Jun Ishikawa

作曲家。 twitter: https://twitter.com/NUJAWAKIS…

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  • 気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事まとめ

    気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事のまとめ

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  • 死女の唄 シビトノウタ 解説集

    2019/8/9 杉並公会堂で初演する石川潤作曲によるホラー連作歌曲「死女の唄 シビトノウタ」 曲の中に封じ込められた霊たちがあなたに愛を囁く。そんな音楽の発想の源や想いなどを色々と書き連ねます。

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気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (13)

「森の女王」ヴァイオリンとピアノのための 2021/06/03歌謡曲的なメロディの作品。調性はEマイナーと考えられる。 ちょっとノリのいい感じと妖精的な不思議なオーラを混ぜた作品で、聞く人を不思議な世界に誘うような、そして魂に訴えるような気持ちで書いた。 自分はユーモラスに魂に打撃を与えるような曲をかきたいと思っている。 なおこの曲はある意味途中で終わっている。今聞くとけっこういい曲だと我ながら思ってしまったので、仕上げたい候補になるかもしれない。 「ド」を叩き続ける衝動

    • 気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (12)

      ちょっと悪そうな音楽 2020/05/04気ままに作曲シリーズの作品。露骨にプロコフィエフピアノ小曲のような音使いが用いられる。 まず引っ剥がすような連続5度でずいずいと行進するように始まり、次に増三和音や半音階を用いた、メジャーだかマイナーだか見分けのつかないユーモラスなメロディが始まり、つぎにベースが半音下がって繰り返しながら展開する。 このあとのメロディの異名同音(同じ音を違う音名で読み替えること)が個人的に面白くできたと思っていて、全く同じ音なのに半音調をずらしても成

      • 気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (11)

        「Soul Songs」 〜 深夜の2時間DTM 2021/3/27深夜の2時間DTM。お題「沈没船をイメージした曲」。 これは昔見たちょっと悲しい夢に由来するストーリーをこめている。船が沈没し子供達の霊が「ハロー」「ハロー」といいながら水面に浮かんでくる夢である。 沈没船ということは状況によっては大勢の人が一斉に亡くなってしまった事態ということでもある。もし死んだ人間の残留思念があるのだとしたら、そこには物凄い思念があり、魂の激流がほとばしっているのであろう。 メジャーとも

        • 気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (10)

          『戸棚の奥で微笑む人形』 2020/06/06大変怪しいタイトルだが、気ままに作曲の6/6に作曲した作品である。 主題メロディを3回変奏しながら繰り返すシンプルな形式である。 こうした音楽の雰囲気は好きなのだが、人によっては「寂しげ」や「諦観」などの感想を抱くこともあると思う。自分は少なくともこの曲については独り言のような曲だと思っている。 同じメロディを繰り返しながらゼクエンツを行うシーン (0:30-) などは、一つの言葉をさながら多角的に思考しているようであり、そこから

        気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (13)

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          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (9)

          素朴な感じのメロディ 2021/01/22気ままに作曲シリーズで作った短いメロディ。2021/01/22作曲。C#マイナー。 曲はシンプルな2部形式だが、どのフレーズの終わりも「レ♯ソ♯レ♯シド♯ー」の旋律が、後ろ髪引かれるようにコード関係なく奏されるのが特徴である。「素朴な感じ」と題されているが、微妙に執念深いかもしれない。 なおこの演奏は自動演奏ではなくキーボードで直接弾いたものの収録となっている。このためリズムに多少癖が生じている。 ケラケラ・ダンス 2021/02/

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (9)

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (8)

          気ままにソナチネ 2020/10/28〜10/302020/10/28〜10/30にかけて作曲。三楽章からなる。 第一楽章はソナタ形式、第二楽章は三部形式、第三楽章はロンド形式からなる。 第一楽章で使用されるソナタ形式とは、第一主題と呼ばれるいわばメインテーマから始まり、そのメインテーマを繰り返す「確保」という過程を通じて、サブテーマである第2主題に到達し(ここまでを提示部という)、その内容をこれまでのメインテーマやサブテーマで自由に即興的に展開する展開部を経て、メインテーマ

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (8)

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (7)

          「りんご・りんご・りんご」 〜 深夜の2時間DTM 2020/9/25深夜の2時間DTM作品。お題は「果物屋さんをイメージした曲」。 のびのびとしたドリア旋法が特徴的な音楽。ファンシーな内容であり、ファンタジー洋画などの楽しい果物のシーンをイメージして作曲した。 編成は弦楽オーケストラと、鉄琴と打楽器、そしてアコーディオンである。ドリア旋法は、現代の調性でいえばFメジャーとaマイナーを混ぜ合わせたような響きを作ることができる。前半はFメジャー寄りの明るい曲調だが、後半はaマイ

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (7)

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (6)

          とてもちいさなちょうちょもともと深夜の2時間DTMの「蝶をイメージした曲」で作った曲だったが、同時にちょうちょのかわいいアレンジを作ってみたい!というので作った曲。 この辺のアレンジの仕方は、のちの石川のArtworkとなる「レトロクラシカ」に通じる、別の世界線ではこういう曲だったのでは・・・みたいな「転生アレンジ」とでも言えるような手法がある。 原曲はアレンジ元というよりもライトモティーフ的な扱いであり、音程関係や和声はあまり忠実ではない。多少旋法的に変換されている。そして

