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『お江戸で一番推したい神様』

本日は、江戸の神様についてお話したいと思います。

先日「稲荷信仰」について少し触れましたが
江戸は『いせや 稲荷 に犬の糞』が名物と言われるほど稲荷信仰がさかんでした。しかしそれだけではなく、万物に神が宿るとし『八百万の神々』を大切にしていました。

山や川、森や海などの自然界だけなく、
田んぼ、厠、台所・・・生活の身近なところにも神様が存在するとして共に生活をしていました。

商売人であれば毎朝神棚をきれいにして供物をあげたり、
火事が起こらぬようにと火伏せの神様のお札を貼ったり・・・

江戸の人にとって神様は生活における大事なパートナーだったのです。

そんな八百万(やおよろず)の神様の中で、
わたくしイチ推しの神様をご紹介したいと思います。

七福神の福禄寿(ふくろくじゅ)様です。

七福神とは
大黒天、弁財天、布袋、恵比寿、毘沙門天、寿老人、福禄寿の七柱のこと。


センターを陣取っておられます頭の長い方が
福禄寿様です。

私が敬愛するその理由は、こちらをご覧ください。


七福神がこどもたちと遊んでいる楽しい浮世絵です。
右上の福禄寿様をご覧ください。

他の六柱が大人(もしくは神)という立ち位置を守りながら節度ある
楽しみ方をしている中で、お手製の謎の被り物を頭にかぶり、腰を屈めて全力で子供をおいかけています。

全力です。全力の遊びなのです。


私、こういうのに本当にダメな性質でして。
好々爺と言いますか、楽しいおじいちゃんを見ると
心がホロホロとくだけてしまうのです。
その面白さはやさしさであり、真心なのです。

七福神の浮世絵はたくさん存在しますが、
福禄寿様の浮世絵はユーモラスで思わず笑みがこぼれてしまいます。

のんびり炬燵で眠っていた福禄寿様が目覚めて大きなあくびした途端、

長い頭を神棚にぶつけてしまいます。

物は落ちてくるし、猫は驚く、てんやわんやです。子供も大笑いです。通常よりも遥かに遠い枕の位置にも注目です。

大掃除で畳の埃を払っているシーン。

自らの頭部を棒代わりに、音を立ててしなる勢いで叩きつけています。
本気の姿勢っぷりに思わず弁財天も逃げ腰です。
なぜ棒を借りないのか。なぜわざわざ己の頭部を使うのか。
そんな質問は愚問なのです。頭部で払うことこそが福禄寿様の流儀なのです。

その決意は、がっしと組んだ両腕と地面を踏ん張る両足からも見て取れます。


いかがでしたでしょうか?ユーモラスな神様、福禄寿様。愛さずにはおられませんね。「福禄寿 歌川国芳」で検索しますと楽しい時間を過ごせること間違いなしです。

以上わたしの推しの神様でした。

参考文献:
『福禄寿あたまのたわむれ 雨宿り・あくび』歌川国芳
『福禄寿あたまのたわむれ 大掃除・相撲取』歌川国芳
『大江戸復元図鑑<庶民編>』笹間良彦
『戯遊七福神』歌川国芳/出典Wikipedia

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