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馬産地ビジネス―知られざる「競馬業界」の裏側 河村清明

アグネスデジタルの天皇賞制覇を機に書かれた本で、日本競馬がかなり暗い時期。新潟三条が廃止され、北海道も危機の最中。
このあと北関東3場が廃止される。

そんな中で、馬産地を巡って色々な人に聞き取りをした、画期的な本。
執筆当時安定扱いのメジロ牧場は既になく、マギーファーム小寺氏についてはネット上に変な噂話が載っている。マイネル岡田氏が勝負を賭けたカームとマイネルエクソンの結果も出ている。
ただ、勝負をしたからこそ成功もあれば失敗もあるので、それを後世からどうこう言うべきでは無かろう(犯罪的なことをしていたとすれば、アウトであるが)。結果は運次第であるが、北海道にいる様々な勝負師の、勝負に挑む姿をきちんと取材して、それを20年後に読めるのはありがたい限り。

河村氏は今となってはマイネルなどに深く食い込んでいる印象だが、当時はそうではなく、まさにゼロから取材先を開拓して執筆している。
ゼロから聞き込みをしているのが、かえって読みやすく、読者も作者と一緒に勉強している気分になれる。
日本時代の若き吉田直哉氏の話などもあって、こういう時代に様々な方々の話の記録が残っているというのは本当に貴重だと思う。


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