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名刺ゲームの制作ノウハウ ver.1

2019/12/19にver2を書きました。

はじめに

同人ボードゲームで名刺印刷を利用したカードゲームを2種類ほど作ってみて、いくつかノウハウが溜まったので書き留めてみようと思います。

名刺ゲームのよいところ

名刺ゲームのよいところはなんといっても、低コストで作れることです。初めて作って即売会で頒布しても売れないことは多いに予想できるので、なるべく小ロットで低価格で作りたいところです。

低価格とはいえ、名刺もれっきとした印刷でプリンタで印刷したものとはまったく違う出来栄えになります。

名刺の特徴

用紙サイズが固定
用紙サイズは名刺でも欧米型とか何種類かありますが、後述する箱の関係から一般名詞のサイズ(91x55mm)を選択するのが無難です。一般的なカードゲームのカードより縦長になります。(一般的な、といっても多種多様ですが名刺よりは横の幅が広い)
用紙サイズが固定とはいえ、遊ぶには不便がないサイズです。これに適したカードデザインにすれば問題ありません。

カードは100部単位での発注となる
名刺印刷は基本100部ずつの発注になります(もっと小ロットでの受注をしているところはありますが、割高になる)
ゲーム内の全てのカードがユニークである場合は100部単位でロットを作る必要があります。後述する箱も100部単位で売っていることが多いので100個作るのが効率がいいです。

角丸や特殊な紙を使うと高い
角を丸くすると高級感がでるので、そうしたくなりますが角丸にするだけで印刷代が2-3倍くらいになります。角丸くんなどで手作業でやるとコストゼロですが、カード40枚のゲームを100部作ると4000枚のカードの4角をやるので16000回作業しなくてはいけません。相当しんどいと思われます。
角を丸くするなら、名刺印刷ではなく同人ボードゲームを請け負ってる印刷所を利用したほうがいいと思います。特殊な紙もそうで、名刺印刷を使うならば220gくらいの厚さのマットコート紙などを選ぶのが良いと思います。(一番安いもの。ただし薄い紙や上質紙などだと適さない場合がある。見本を取り寄せて実物をみて選ぶとよい)

箱について

箱はボードゲーム/アナログゲームを作ってみると、ゲーム自体には使用しないのに一番コストがかかる部分であることがわかります。とはいえここがしょぼいと、全体がしょぼい印象になってしまうのでおろそかにはできません(重要なのは中身なのに!)
選択できるのは、
(1)印刷所で箱を印刷してもらう
(2)汎用の名刺箱を購入しラベルなどを貼る
(3)ジッパー付きビニール袋に入れる
です。
1は、一定部数を発注しないと単価が高くなってしまうので、一回頒布して反響がよく大幅に増販できそうであれば検討する、としたほうがよいと思います。もっともその場合は中のカードも名刺印刷よりグレードの高いものを選んでもいいかもしれませんね。
2と3は、安く済みます。ただ3については購入する側としては保管もしづらいですし見た目もよくありません。ここでは2を推奨します。

汎用名刺ケースの種類

名刺ケースといってもいくつか種類があります。まずプラスチックケースか紙ケースか。プラスチックケースはフタとソコで分かれる「かぶせ箱」の形状になります。丈夫で安いのが良いですが名刺ケース感も半端ないです。組み立てる必要がないので手間がかからないです。
紙ケースの場合はかぶせ箱とトランプなどでよくある「キャラメル箱」、他にもいろんな形状があります。
どれが正解かはわかりませんが、カードが40枚程度であればキャラメル箱が個人的にはおすすめです。次のような利点があります。
(1)カードがぎっちり入った状態だと剛性があり、持ち運んだときに潰れたりする心配がない。
(2)名刺サイズにほぼ近いサイズになるので非常にコンパクトで、持ち運んだときに場所を取らない。
(3)製作者側としては在庫が場所を取らない、イベント会場に発送する際にコストが安くなる
(4)通販することになったとき、最小サイズなので一番安いコストで発送でき購入者の負担を減らせる。
拙チームの「プログラム言語神経衰弱」については将来的に拡張カードを頒布する計画を持っていたので、最初から100枚入るケースを選んだというのもありますので、よく考えて箱を選びましょう。(箱を考えてゲームを作るのではなく、ゲームが完成してから考えるで良いと思います。)

