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ベガとアドマイヤベガ―奇跡の親仔物語 木村俊太

題名の通り、ベガとその子アドマイヤベガについての伝記。アドマイヤベガ引退前に書かれた本。もちろん、近藤オーナーと登場人物の関係もまだ良好。また、松田調教師もまだ若く、騎手の乗り方に注文をつけない人として書かれている。ブエナビスタに至るまでに何があったのかはちょっと知りたい。

ベガの脚が曲がっているという話は有名で知っていたが、夏の削蹄ミスの話は知らなかった。馬の早熟晩成というのは難しい概念だと思うが、ベガのように、生来馬体にあったリスクが顕在化して脚が悪くなり、調教や仕上げが難しくなるのも、一種の早熟なんだろうなと思った(松田調教師は反発するのだろうが)。
近藤氏がベガに早い時期から目をつけていたことも知らなかった。このあたりの思い切りの良さはさすが。

後半のアドマイヤベガは、ダービーまで主役の馬生なのでストーリーは有名。ただ、皐月前の不調を騎手に言ってなかったのはこれも知らなかった。とはいえ、弥生後の雰囲気など、トップロードが目立ちがちな昨今だと伝わりづらい空気感がしっかり出ているこの本は大事。

ダービー後の菊花賞の敗因など、危なっかしいところは軽くながしているあたり、大人な本。
近藤オーナーからここまで聞いた本というのも珍しい。あくの強そうな人に食い込んだ作者は凄いのではなかろうか。松田調教師との関係で言うとアドマイヤドン物語も読みたいし、もっと言えば数年前に亡くなった近藤オーナーの伝記とか書いてくれないものだろうか。




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