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冒険は続いていく

昨晩ついにアドベンチャー・タイム(以下ATとする)の最終話の邦訳が放送された。うまく言語化できない思いがいっぱいあるのだが、黙っていることも難しいのでちょっとだけ感想を書いてみる。ちょっと?うーん長くなりそうだが。

とても良い最終回だった。平凡な感想だがそれに尽きる。今後も作品を見直したくなる良い最終回。

ATは一部しか知らない人には衝撃的な作品だと思われていることが多いし、通して見ている人にとってもぶっ飛んだ作品だ。しかしシリーズが続いていくと大陸や主人公の過去、キャラクターたちの関係性が明かされ、ただの不思議な作品ではなくなっていく(シーズン4の後半あたりからシリアス色が濃くなる印象)。何百年と姿を変えぬまま生きる者たちに囲まれながらも人の子である主人公は成長をしていく。おとぎ話では大人になるとやがて見えなくなる世界が描かれることが多いため、ATもその一種になるのかと思っていた。しかし……?

ATの最終回は今まで描かれてきた世界の1000年後から始まる。フィンとジェイクに雰囲気のよく似た若者たちが、土に埋まった遺物(かつてフィンのつけていた義手)を見つけ、真相を知るためにウーの王(1000年後も生きているBMO)を訪ねる。そこで過去の話として物語の結末が語られるのである。その内容は話しだすとキリがないので省くとして、好きだった点をふたつ。

ひとつめ:作中最後に登場するとても強いボス"グロブ"は無秩序の化身であった。それに対抗する力として主人公サイドが使った手段が歌。無秩序に対抗し得る勢力は調和が必要な音楽だというのだ。重要なシーンは常に歌とともにあったATという作品において、その解釈はとても素敵に感じられた。

ふたつめ:若者たちにフィンとジェイクの結末を尋ねられたBMOは「最後まで自分の人生を生きたよ」と答える。何度も世界の危機を救った彼らの最期は劇的ではないが、それぞれの人生を全うしていったことが伝わってじんわりときた。1000年もの年月を経たBMOはフィンの名前も曖昧になり、彼らの活躍は大陸のほとんどの者たちが知らないが、テレビの前の私達にはしっかりと冒険譚が残っていて……彼らは心の中に生きている……。

お話の最後、1000年後の若者たち(シャーミーとベス)はフィンにまつわる剣を見つける。ベスに促されたシャーミーが剣を無邪気に掲げるのだ、フィンがOPでしていたように。そして、冒険は続いていく。

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約10年もの間作品をつくってくださったCNの皆様、物語の最後まで翻訳と放送をしてくださった日本CN、キャストの皆様、本当にありがとうございました。(最終話のPBとマーセリンのキスは各国の放送でカットされることも多かったと聞きますが、ノーカットで届けていただき大変感謝しております。)アドベンチャー・タイムという作品に出会えて良かった!

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