中部電力を巡る電力カルテル事件等について

1 電力カルテル

 地元の電力インフラを支える中部電力さんですが、電力販売が自由化されて以降、他社と共同して取引制限をおこなった等として独占禁止法違反が指摘されています。

 こちらは令和5年3月30日付けの排除措置命令等。中部電力(ミライズを含む)は、関西電力と共同して、中部電力管内及び関西電力管内に所在する大口顧客へ小売り供給する電気について、互いに相手方の地域における営業活動を制限し合う旨の合意を交わしていた等として、出されたものです。
具体的には、電気料金や見積もり提示に関する情報交換を行わない、意図的に、成約が見込まれないような見積額を提示(あるいはそもそも見積もりを辞退)して、相手方の顧客を奪わないような配慮をし、結果的に電気料金の値下げに歯止めを掛けていたとされています。

 そもそも、このような提案を持ちかけたのは、電力自由化に伴い値下げ競争を始めていた関西電力だったようですが、この公正取引委員会に対する申告も同電力によるものであり、関西電力は課徴金等が免除されているところです。

 なお、こちらの措置命令等に対しては、中部電力は認識に相違があるなどとして取消訴訟を提起しています。

 他方、同電力の株主からは役員に対する代表訴訟が提起されており、訴訟案件が複数並行している模様です。


2 ガス供給に関するカルテル

 今年3月に新たに公表された事案。
 こちらは中部電力(ミライズを含む)が東方瓦斯と共同して、大口の都市ガスについて受注予定を決定して取引制限を行ったものです。いわゆる官製談合、入札談合といわれるものですね。

 こちらについては取消訴訟等はされないようで、むしろ自ら違反事実を認めて課徴金減免制度の適用を申請したようです。課徴金額も、上記の電力カルテルに比べたら低いです。



3 その他不祥事

 中部電力が公表された中で、不祥事に当たり得る事案。規模が大きい分どうしても不祥事は避けられないかも知れないですが、再発防止を期待したいところです。

従業員証の紛失

静岡県内の従業員が窃盗容疑で逮捕


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