2023年NHK版「犬神家の一族」 


面白かったです。
脚本家の腕がいいですね。
横溝正史さんの感想を聞きたかった。

以下、ネタバレありますのでご注意ください。

金田一はいつも事件がすべて展開したあとに謎解きをする立ち位置で、小説としては当然の役どころですが、「名探偵」ならば事件の展開を断ち切るはず。
金田一はいつも事件をどこかで防げなかったことを自己嫌悪していると思うのですが、世間では自分のことを「名探偵」とよいしょする。このギャップに光を当てた点が気に入りました。今回は、まんまと佐清の策略の片棒を勝つがされた。この絶望感は深かったでしょう。

二つ目はやはり佐清。
なんでもありの戦地を生き抜けて来た佐清が、犬神家の当主となるために熟考し使えるものは全部使う、という判断をするのが当然だと言われれば、そうだなと思いました。
戦後の政治家・実業家の中で、旧軍人・旧軍属が少なからず大手を振った、いわば戦後の影の部分のメタファにも見えて来ます。

三つ目は大竹しのぶさん。
賛否両論あるようですが、私としては新しい松子像を打ち出した点、また佐清に対する疑心と安堵をうまく表現できている点で成功だったと思います。

再放送、もう一度見たいです。



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