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【相談者の方向け】離婚関係の案件について

私は離婚事件を受けることも多いですが、新たに相談されたい方や、依頼をされたい方に、毎回お伝えしていることをまとめます。

離婚案件は必ずしも望んだ通りの解決になるとは言えません。
婚姻費用や養育費であれば算定表がベースになります。それ以上の金額が簡単に認められることはありません。また、離婚が認められるほどの別居期間は数年必要です。直ちに別居して離婚が認められることはまずありません。DVを受けた、モラハラを受けたと言う事案もありますが、それが裁判上も認められる程のものかというのは難しい問題です。はっきり言って、一般の方が考えるよりも、裁判で認められるハードルは高いです。

依頼を受けましたら、もちろん、誠心誠意、こちらの有利なように進めたいと思いますが、それが実を結ぶ保証はできません。弱気な弁護士と批判されることを覚悟で言いますが、弁護士倫理の一つに、安請負いはしてはならないという考え方があります。
勝てもしないこと、できもしないことを、勝てる、できるということ自体が、弁護士バッジを揺るがす危ない行為になります。私からすれば、何の根拠もなく、大丈夫です、勝てます、できますと簡単に言っている弁護士こそが問題が有ると思いますし、一般の方に対しても、そうした弁護士に相談されることをお勧めしません。
最近では、国際ロマンス詐欺と言って、回収の見込みがない案件を、あたかも回収できるかのようにそそのかして多数の依頼を受けている弁護士事務所があります。これは犯罪に近いと思いますし、淘汰されるべきです。


また、巷では、弁護士は離婚ビジネスで金を稼いでる、と批判されることもありますが、それが正しいとは思いません。

例えば、調停の回数は、往々にして10回近くを重ねることがあります。荷物をどうするか、保険証をどうするか、などの細かなやりとりにも時間を注がなければならず、手間がかかるのは明らかです。
書類も作成しなければなりません。面会交流や荷物引渡しの場合、家から出て行ってもらえない相手方に退去を求める際には現場に立ち会いもしなければなりません。
弁護士費用の算定基準は事務所それぞれによるとはいえ、一般の方から、ボロ儲けだ、金稼ぎだ、などと言われる筋合いはないと思っています。

(一般の方から不満が出てしまいがちなのは、弁護士に依頼しても望むような結果に落ち着くとは限らない事案が多くあるからではないかと思います。
弁護士に頼むことは、審判移行時、訴訟移行時にどのような判断がなされるかをきくこともありますが、それ以上に、ともに調停に出席し、苦しみや辛さを分かち合っていくことにもメリットがあると思います。弁護士との相性も考えながら、そうした意義を見出していただけるか、というのは、ぜひ検討いただきたいところです)

 
そのあたりの方向性を共有できる方のために、依頼をいただき、誠心誠意、頑張りたいと思います。
よろしくお願いします。


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