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (6)

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (5)

          洗脳地下鉄 (2017)「洗脳地下鉄(センノウチカテツ)」という言葉のゴロが何か面白い、という動機で作った音楽。 スティーブ・ライヒはミニマル・ミュージックをさらに発展的に作る際に、言語や実際の音の一部からメロディを取り出して音を生成・発展していく手法を用いている。代表的なのは「ディファレントトレインズ」であろう。 こうした、楽器音と実際の録音の境目が曖昧な状態は電子音楽ならではの浮遊感でもあり、「洗脳地下鉄」でもギャグ調ではあるが汎用している。 下記のプロセスが観察できる

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (5)

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (4)

          「海辺の峠にて」 〜 深夜の2時間DTM 2020/6/12深夜の2時間DTMで作曲した作品。お題は「夜風をイメージした曲」 マイナーペンタトニックのアルペジオをベースに、徐々にその中の構成音が変化することで、風の流れを表現する。そのやり方は非常にクラシック的な構成法とも言え、バッハの前奏曲やベートーヴェンのソナタ第17番「テンペスト」3楽章などと類似しているであろう。 「雲気分」 〜 深夜の2時間DTM 2020/6/15深夜の2時間DTM作品。お題は「ふわふわ浮いたよう

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (4)

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (3)

          「Telepath-Talk」〜 深夜の2時間DTM 2020/05/18深夜の2時間DTMというツイッターのイベントで投稿した作品。これは午後9時にお題が出され、10〜12時の間に作曲し、12時以降作品発表するという絵で言えばワンドロ(1時間ドローイング)のような企画である。 これはその初挑戦となる作品である。お題は「電話をイメージした曲」。 「電話」のボタン感のする調性不明のサウンドから始まり、電波が行き来するかのようなドラムとベースが追加され、「ドレミ」とつぶやくサウ

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (3)

          【解説】Machina-01「ニンゲンを微笑うバグのうた」

          「バグ」とはこの世の秩序の裏側に存在する虫のような存在で、霊的な言い回しをするならば「精霊」である。バグは、人類が歴史から学ぶどころか執念に囚われ、無用な争いを避けようともせずにバランスを壊していくような体たらくを悲しく笑っている。 それは例えばインターネット上に頻発する終わりなき不毛な争いのことかもしれないし、あるいはいま現在起きている争いかもしれない。人は争いを行うときに己を正当化するためか何かの大義名分を信じるが、それは結局自分たちニンゲンだけの都合に過ぎなかったりする

          【解説】Machina-01「ニンゲンを微笑うバグのうた」

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (2)

          クラスターとの濃厚接触を控えるヴァイオリン・ソナタ前回の「クラスター」とよばれる音楽技法のネタ。見たままの作品で、ピアノがクラスター和音をガンガン弾きながら、そこに距離をおくようにヴァイオリンが奏される。 実際このテンポで肘で奏したら肘を痛めそうな気がする。 1722RT いただいたので 1722音の音楽を作りましたいわゆる絵師の間で「RTごとに身長が伸びる」のように、リツイートの数に応じて無茶振りになっていく企画が流行していた。そこにあやかって作曲でやってみようと思ったの

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (2)

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (1)

          自分の活動について、ほとんどツイッター限定で動いていたが、もう少し広く展開したいなと思ってYoutubeを始めた。殆どの場合Twitterで投稿した作品は後先考えずに「気ままに」書いたものばかりだが、時期を置いて自ら再分析することでなにか発見があるかもしれない、という期待を込めてしたためる。また、これまでほとんど語ることのなかったネタ作品なども解説していきたい。 左手の"変異"が止まらない人のための練習曲2019年11月4日投稿。 元ネタのひとつは、ホラーゲームであるバイオ

          気ままに作曲からネタ作曲まで自作を語る記事 (1)

          ソナチネ “むげん” について

          2021/10/15に発表した「ソナチネ“むげん”」…この作品は中学生時代に構想したものを完成させた音楽であるが、自分の作曲家としての生き方を再考するにあたりこの作品の完成を必要であるように感じた。 よってこの作品はこれからの自分のために作った作品である。何かの礎とはなってくれるであろう期待を込めて作った音楽だ。 そもそも、ソナチネとは?まず、「ソナチネ」という概念を説明したい。 (理解してる人は次章に読み飛ばして構わない。細かいことに特に興味ない場合も読み飛ばしても構わな

          ソナチネ “むげん” について

          アンゲルス・エクス・マキナ 解説&テキスト

          アンゲルス・エクス・マキナとはラテン語で「機械仕掛けの天使」の意味である。ヴォコーダーによって命を与えられた電脳歌手である「Machina-01」の名前がデウス・エクス・マキナ(Deus Ex Machina)だが、それが天使(Angelus)となっている。 「世界の終わりを夢見ること」は中二病の一つとされるが、それはしばしば日常の閉塞感からの脱出を夢見る心理の一つだと思う。同様にして現代2021年の閉塞感にみちた状態では、どうしてもある種の「死」すなわち社会の機能の停止が頭

          アンゲルス・エクス・マキナ 解説&テキスト