教師が「校則」という武装を解除すれば、人生最初の社会的排除となる中退は減るのではないか? 〜ぼくが黒髪集団とカラフル集団にセミナーして思ったこと〜

最近、 校則についてちょっと感慨深い体験をしたので、是非皆さんとシェアし、校則について改めて考える機会を持ちたいと思う。ちなみに、ぼくはシェアするココロという会社を細々と経営していて、関東圏の高校のキャリアガイダンスをお引き受けしている。

ある日、某県立高校の3年生80人を対象とした面接対策というちょっと無茶なご依頼をお引き受けした。会場となる視聴覚室に、黒髪の男女80人に集まってきた。全員が着席し、出席を取るだけで10分近く用し、ぼくは残り時間を気にしつつ、セミナーを開始した。

案の定、賑やかなセミナーになり、前の方に座った真面目ちゃんたちに、「大変だね」という憐れみの視線をいただきながらの汗だくの50分となった。呆れたことに、この教室には3人もの先生がいて、時折注意はしてくれるものの、一向に騒ぎは収まらなかった。

勿論、ぼくの講師としてのスキルにも課題もあり、反省もするんだけど、「先生たちはこの子たちを諦めている」と、ぼくは感じた。40分間マイクを使って喋っていたのに、終了後、ぼくの喉は枯れていた。

また別のある日、某県立高校で50人弱の集団に対して、志望動機の書き方セミナーを実施した。この学校には頭髪指導と服装指導がないらしく、カラフルな髪型の私服混じりの高校生たちがチャイムとともに集まってきた。

正直、ぼくはこの見た目から、開始前にどうなることかと少し心配した。だけどこの心配は杞憂に終わる。彼らは50分静かに、しっかりとアイコンタクトを取り、「なるほど」って感じでうなずいてくるし、メモもちゃんと取っていた。

寝てた生徒は数名いたけど、お喋りする生徒(人の邪魔をする生徒)は1人もいなかった。ちなみに、付いていた先生は1名だ。講師としての満足度は非常に高かったし、終了後、フレンドリーにお礼を言って退室していく生徒が多かったの嬉しかった。思い起こせば、入室時にぼくを見てなんらかの挨拶もしてくれていた。

ぼくは、この2つの体験をずっと反芻していた。誰かれとなく話しながら、ぼくの実感を確かなものにしようと努めた。そして、私服の高校に通っていたという方の想い出を聞きながら、1つの確証を得たような気がしている。

念のために書いておくと、黒髪の集団とは、頭髪・服装指導を徹底している高校で、カラフルな頭の集団は、それらの指導をしていない高校のことだ。一般的には、カラフルな高校生徒たちをダラシない子たちと、見做しがちなのではないだろうか? ぼくも、御多分に洩れずそんな思いを抱いたことを反省している。

実は、黒髪の集団に対して、ぼくは強い徒労感に襲われながらも、特別な感情は抱かなかった。ましてや、「校則」について思いを馳せるようなことはこれっぽっちもなかった。

しかし、カラフルな集団に出会った時に、ぼくは、あの黒髪集団の騒々しさの理由が不意にわかったような気がした。あれは、自分たちの個性や人権を認めようとしない大人たちへの言葉にならないシュプレヒコールだったのではなかったのか? そしてぼくも、そんな大人の1人として見做されたのではなかったのか?

カラフルな集団のあの真剣さは、間違いなく大人に心を許している静けさだった。大人の話を聞こう、きっとこの時間は自分のためになる話が含まれている、だって学校でそういう場所だから、という構えがそこにあったような気がしてならない。

何故なら、あの学校の先生たちは、きっと生徒たちの他愛のない「なんで?」に付き合い、彼らの話をちゃんと聴き、自分の思いを言葉にしているんだろう。そして、生徒を信じて校則をなくしたのだろう。

大人たちに信じてもらえてる安心感が、あそこにはあったんじゃないかな?

髪の色で生徒でぶつかり、指導すれば、その先の指導が何も入らなくなる。ぼくの知る、頭髪指導をなくした高校の校長先生は、頭髪指導をなくしたことを、「教師の武装解除」だと皮肉っぽく言っていた。

生徒の他愛もない「なんで?」に「校則で決まっているから」と答えている、校則という盾の向こうの教師に、生徒は心を開かない。ぼくは思う。生徒のありのままを受け入れ、どんな屁理屈にも社会を代表する大人の1人として耳を貸し、一人ひとりの生徒に好意的な関心をもって付き合ってもらいたい。

この姿勢なしに、ただ髪型や服装を自由にさせているだけでは、教師たちの校則による武装は解除されないのだ。

最後に、僭越ながら先生たちへメッセージを送りたい。心の武装解除をすれば、きっとあなたが先生を目指した喜びを、今よりももっと感じられるようになると、生意気ながらぼくは思いますよ。

そして、皆さんもこのことを「どう思う?」って、誰かと話してみてほしいと思います。

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NPO法人パノラマ 代表理事 石井正宏のほぼ毎朝コラム。主に子ども・若者支援について書いています。
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