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庶民の味方 阪神スナックパーク

じわり、じわりと建て替えが進む大阪は阪神百貨店。年始からの長期出張で何度かお世話になったのがスナックパークである。

阪神スナックパークはよくあるスーパーのフードコートを思い浮かべて貰えば良い。違うのは大阪や関西ならではの店舗がほとんどであること、いらちの大阪人向けなのかほぼ全てのメニューが数分で出てくること、そしてなんと言っても安くて美味いことである。

一番有名なのは阪神名物いか焼きだろう。ご存知ない方のために説明すると、もっちりした生地にいかのゲソが少し入っている、シンプルな粉もんだ。もちろんソースで食べる。ゲソは決してたっぷりじゃないのがミソで、食べるたびにバランスという言葉を一緒に噛みしめる。名物とあってお客がひっきりなしにやってくるから店の人の手際もすごい。1つしかレジがないのにどんどんさばいていく(が、それと同じぐらいのスピードで列も長くなる)。551の蓬莱もだが、働いている人の見事な手際を見るのは、とても楽しい。

もう少しボリュームを求めるのであればたこ焼きの元になったというちょぼ焼きもおすすめで、こちらはイカ焼きよりもう少し生地があつい。が、その分イカはない。タコも入っていない。コンニャクとねぎ、紅生姜にソースが基本。どちらかというとふわっとした生地で、ここでもいか焼きとは一線を画す。ボリュームを求める人のためにチーズ入りもあれば、変化を求める人のために毎月変わり種も出してくる。2019年7月は「餃子」と銘打たれていたが、チャレンジできないまま東京に帰ってきてしまったのは無念であった。

いか焼きも、ちょぼ焼きも、1枚200円しない。駅前一等地のデパ地下で、全店立ち食いフードコート最安200円以下、ワンコインあれば腹八分目など世界を探してもここぐらいではなかろうか。アルコールも販売されているので、せんべろ勢の味方でもある。

思えば駅が変わりゆく中で地下にあった立ち飲み屋の類が姿を消して随分経つ。阪神百貨店自体も、ファンド問題のごたごたから阪急と組むことになっておしゃれ路線に鞍替えしてしまうのかと思われた。ところがどっこい、久々に訪ねてみれば装いは綺麗になっても魂は庶民のそれそのままで、随分ほっとしたものだ。

ノスタルジーとそれ以上のパフォーマンスで装いも新たに頑張っているスナックパーク。末長く愛したいと思う。



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