眠れない夜
先日、逆再生サークルを卒業しました。
逆再生サークルで過ごした4年間は大変実りのあるもので、きっと一生忘れることのない思い出となる、はずでした。
逆サーメンバーで集まった最後の日。
3月15日のことでした。
おしりがかゆくて少し遅刻してしまいました、なんていつも通りの言い訳で遅刻して。
それをいつもなら笑ってくれるはずだったのに。
逆サーメンバーの顔が、緑色になっていました。
一体どうしたんだ!と叫んだのもつかの間。
ちこくちこく〜!!と言いながら緑色の顔をしたわたしが後ろからやってきたのです。
緑色の顔をしたわたしは、綺麗でした。
悔しいぐらいに綺麗で、わたしなのに。
わたしなのに悔しいぐらい綺麗だから、文句のひとつも言ってやれやしないで。
そのまま緑色の顔をした逆サーメンバーは夜の闇へと消えていきました。
そこに立ち尽くすわたし。
今年で38になります。
子育てと両立しながら逆サーで過ごした日々。
その思い出に、緑色の精子をぶちまけられた気分でした。
緑色のわたしは、37に見えた。
この年代の1歳って、すごく大きいんです。
だから、すごく綺麗に思えたんです。
そんな綺麗なわたしを反芻しながら、YouTubeを開きました。
慣れた手つきで逆サーのプレイリストを開く。
勿論、わたしたちの4年間で一番の作品、逆再生バーベキューを観るのです。
燃え盛る炎の中から、新鮮なピーマンが飛び出して、笑う。
燃え盛る炎の中から、捌きたての豚肉が飛び出して、笑う。
ふざけて入れた雑草が、新品のマシュマロが、ダウンジャケットが、
燃え盛る炎の中から、
飛び出して。
気づけば、涙を流していました。
どうしてわたしは37じゃないの?
どうしてわたしは緑色じゃないの?
どうして、わたしは、
どうして、わたしは、
どうして、
どうして、
こんなに、順再生なの。
わたしが、わたしが、
逆再生だったら、
来年は37なのに。
どうしてわたしは、
どうして、、
思えば、生まれた時から順再生だったんです。
安易にお母さんの子宮から飛び出して。
順再生の人生を送ってきました。
みんなに会うまでは気づかなかった。
わたしって、こんなに順再生で、
日に日に醜くなっていくわたしが怖くて、
でも、それでも、
逆再生のみんなと過ごした日々は本物だと思ってた。
わたしにかけてくれた、あの言葉。
「逆再生の逆再生は順再生だからさ、お前も逆再生だよ」
本物だと思ってた。
全部が、全部が、
偽物だったってこと?
みんな心の中では順再生のわたしを嘲笑ってたんだ。
あーそっか。
わたしって、本当にみじめで、醜くて、順再生で、
順再生で、、、
逆再生のみんなと出会えたこと、わたしは忘れない。
でも、わたしは順再生。
順再生の世界で生きていく。
でもね、でもね、ちょっとだけ。
今夜ぐらいは。
朝に眠って夜に起きてみてもいいかな。
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