アノナツ

懐かしい匂いがして1年経った事を知る
騒がしい蝉の声で深い青に染められていく
川沿い歩きながらスポドリ煽って汗を吹く
気温は三十何度?日陰さえなくて嫌だ、もう

「最近は調子どう?」
「どうだろ?普通かな」
愛想笑いで返事する、そんな元気残ってないけど

8月の記憶はまだ痛いくらい残っている
どうやらそんなことすらも全部全部消えるらしい
走り出す少年たちは昔の僕らによく似ていて
あの子たちもいつの日か全部全部忘れるんだ
夢のように

また眠ってたみたいだ
日差しはとうに南側
休みの日はいつだってこんな感じ
溜息出る
自分勝手な理論を相も変わらず振りかざす
周りなんて見えなくて
いや、見えないふりなだけ

「空回り、気づいてる?」
「そんなの分かってる」
流し読みの空気では理解なんてできないんだ

凪いだ茜色の空 誰かに言い訳をしてる
そんなので許されたらもっとずっと楽なのに
気づけば今日が終わっていく
そんな日々にももう慣れた
明日は今日よりもマシにもっとちゃんとやれるのかな

「最近は調子どう?」
「そうだね、悪いかな」
本音ちょっと吐き出してまた次の日に備えようか

どれだけ星に願ってもあの夏は偶像のまんま
くだらない話で笑う僕らはあの頃のまま

8月の記憶はまだ痛いくらい残っている
どうやらそんなことすらも全部全部消えるらしい
走り出す少年たちは昔の僕らと同じで
あの子たちはいつまでもずっとそのままで

ずっとそのままで ずっとこのままで?
無理だよね

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