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【箕輪厚介】身体ひとつで稼ぐということ。LとGの狭間に生きて #NewsPicksアカデミアレター

NewsPicksアカデミア会員限定メルマガ(2017年4月21日配信分)を再編集して掲載しています。

こんにちは、幻冬舎の箕輪です。NewsPicksアカデミアにおける幻冬舎側の代表をしています。

今回僕は、趣味のひとつである「格闘技」について書きたいと思います。

僕はもともと高校生のときから「PRIDE」という総合格闘技イベントに尋常じゃないほどハマっていました。

オープニングの演出から、選手の紹介VTR、そして映画のようなエンディングまで、およそスポーツのイベントとは思えないクオリティで組み立てられる、完璧なるエンターテイメントにまんまと心を奪われていました。

詳しく書くと長くなりすぎるので割愛しますが、僕は本を作る際もPRIDEの構成を未だに参考にしています。

そんなPRIDEを観戦している頃に、ひと目惚れしたのが、青木真也という、いま現在世界で一番有名な日本人格闘家です(ちなみに、プロピッカーでもあります)。

僕はその後、編集者となり、青木さんに短いコラムを依頼したことがきっかけで親しくなり、青木真也の処女作である『空気を読んではいけない』を編集しました。

この本は格闘家の本としては、異例のベストセラーとなりましたが、つい30分前まで、その青木真也の試合のセコンドをやっていたので、そこで感じたことを書きたいと思います。(試合会場のすぐ近くの漫画喫茶で書いております)

まずもって、編集者が格闘技の試合のセコンドをやったのは史上初だと思います。ちなみに、大統領でプロレスの試合に出たことがあるのはトランプが初でしょう。

余談ですが、なんでセコンドをやったかというと、青木選手に頼まれたからですが、

僕は担当した著者とは、良くも悪くも、書き手と編集者という枠を超えた仕事をするようになってしまいます。

見城の本を作ったのをきっかけに幻冬舎に移り、堀江さんの本を作ったのをきっかけに堀江サロンの教授になり、佐々木さんの本を作ったのをきっかけに、このアカデミアが生まれました。

僕にとって、書籍を一冊作るというのは、それこそ家族以上にお互いのことを理解し合わなければ成立しないので、ある意味で必然でもあります。

話は逸れましたが、今回、青木選手のセコンドをやって感じたことは、レスラーたちはみな、派手な振る舞いをしながらも必死に生きているということです。

僕が非日常に感じていた華やかなリング。

今回はじめて、そのリングの裏に入ったのですが、そこにはあまりに日常的な現実があり、胸がジンジンしました。

狭い6畳ほどの控え室に、僕がかつて熱狂したPRIDEの主力選手が集まり、壊れた膝にテーピングを巻きながら、

「仕事行く前に洗濯くらいはやっていってと嫁に言われた」
「サプリが安くなるからフィットネスジムでバイトしようかな」
「靴底がはがれたから裸足で試合しよう」
といった会話を繰り広げていました。

今回のイベントはいわゆるインディーの大会で、1試合5万円以下のギャラでガンガンぶつかり合いをしています。

試合後に、汗まみれのままシャワーも浴びず荷物をまとめていたある選手が、

「30分後に出発する高速バスに乗って大阪まで帰らなくてはいけない」と言っているのを聞いて、僕はこんなぬるま湯で生きていていいのかと強く感じました。

いわゆるホワイトカラー的な仕事も別に楽ではないですが、たまに身体ひとつで稼いでいる人に触れると、自分は指示をしてるだけで仕事をしている気になってはいないか、既得権の恩恵に預かっているだけではないか、と身が引き締まります。

学生時代に日雇いで、引越しやイベント会場の設営など、丸一日働くと全身ボロボロになって6000円みたいな仕事をしていたので、改めてその当時に感じた肉体労働の過酷さを思い出しました。

もちろんレスラーたちは好きでやっているので、目がキラキラしていたし、同情する必要もないのですが、僕も、こういった身体を張って生きてる人たちに負けない熱を持って、パソコンを打たなければと決意を新たにしました。

メディアにいると、上から目線や特権意識みたいなものが、知らず知らずのうちに身体に染み込んでしまうものです。

我々が世論を動かしている、などといった勘違いが、いわゆるトランプ現象の元になったL(ローカル)の怒りを呼んだ気もします。

トランプはプロレスに出たことがあるくらいだから、Lの気持ちをよくよく、わかっていたのかもしれません。

そんな勘違いを起こさないためにも、ホワイトカラーのビジネスパーソンほど場末のプロレスを観戦してみるといいと思います。

是非、興味のある方は一緒に行きましょう!

Lの生き様を肌で分かってこそのG(グローバル)での活躍があると、僕は思っています。

では、アカデミアイベントでお会いしましょう!!

2017年4月21日  箕輪厚介

* * *

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