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スポーツノンフィクション 咬ませ犬 後藤正治

競馬の世界で有名な後藤正俊氏ではなく、後藤正治氏の作品。
5つの雑誌記事を1冊にまとめたもので、ボクシング、野球2軍監督、ラグビー、登山、そして競馬厩務員について書かれている。

競馬厩務員について書かれた「ライアンの蹄音」は、題名の通り、メジロライアンを担当されていた奥平厩舎の小島浩三氏についての作品。
ほかにもメジロドーベルやエイティトウショウなどを担当されていたのだというから凄い。

クラシックの惜敗、マックイーンに勝利した宝塚記念、その後の苦悩など、メジロライアンについては色々な流れがあるが、その流れがしっかり入ってくる。本題とはずれるが、小島太騎手がランドジャガーのダービー(関西三強のいたロングエースのダービー)を勝てたダービーと認識していることを知れたのも収穫(但し、2015年のサンスポ記事ではハクチカツで挑んだカカブラヤオーダービーが勝てるダービーだったとされている)。

元々の記事は中央公論に掲載されたもののようで、インタビューをただ並べたり、ライアンの戦績をだらだら振り返るようなものではなく、筆者がしっかりと自分で練り上げた、重厚なノンフィクションになっている。
ネットのページビューを稼がないといけない昨今の記事とは大きく異なる文章で、色々な意味で時代を感じる読み応えある作品。


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