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出だしで詰まった時のドット絵の描き始め方(線から描く、塗りから描く)

この記事はドット絵 Advent Calendar企画の第23日目の参加記事です。

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○前文

始めまして、またはお世話になっております。鵺(@nue_dotter)と言います。

テクニック面に関しては様々なTipsが存在するので、ここではいざ
「ドット絵打つぞ!」という気分になった時に、出だしで行き詰まって
モチベーションを無くさない
よう、個人的に意識してる2種類の
「描き始め方」を紹介します。
※「描き始め方」としてますが、一応それぞれの描き方で最後まで
解説しています。

ここでの解説はどんなツールを使っても大体問題ない内容なのですが、自分は「TAKABO SOFT」さんのフリーソフト「EDGE」を使用しています。
使いやすくシンプルに機能がまとまってるので便利です。

ドットの"打ち方"はこの企画に参加されてる方の以下の記事
・「そこの君!ドット絵を描いてみない?」
(れーさん(@re_iyona))
・カレーの作り方
(銀親さん(@ginoyahutaushi ))
・理論?そんなのは知らん!感覚適当ドット絵描きの話
(puking rabbitさん(@puking_rabbit))
↑こちらが完成までのプロセス、

・光と色の基礎知識
(茶。さん(@u_ron_tya ))
・個人的な観点から見る主線の濃さの違い。主線の色を変えたらどう見える?(@JAPANwebさん(JAPANweb_SRPG))
↑こちらが見栄えを良くする考え方としてわかりやすいかと思います。

また、最近復活した「ドット道 復活版」というホームページが実例やそれぞれのテクニックの「なぜそうするのか・なぜそうなるのか」も詳しく説明されているので非常にオススメです。
ドット絵に必要な事はほぼ全て詰まっています。
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○描く前に

このページで紹介するドット絵はすべて16色で描いています。また、その際パレットを以下のように使うと作業がはかどります。

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①線から描く

(「機動戦士ガンダムUC」汎用ネオジオン兵編)


・参考例

アニメ調のキャラの顔アイコン、ブロック状のパーツで構成されたメカや球体・円柱で構成されたメカ、SD体型などを描く時にこの方法を使います。
その他、建物や大型のドット絵もこの描き方をしています。

・手順

1:参考資料などを見ながら、殴り書きからラフ画を描いていきます。マウスを使うときは直線ツールで線を描いたり消したりを繰り返し、ペンタブレットを使うときは手癖で思うまま描いてから余分な線を削ったり足したりして形を作っています。顔アイコンの構図は、昨今のスパロボ界隈では前髪~アゴ下がギリギリ入るかどうか位が良いようです。(メカの構図は「塗りから描く」で紹介します)

左右反転して、おかしなところがなければOKです。


2:ラフの色を薄くして上にレイヤーを作り、なぞるように線画を描きます。なるべくキレイな線の引き方を意識してドットを打ちますが、
絵が堅く感じる、迫力が足りないと思った時は、曲面部分のドットをわざと崩すのも一興です(ただし、線の太さは1ドットを維持します)
色を塗った後で調整を加えるので、ディテールはあまり書き込まなくても
いいです。
ラフ同様、左右反転しておかしなところがなければOKです。


3:線画に色をつけます。パーツごとに塗りわけたら、ラフをベースに影や光を書き込みます(この絵は光沢がないのでちょっと選択を誤りましたが、影と要領はいっしょなので!)。
また、影の色を使って明るい部分にかかっている線画を塗ったり、ディテールの下書きを入れます。
自分は16色縛りで描くことが多く、この時点で10色くらいは使うため、
残りの色は透過色、全体で使うハイライトの2色を残してあとを目立たせたい箇所(キャラなら顔面、メカなら広い面の影や武器など)に多めに割り振ることを意識します。

4:細部を仕上げます。ディテールや、影の色、光の色で塗った線画は、
100%のサイズで見たときにジャギが目立っていないかぎりは
いじらないほうが効果的なので、手を入れるのはなるべく後回しにします。
(気にしすぎるとそこに色数を割いてしまうので、あとあと大事な部分の
ジャギ消しや光の表現を作る時に苦労します)
線画も、ジャギ消しなどを行う過程で見え方が変わるようであれば
微調整を加えていきます。
(この絵では、アゴがしゃくれていたので修正しました)

 一晩寝かせて、左右反転してみておかしなところがなければ完成です。
もしおかしな箇所が見つかっても、それは
「昨日よりもスキルアップした」
ということなので気にせず直してしまいましょう。

昔、同じテーマで違う内容の解説を自分のホームページにアップして
ましたので、ここにリンクを張っておきます
作例はゲーム「LOST PLANET」の主人公機「PTX-40A irvan」です。
いくらかテクニックや技術面についても触れてますが、10年モノのドット絵なのでクオリティはご容赦を。