サンプル制作の便利アイテム

ある程度アイデアもかたまり、手書きのカードでテストプレイをしたあと、かなり本物に近い状態でサンプルを作り、関係者外でのテストプレイをしたいタイミングがあると思います。名刺印刷の場合、100均の名刺印刷用紙を使うと本物に近いものを低価格で作れます。プリンタのインクも100均のを利用できると安上がりです。
https://iemonocatalog.com/business-cards-paper-itemlist/

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ただ名刺印刷用紙で作った名刺は印刷された面積が多いと非常に滑りが悪くなります。シャッフルしたりカードを配ったりするのがやりづらいです。おすすめはハードスリーブに入れることです。これに入れると非常にプレイしやすくなります。ソフトとハードがありますが、ハードのほうが良いと思います。また裏面に情報がないカードの場合はどんなスリーブでもよいですが、裏面にも固有の情報があるカードの場合は透明スリーブである必要があります。

いったんここまで、各種費用などの情報はまた書きます。

お金の話

自分が最初に同人ボードゲームを作ろうと思ったときに一番気になったのは費用です。いったいどのくらい費用がかかるものなのか。

名刺で作る場合、名刺100枚は約500円と考えるとよいと思います(ラクスルで両面4色220gマット紙、7営業日納品)。

40枚のカードゲームであれば40x500=20000円です。
60枚のカードゲームであれば30000円です。
そこに送料がかかります(ラクスルの場合は570円)

そこにマニュアルと箱を入れた額が総費用です。

マニュアルはゲームによって分量が変わるので非常に難しいです。コストを下げるのであればなるべく単純なゲームにマニュアルもA5サイズ1面くらいで収まると非常に安くなります。初めて作ったときはマニュアルはA5サイズ両面を家庭用のプリンタでA4サイズで2部になるように印刷し、カッターでA5サイズに裁断して手で8つ折りにしました。これは相当大変ですが100部ならなんとかなります。家庭用のプリンタよりは印刷所に頼んだ方が質はよいと思います。

もし非常に単純なゲームであればマニュアルを3つ折り名刺で作るのもありです。よくあるスタンプカードなどで使われるもので、アドプリントで送料込みで100部4000円程度で作れます。

箱は名刺用の箱がいくつかあります。初めて作ったときはこの箱を利用しました。100個で6000円です。
https://www.useuse.com/SHOP/FS93_black.html
さすがにこのままだとのっぺらぼうなので、ラベルを貼ると良いと思います。これもラクスルで頼むと4000円くらいです(80x45mmで用紙や割り付けなどはオススメを選択して7営業日納品)

40枚のゲーム+3つ折り名刺マニュアル+汎用的な名刺箱にラベルを貼るのであれば、20000+4000+6000+4000+各送料です。36000円くらいでしょうか。100部なので1個360円の原価です。

実際はサンプル用としていくつか頒布用とは別に取って置いたり、自分用や何人かのグループで作っているとしたら、その人達の分も除くので頒布できる量は少なくなります。原価400円くらいで見るとよいでしょう。

初めてトライするのに36000円は(人にもよりますが)とっつきやすいかなと思います。1000円で頒布するのであれば36個頒布できればリクープできます(初参加で36個頒布するのもなかなか難しい)。ゲームマーケットに出展するのであればサークル出展料などもかかるのですが、あくまで趣味なので完全に元を取ろうとするよりは、無理なく次につながるように楽しむのが良いかなと思います。

ボードゲーム制作はやってみるといろいろなノウハウがあり、まず経験することが重要かなと思うので、いきなり市販レベルのものを目指して50万円くらいかけてしまうよりは、低コストで作るのを体験するのがよいんじゃないかなと思っています。

とはいえ、最近は全体のクオリティが上がりすぎていて、こういうものは見向きもされない可能性もありますが。。。もう少しハードルが下がるといいなと思っています。


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