicksアカデミア

近いようで、遠い国。いつの間にか急速に発展し、モバイル決済、無人店舗、ライブコマースなどアメリカ以上に話題のたえない、中国。
中でも小売業界の発展は目覚ましく、今、中国小売業界の動向を押さえておかないのは、ビジネスパーソンとしてはもはや危険であるかのような雰囲気さえ漂います。

そこで今回、中国小売りビジネスの専門家を交え、『新・小売概論(中国小売最前線)』と題するイベントが開催されました。

登壇者したのは中国で小売ビジネスを手掛けるお二人です。

【金田 修氏】2011年に「游仁堂」を設立し、中国におけるデジタル会員システムをデータベース開発からクリエイティブまで一括に引き受け、ベネッセやローソンなどのファンの組織化を通じて日本的なライフスタイルを志向する企業をサポートしている。
【家田 昇悟氏】メルペイ マーケティンググループ 中国インターネット研究所所長。ID連携や振り込み機能改善のプロジェクトに従事後、中国での調査活動を経て、メルペイのマーケティングを担当。

 中国でニューリテールが注目される理由

世界一のEC比率を誇り、ネットで買い物をする人が6億人を超える中国のEC市場。しかしEC市場が成熟していく中、2016年を境に市場としての底が見えてきました。

そこで、アリババなど中国の巨大IT企業は新たな顧客獲得のため、オンラインとオフラインを統合させて戦略を考える「ニューリテール」の概念を掲げ、注目を集めました。

無人コンビニはビジネスモデルとして成立しない

中国では「無人コンビニ」や「キャッシュレス化」が進んでいるイメージが日本では広く持たれていますが、実際には、無人コンビニはすでにダウントレンドとなっていて、ビジネスモデルとして成立していないといいます。

実際に中国企業が無人コンビニを展開したところ、キャッシュレスは無人でできるものの、商品の補充や、店の清掃などはセルフでは成り立たないところがあり、またコンビニの単価では、採算性が成立しないこともわかってきました。そのため、昨年以降、無人コンビニに関する投資は中国では一社も行われていないといいます。

一方、Amazonが展開する「AmazonGO」などで注目される画像認証システムやセルフレジの技術は、中国でも進んでおり、これからもっと伸びていくだろうと解説されていました。

アリババとテンセントの戦略

巨大企業のアリババとテンセントは、2016年にニューリテール戦略を出してから現在までの2年間、両社ともに様々な小売プレイヤーに投資してきました。その投資規模は、アリババは約2兆円にも及んでおり、激しい競争が行われています。

投資先の業種は、図の一段目がスーパー、二段目がBtoBの生鮮以外、三段目がECやOCM、一番下が無人小売のカテゴリーとなっている

これら全ての領域において、アリババとテンセントは何らかの形で投資しています。無人小売のカテゴリーには、牛丼の自販機といったニッチなものも含まれています。

一方、ホワイトスペースとして残っているのがコンビニ。日系資本のコンビニは中国でも強く、中国資本のコンビニよりも二倍近くの売り上げを誇っています。

その理由は、日本のコンビニの商品のクオリティが圧倒的に高いということ。そして、アリババとテンセントがコンビニへの投資をまだ十分できていないということです。

中国国内と世界に展開する決済サービス

小売において欠かせないのが決済サービス。中国を代表する二大決済サービスといえば、アリババのAlipay(アリペイ)テンセントのWechat Pay (ウィーチャットペイ)ですが、両者にはいくつかの違いがあります。

利用頻度を比較するとアリペイが1日6回の起動であるのに対し、ウィーチャットは53回と高くなっています。これはウィーチャットにSNS機能もあるためです。

少額のオフラインにおける決済や送金などはウィーチャットの方が使い勝手がよく、これからも伸びていくだろうと解説されていました。

逆にアリペイの方は小売における決済だけでなく、金融サービスとしても使われています。そのため、取り扱い数や金額はアリペイの方が上回っており、エコシステムをうまく機能させているといえます。

アリペイの決済システムは実際に海外でも使われており、グローバル展開もうまく進められているのです。

このような違いをモデレーターの最所さんは、ウィーチャットペイはスイカ的なものでアリペイはネットバンキング的なものと表していました。

中国スーパーのリアル

最後は、ニューリテール関連の記事でよくみかける中国のスパー「hema」について、その秀逸さが解説されました。

「hema」は、売られているモノのクオリティが純粋に良く、野菜や魚などの生鮮食品にもこだわりがあり、それが価値になっているといいます。また、”産業商圏をどのように取ればいいのか”ということをゼロから発想しており、売り場でのスペースの使い方が工夫されています。香港の「hema」ではオンラインで買い物をする人が8割もいるにもかかわらず、リアル店舗の外観もこだわりのデザインになっているとそうです。

このように、オンラインとオフラインを統合し、顧客によりよい体験をしてもらうことで、新たなフローが獲得されています。まさに中国では、ニューリテール戦略が実践されているのです。

終わりに

中国小売りと日本との違いやニューリテールといった新しいトピックが盛りだくさんだった本イベント。これからの小売を考えていく上で筆者にとっても勉強になるイベントでした。ぜひ皆さんも中国の最新情報をチェックしてみてください。

また、ここではまとめきれなかった詳しい内容については、ぜひアーカイブ動画をご覧ください。会場からの質問も大変興味深かったです。👇

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そして次回の新・小売概論は6月7日(水)、「雑誌が”百貨店”になる日」です。こちらもぜひチェックしてみてください。

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※本記事は、2018年5月9日(水)に開催されたNewsPicksアカデミアイベント「新・小売概論(中国小売最前線)」をまとめなおしたものです。(ゲスト:金田 修・家田 昇悟、モデレーター:最所あさみ)

文:西舘 郁夏
編集:柴山 由香

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