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②塗りから描く

(MAZE☆爆熱時空「聖甲機ドゥルガー」編)


・参考例

有機的な凹凸の多いクリーチャーや細部の書き分けが難しいロボ、等身が高いキャラを描く時に使います。イラストの「厚塗り」と原理は似ていて暗い色でシルエットを描いて明るい色で凹凸を書きこむ手法なので、線画無しでもある程度形状を描く技術が要りそう…というわけでもなく、案外描いてしまえばどうとでもなるのであまり気負わないで挑戦してみてください。

・手順

1:線の時同様、ラフを描きます。ロボの全身を描く時、構図は
「キャンバスの3隅ないしは4隅を埋める」ことを意識すると、
自然な構図になりやすいです。
ただ、画面ミッチリに詰めると全体的に四角いシルエットになってしまうので、四隅を埋める時は四辺、四辺を埋める時は四隅はあまり埋めないように気を付けましょう。
また、武器を持っていたり、背中や腰に翼やスタビライザーなどの部品が付いている場合、新しく作ったレイヤーに違う色で描いてます。
(今回は本体・翼・尻尾の3レイヤーで作っています)
ラフを描く際、目や口など、特徴的な部分のドットを決めておくとイメージが崩れにくく、何より次の工程でシルエットを描くとカッコよくなります。

2:ラフの色を薄くし、新しいレイヤーに暗めの色でパーツのシルエットを
描いていきます。目の位置など、気になったらここで直します。
メカやキャラの全身を描く時は体の部位ごとにレイヤーをつくり、
胴体から描くとバランスをとったり手足の位置を調整しやすいです。
また、武器や翼などは本体が完成した後で描くのでここでは放置してます。

シルエットは正確な形である必要はないですが、モチーフの資料を
参考にしつつ、出っ張りや凹みをドットを整えながら作っていきます。
PNGやGIFで出力して、左右反転して問題なければOKです。

もし何かおかしい?と思ったら、以下を試すと改善しやすいです。
・バランスがおかしい=片手や片足の位置(特に体の奥側)を1ドットずらす
・良い気はするけどなんとなく落ち着かない=頭を1ドット体に沈み込ませるか、背中側に1ドットずらすと首がすわって重心が良く見える

3:出っ張っている部分を少し明るめの色で塗ります。
暗い色に明るい色を重ねて形を作っていく理由は、
「実際の物体は影の面積が大きいので、意識せずとも陰影が立体的に描ける」
ことと、
「影が落ちる部分を自然に描くのは難しいけど、
 光が当たっている部分だけを強調して描くのは比較的簡単」

なためです。
出っ張っている部分が塗れたら、もう一段階明るい色や暗い色を
追加して、上半身をメインに角や形を強調したい部分に点々と色を置きます。
このとき、頭よりも奥にある部位は明るい色の使用を控えるように
しておくと、奥行きが強調されて絵に立体感が出ます。

4:形を整えたり、影や光の色数を増やしたりしながら仕上げます。
その際、なるべく「線を使わず影と光だけで形を描く」
よう心がけると、複雑な形状でもそれらしく魅せることが出来ます。

途中、色味が変わってるのは、「色のメリハリが無いな」と思ったので
背景を真っ黒に変更し、明るい部分が浮き出るよう色をいじった
ためです。
また、2種類の赤色を使い分けて手足と胴体で変化をつけているのですが、
後から一番暗い赤色を共通の色に統一するなどして、色数を節約しています。
(「EDGE」はパレットをいじれば簡単に色を変えられるので、あまり難しく考えずこうした作業が出来て便利です)
ずっと同じドット絵を打ってると色味がおかしくなっていても気づかないものなので、「背景を真っ黒や緑などに変更してもおかしく見えないか」「背景の色を変えた時、色のメリハリがわからなくなったりしないか」を確認すると直すべきポイントが見えてくる時があります。塗り残しやキャラと背景の境目が変に浮いて見える現象も、たいていこれで発見できます。

ちなみに、ドゥルガーの翼は「明るい下地の面積が広く、影の面積が少し」
なので、これまでの説明とは逆に明るい色に影を描き込んで作成しています。

一晩寝かせて、左右反転してみて変でなければ完成です。

こちらも昔解説ページを作ったのでリンクを貼っておきます。
作例は「蒼穹のファフナー」より「ファフナー・ベイバロンモデル」です。
個々のパーツを描くときの注意点などもまとめています。
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○おまけ
メカの質感表現に関する簡単なTipsを置いていきます。

最後に思ったのですが、noteはドット絵がjpegに変換されてしまうのでドット絵メイキングを載せるには向いてないですね。

どっとはらい。

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