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3月15日/2023

(続き)

誰もいない中、十分英気を養った。そろそろ出発するか。杉林の一本道を歩き始める。まもなく塔ノ岳を目指す道との合流点。そこを過ぎると見晴茶屋の建物が見えてくる。その前を通過して道を曲がるとバカ尾根の始まり。見上げるような急登が現れる。ここにきて上方を登っている人たち確認。道が合流したのと道が急登に差し掛かったことで人との距離が圧縮されている。人の動きが止まっているように見えるのは毎度のこと。この坂道はキツイけれど、きちんと手が入っているので怖い感じはしないのがいいところ。とはいえこのキツさは笑ってしまうほどだ。まさにバカバカしいほどの坂道の始まり。最初の階段&坂道はなんとか立ち止まることもなく登り切れた。今年に入ってもう3度目という既視感で坂道がどの辺まで続いているか予想できることと、今日の目的地がてっぺんまでじゃないことで、ここで使うモチベーションが高いことで快調に登れているのだ。でも、駒止茶屋までの坂道はまだ始まったばかりなんだ。ここからが本当にキツい。一旦前を行く人の背中が遠くなる。しかし、まもなくまた背中が間近に見えてくる。でも、その距離は全く近づかない。さて今度は一気に登れる感じはしない。こんな急坂に階段が設えてあることが信じられない。きっと階段がなかったらクライミングに近いような山道なんだろうな。自分みたいな普通の人で山登りなんて道楽を可能にしているのはこの階段や木道を作り管理している人びとのおかげ。心の中でありがとうと何度もお礼をしないと。決してバカ尾根なんて言っちゃ失礼!!。えっちらこっちらこのバカ尾根を登る。やっとこさ建物が上に見えてくる。もうすぐだよ。駒止茶屋。最後の階段をよいしょっと登り切ると休憩用のベンチ。そこにはやっぱりバスで一緒だったうるさい人たちがいた。その先にもベンチがあったのでそこで一旦休憩。腰下ろし水一口。ランチパック今日は二つ持ってきたんだけど、もう一個は次の最終目的地、堀山の家で食べよう。まだまだ体力は充分残っている。ここからはほぼ平坦な道。逆に下りもあったりする。大倉尾根で唯一気が抜ける所だ。スピードが上がる。あっという間に堀山の家手前の坂道にかかる。楽な道はもうおしまい。ここからが本気の大倉尾根が始まるんだ。でも今日はここまででおしまい。ここまで来ると次のチェックポイントの花立山荘まで行きたくなる、塔ノ岳の頂上まで行きたくなるが、今日はやめておく。堀山の家にたどり着いたら、またさっきのうるさいのがいたけど、すぐに先へと登って行った。バカ笑いが山にこだましている。どこにでもああいうのはいるんだな。誰もいなくなったベンチに腰おろし今度こそランチパック食べる。ここは林の中。視界は開けていないし、駒止茶屋からの道が楽なので通過ポイント的なのか、次々と人が通り過ぎていく。行ってらっしゃい!、がんばって!!。休んでいると体が冷えてくる。そらもグレーのままだ。ここから続く急登を眺めながらフッと息を吐く。今度来る時は塔ノ岳の向こうの丹沢山まで。心に誓いながら。さてそろそろ帰ろう。荷物背負って再び今来た道を引き返す。緩い下り道から。快調なスピードでどんどん進む。山道が全てこんな感じならいいのにな。だったら山になんか来なくてもいいので、やっぱりそうじゃない道に突入。駒止茶屋から足がすくむような急階段。奈落の底まで続くような感じ。一歩一歩慎重に!。一気にスピードが落ちる。というか失速。登ってくる時に比べて、モチベーションが切れてしまったのか、やたらに道程が長く感じる。そして足の疲れを感じる。毎度思うのだが、このバカ尾根は登りはもちろん大変なのだが、下りはもっと大変。今日は塔ノ岳の道程の半分ぐらいまでしか行っていないのに、やっぱり疲労感は想像以上。やっぱりバカ尾根。侮れない。次に来る時は登りはもうちょっと自重して行った方がいいな。見晴茶屋を過ぎると急坂もおしまい。杉林の合間に日が差してくる。上の方で感じていた寒さもない。杉林を抜け舗装道に戻ってきた。バス停まではもう少し。登山口を後にすると、もう、そこは春爛漫。バス停まで戻ってベンチに腰掛けストックしまったり、ゴミまとめたり、帰り支度。また来るよ。ありがとうバカ尾根!!。

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