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鞍替えの話(CK98とHHKB)

唐突に「キーボード、欲しいな」となり、1ヶ月もしないうちに中華製メカニカルキーボード輸入からのHHKBまでいってしまった事の顛末。

「キーボードが欲しいかも」

8月中頃に唐突に沸き起こった欲望。
多分、インスタのおすすめにキーボードASMRショートみたいなものが上がってきたのがきっかけだった気がする。
きっかけすらまともに覚えてないお年頃。
メタは「あっ、こいつ興味持っとるな」と嗅ぎつけると執拗に関連動画をぶつけてくる人たちなので、おすすめはあっという間にキーボードで埋まり、数日経つ頃には私は据わった目で「どのキーボードにしようかな……」と考えていた。

「やっぱり“打鍵音”だよね」

何が“やっぱり”なのかはよく知らんが、私は打鍵音を最重要視していた。
そういえば、昔仕事で触っていたiMacも純正キーボード(本体透明のやつ。M9270J/Aで検索すると出てくる)で打ち込むポコポコとした音と感覚が好きだったな、と思い出し、な~んだ、自分にもキーボード好きの素養があったんや、と勝手に(あまりにも唐突すぎる)購買意欲を正当化するなどしていた。

そうしているうちに行き着いたのがYUNZIIのCoolkillerというキーボード。
ちょっとだけ聴いてみて欲しい。

このポコペケポコペケ音が「良い……」となり(昔のMacキーボードの音に近い気もしたし)Amazonで購入。
お値段は……多分、時短勤務で手取りが著しくナーフされている人の親が思いつきで払っていい金額ではない。
いや、でもやっぱりいいよ、この音。
私はこの音を聴くと私はマイクラで整地したあとにスタックしきれずそこら一帯に散らばった土を一気に回収していく瞬間を思い出します。伝わりますよね?

いい年をした大人が買うビジュアルじゃねぇだろと思われるかもしれませんが別にええやろ。なんか買うからには「ワァ!?」ってなりたいじゃない。
更に、どうせ買うならおもろい方がええやん、と思ってスクリーン付きのCK98という製品に決定。
何よスクリーンって。キーボードにおまけで付いている小指ほどのスクリーンがなにか人生の役に立つか? 立つわけないだろ。でもいいの。面白いから。

「馬鹿のキーボードや!」

そんなこんなではるばる中国からやってきたキーボードがこちら。

目が潰れる光量

馬鹿のキーボードや。
想像の100倍光る。4歳のキッズが手を叩いてぴょんこぴょんこ跳ねながら大喜び。わかるぞ。
ポケモンショックさながらの閃光を放たせたり、エモい感じで光らせたり、スクリーンに謎のGIFを表示させたり、もちろん打鍵しまくったり、ひとしきり遊んで(キーボードは入力デバイスであり、おもちゃではありません)満足した私は思った。

「職場用キーボードはどれにしよう」

何を言っているのかわからないと思うが、私もわからん。
でも一番キーボードに触れるのって職場だし……職場でも気持ちよくタイピングできるキーボードを……って思ってしまったわけで。
Coolkillerの打鍵感がいたく気に入っていた私は、Coolkillerのテンキーレスと、同じく中華製のKiiboomをメイン候補に据えつつ、その他候補をリスト化。気づけばYouTubeのトップページはキーボードレビュー動画で埋め尽くされていた。暇なの?
(ちなみに今、めちゃくちゃ忙しい。これは完全なる現実逃避です)
でもな……職場だしな……閃光で同僚の目を潰すのも憚られるし……と思っていたときに思考の端っこからこちらを伺っていたのが……

――静電容量無接点方式

知ってはいた。キーボードを調べ漁っている中で目にしないわけがないのである。
常に視界の端っこの方でチラチラしていた彼らが、職場というワードを聞きつけて「自分、適任ですけど……」と遠慮がちに挙手しまして(?)

ちょうどよい頃合いで楽天スーパーセールが始まったので5のつく日にポチり、翌日、6のつく日に届きました。

正反対な君と僕やん、こんなの

話がとても早い。私のいいところであり最大かつ致命的欠点。
遠からずこの欠点で命を落とすと思う。

「HHKB」

静電容量無接点方式というと、HHKB、リアルフォース、NIZの三大勢力。
(詳しいことは多くの先人達がこれでもかと語ってくださっているので割愛)
その中でなぜHHKBなのか。なんでなんだろうな。
ミニマルさ、あとは一生使えるというコンセプトあたりがやっぱり良いなと感じたんだと思う。鞍の話もぐっと来ちゃった。ちょろい人間なので。

もとより「長く使えるよいもの」が好きな人間なので、秒で飽きて放り出すSDGsも真っ青な消費生活を送る一方、自分にカチリとハマったものは10年、20年使い続けたりもする。
その「カチリとハマるもの」になりそうな気が、したんだよな。

ちなみに、リアルフォースはビジュアルが全くハマらなかったのでボツ。持ち運んで使いたいなという運用方法にも適合しなかったし(リアフォ使いの方をdisる意図はまったくもってありません。許して)
NIZは正直まだ気になってる。
X99のテンキーを抱きつつも凝縮されたあのコンパクトさとパステルのカラーリング、めっちゃ可愛くないですか?(持ち歩き運用するんじゃないんか?)

でもまぁ、まずは「王道」、いってみましょうということでHHKB。
どうしても合わないってときにもリセールバリューがあるし

「思ったほど白くないな」

雪のUS配列買ってみたけど、言うほど白くないやん、君。という第一印象。
まぁこれから手垢まみれになっていくこと考えたらこのくらいがちょうどいいのか。
左上、右上の刻印は大変気に入らないのですがギリギリのところで容認。
無刻印豆腐軍に手を出せるポテンシャルは私にはないので。
刻印あり本体+無刻印キートップのセットがあるのに、無刻印本体+刻印キートップがないの……わかるけど、私は後者が欲しかった。

肝心の打鍵感は「皆様が大絶賛する静電容量無接点方式、こんなものか」というこちらも第一印象だったのだけど(馬鹿のキーボードの打鍵感と比べると打ち応えが物足りない気がして)しばらく触っていたら、なんか……いい気がしてきた。つくづくちょろい人間。
変態キー配列に慣れるまでには少し時間を要しそうだけど、しばらく触ってみようと思う。

万年筆(文房具)好きな人間とこの手のキーボードの親和性、とても高いのでは

ということに、気づいてしまった。
出力がデジタルなのか、アナログなのか、といった違いはあれど、紡ぐ道具に魅力を感じるという点で。

パンタグラフには戻れない

ということにも気づいてしまった。
社用のマウスコンピューターのパチャついたキーボードがすでに打ちづらい。恐ろしいことである。わたしたち、あんなにパチャつきあっていたのに。
ということでHHKBを持ち運べる装備を整えました。
キーボードルーフは純正ではないけど、ゴムバンドついてくるのがいいなと思って選んだ。
来週辺りにはパームレストを買っている気がするし、そのうち尊師スタイルにも手を出す気がする(この言葉もキーボードについて調べるうちに初めて知った。最初はヒゲのあの顔がよぎったけど、プログラミング界の神由来なのね)
あ~楽し。

ひとつめちゃんとギュスターヴくん

とりあえずダダダと書き連ねてみた。
SNSと仕事以外の文章を打つのが100年ぶりであった。
お仕事に戻ります。

この鞍……なんか馴染んできたぞ……


アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。
馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。
いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。

東京大学 名誉教授 和田英一

HHKB公式HPより(https://happyhackingkb.com/jp/)


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