常備薬のミラグレーン錠が切れた。死活問題である。
私はお酒を愛しているがお酒からはさほど愛されていないので度々酷い目に遭う。
吐き気にくるタイプなので本当につらい。
これまで幾度寝床で丸まりながら（ああ神様ごめんなさいもう決してお酒はのみません）と誓った事だろうか。
その誓いを反故にした報いである。
ここで登板されるのがミラグレーン錠で、一回2錠の記載を無視して5錠飲む。
そうすると幾分早く二日酔いが軽減されるのである。

歯医者帰りの夫が処方箋を取りに薬局へ行くというのでそれに同行する。
ミラグレーン錠はそんじょそこいらのﾎﾆｬキヨだとかﾎﾆｬエイトだとかでは取り扱っておらず、結構ガチめな薬局に行かなければいけない。
近所の取扱店は駅前にある昔ながらの薬局しかないので、夫と共にそこに向かった。

「すみません、ミラグレーンありますか？」
「えっ！ミラグレーン？！今ねえ、全国の薬局で品切れなんですよ」

何っ。
ガチめな薬局のおじさん曰く、薬の生産が追いついておらず入荷もいつになるかわからないそうで、それを聞いた私も残念だったがおじさんの方がより残念そうだったのでちょっと笑ってしまった。

「急に売れちゃってねえ。わからなくて。何でだかご存知ですか？」

逆に訊かれる始末である。
多分ちょっと前にtwitterでこれが二日酔いに効くと話題になったからじゃないですかねえと伝えるとおじさんは胸ポケットからこれまた昔ながらのガラケーを取り出して「私はこれなもんでSNSには疎くて…」との事だった。
そこから近所にお住まいなんですか？いやあ残念だなあ本当に申し訳ない…とひたすら続けてくるので何だかこちらもそんな貴重な薬を気軽に求めて申し訳ないと思った。
まあないものは無いのだし、おじさんに至っては全く謝罪の必要も無いので笑顔でありがとうございますまた来ますねと伝えて帰路に着く。

「あ、処方箋忘れてた」

そう言えばそうだ。
他人事なのですっかり忘れていた。
また来ますねとは言ったものの、さすがに先程の薬局に戻るのは何だか気まずいので結局そんじょそこいらにあるﾎﾆｬエイトへ向かった。

すみませんﾎﾆｬエイトさん、いつもお世話になっております。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。