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【佐々木紀彦】ダ・ヴィンチとミケランジェロ。多動な2人のライバル心 #NewsPicksアカデミアレター

NewsPicksアカデミア会員限定メルマガ(2017年7月21日配信分)を再編集して掲載しています。

最強なのは、絵画か?彫刻か?

こんにちは、NewsPicksの佐々木紀彦です。

先週末、丸の内の三菱一号館美術館で開催されている「レオナルド×ミケランジェロ展」に行ってきました。

熱い夏には、ギンギンに冷房の効いた美術館は最高です。三菱一号館美術館は、シックな作りで雰囲気もよく、展示を堪能しました。

本展示では、ルネッサンス期の天才であり、「宿命のライバル」とも言われる、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ・ブオナローティの素描、油彩画、手稿、書簡など65点が紹介されています。

私はどうしても、作品よりもストーリーに意識が行ってしまうタイプの人間でして、この2人の“ライバル関係”に興味を持ちました。

ダ・ヴィンチはミケランジェロより20歳以上も年上でしたが、10代にしてスターダムにのしあがったミケランジェロを強烈に意識していたようです。

その2人がぶつかりあったのが、「絵画VS彫刻」論争です。

ダ・ヴィンチは、「絵画こそが、詩や音楽や彫刻などいっさいの芸術や学問に勝る最高の芸術だ」と主張。それに対して、ミケランジェロは「彫刻が最強だ」と対抗するわけではなく、「どちらも素晴らしい芸術なのだから、どちらが上か比べなくてもいいでしょう」という大人の対応。

年上にもかかわらず、「俺(=絵画)が最強だ」と熱弁するダ・ヴィンチも、大人気なくて、かわいい。というか、これくらいの押し出しの強さがないと、天才はいけませんね。

2人の違いを端的に言うと、ダ・ヴィンチのほうがテック系男子っぽい。画家として才能を発揮するのみならず、建築、科学、解剖学にまで射程を広げるなど、アプローチが分析的です。

ミケランジェロも、ダ・ヴィンチに劣らず多才であり、彫刻のみならず、画家、建築家、詩人としても活躍しました。

ただ、ダ・ヴィンチに比べると、あまり理屈っぽくないといいますか、感性や感覚を重視したアプローチを好む人物のように感じます。

展示を見終わった後、「もし現代にダ・ヴィンチとミケランジェロが生きていたら、何をするんだろう」と思いを馳せました。

きっと、ダ・ヴィンチは、プログラミングをバリバリこなしつつ、ビッグデータを操り、まずは、何かアーティスティックな作品をつくるでしょう。

そして、単なる作品づくりに飽き足らず、建築・解剖学・生物学の知見も活かして、新時代の町づくりや、人間(サイボーグ)の設計にも率先して携わったのではないでしょうか。

美男子で社交性もあったダ・ヴィンチであれば、自ら起業して、グーグルを超えるような企業をつくっていたかもしれません。

一方のミケランジェロは、テクノロジーにのめり込むよりも、徹底的に人間性を見つめる方向に進んだように思います。

AIなどテクノロジーの発展により、人間と機械の境目があいまいになりつつあるからこそ、「人間とは何か」を見つめ直し、アートで表現したのではないでしょうか。あまり社交を好まなかったミケランジェロにはそうした孤高な生き方が似合います。

これからの時代はどうなるか。

間違いなく言えることは、あらゆる分野の垣根が取っ払われ、今までにない学問、仕事、思想、生活などが次々と生まれてくるということです。

そんな時代にモノを言うのは「多動×没頭」の掛け算。とくに日本人は、よくも悪くも職人肌で、大局を見るのが苦手なだけに、分野や組織や常識をポンポンと飛び越えられる人は、楽しい人生を送れるはずです。

2017年7月21日 佐々木紀彦

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