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North Star Metricの作り方(第4回) - 実践編 後編 - 施策の実施 ・ 指標設定のポイント

こんにちは、NTTレゾナントテクノロジー アジャイルデザイン部の上田です。私たちはプロダクトの施策効果を測るために「North Star Metric(NSM)」という指標を用いて計測を行っています。今回は前回の続きで、North Star Metricの作り方  - 実践編 後編として、実施施策の検討方法、NSMを見つけるポイントについて紹介します。

<参考> Amplitude - North Star Playbook :  https://amplitude.com/north-star


North Star Metric(NSM) の作り方

<第1回:はじめに>
はじめに - North Star Metricとは
<第2回:実践編 前編>
1. プロダクトの仮説を定義する
2. プロダクトのタイプを特定する
3. NSMを定義する
<第3回:実践編  中編>
4. NSMを構成するKPIを決める
5. KPIに紐づく施策を決める
<第4回:実践編 後編>←今回はこちら
6. 施策を実施しNSMを検証する
7. NSMを見つけるチェックポイント


6.施策を実施しNSMを検証する

前回はNorth Star Metric(以下NSM)、およびKPIを高める施策アイデアを考え方を紹介しました。チームでアイデアを出したら、アイデアに優先順位をつけ、直近で実施するものを決め、開発やマーケティング施策を実施していきます。

私たちはチームで施策のアイデア出しを行うのに、miroにNSM-KPIフレームワークを作成して行っています。このフレームワークを用いることで、NSMやKPIといった指標をメンバーが自分たちで考えられ、指標に基づいてアイデアが出せる点でメリットです。また全員で一緒に考えられるため、指標や施策についてのチーム全体の理解と同意を早く得るのに役立ちます。これにより、プロダクトの成長のために今必要のない開発や指標分析の工数が削減され、やるべき施策にチームが集中できるようになります。

このフレームワークは、KGI、MSN、ディメンションとKPIを設定し、ディメンション毎に施策のアイデアを付箋で出しています。以前ブログご紹介したCrazy "∞" を使い、ディメンションごとに施策アイデアを思いつく限り書きだします。最終的には "インパクト/実行のしやすさ"で評価、優先度の高いものから実施していきます(アイディエーションの詳しいやり方については、こちらのブログを参照ください)。


【miroを使ったアイディエーション例】

NSM- KPI - 施策アイディエーション フレームワークの例
ディメンション-KPI単位でアイデアを出します
アイデアをディメンション毎にまとめ参加者が
開発容易度 と ビジネスインパクトを大・中・小で投票します
施策に優先順位をつける「Impact Easy Matrix」に
開発容易度 と ビジネスインパクトを評価した付箋をマッピングします



NSMやKPIといった指標は、一度決めたら動かせないわけではなく、変更も可能です。事業戦略にあわせ、プロダクトの戦略仮説や指標も見直しをしながら、新たなプロダクトの施策を打ち出していってください。指標は、顧客の定着と繋がる特定アクションを見つけることで(コホート分析)、新たな指標となる使い方を発見できます。特に新規事業やサービスの初期フェーズでは、NSM等の仮説根拠を示すデータが十分にない場合がありますが、こうした顧客行動の分析を行い、新たな指標を見つけながら指標をアップデートしていきましょう。

7. NSMを見つけるチェックポイント

最後に、NSMを設定するためのチェックポイントについて、Grow with Wardsの記事 「What is a “North Star Metric”? (+ 8 steps how you can discover your NSM)」から紹介します。指標の基本的な考え方は「 Lean Analytics 」で学ぶことができ、お薦めです。また設定した指標は、SMART Goals を用いることで客観的な評価や見直しができると思いますので、併用して設計の参考にしてください。


NSMをすぐに見つけるための8つのステップ

1.NSMは顧客が「成功」した瞬間です
 -  顧客が成功した瞬間=顧客がプロダクトから成果を得た瞬間と同じになります

2.NSMは顧客にとっての価値を表します
  -  顧客の価値提供を表す指標であり、計測可能であるバランスの上に成り立ちます

3.NSMは 測定可能な指標を設定します
 -  特定のアクションが実行された回数等、測定ができるものを選びます

4.NSMは 時間の期限があります
 -  時間/日/週/月等の期間に基づき、"比較"ができるものを選びます

5.NSMは 自分たちのコントロール範囲にあります
 -  顧客以外の、他の外部要因の影響を受けない指標を設定します

6.NSMは プロダクトの成長を直接的に反映するものです
-  改善や成長を伴わない"虚栄の指標"は置かないようにしましょう

7.NSMは Pirate Funnel 全体に影響を及ぼします
-  プロセスに関わる全メンバーに影響を与え、NSMの成長が各ファネルに影響を与えます

8.  NSMは ある程度の頻度で成長していきます
-  毎日・毎週と成長していくため、月約4回程度の実行アクションがある必要があります




<参考文献>

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