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ボウリング オートスコアラー大研究 ②QubicaAMF 2023年版

はじめに

このシリーズでは、ボウリング場にある自動点数計算装置「オートスコアラー」について、2023年現在日本で稼働している4つのメーカー、Brunswick・QubicaAMF・NTTデータルウィーブ(旧ジェトロニクス・Olibetti)・SLS(テレシステムズ含む)の別に説明をしていきます。

QubicaAMFとは

QubicaAMF(キュービカAMF)は、その名の通りQubicaという会社とAMFという会社が2005年に合併した会社です。

Qubicaは1993年にイタリアで創業した比較的新しい会社。当初からのボウリング関連メーカーでしたが、創業後すぐに急成長しました。

一方AMFは、Brunswickと並ぶボウリングの老舗メーカーで、創業は1900年。American Machine and Foundryの略で、その名の通りアメリカのメーカーでした。ボウリング以外も色々な事業を展開しています。

AMFはBrunswick同様、日本ボウリングの最盛期である1970年代は、Brunswickと並んで日本企業と合弁で日本法人を作っていました。また日本語版のオートスコアラーについては、テレシステムズからの供給・OEMを受けていました。2006年ごろまでのAMFブランドのオートスコアラーの基本システムは現在のSLSに受け継がれているため、説明はSLSの項目でします。

しかしAMFの業績が悪化したところで、2005年にQubicaがAMFを買収するような形に。創業10年近くの企業が100年企業を吸収しました。
これ以降、オートスコアラーも日本語版はあるもののグローバルな仕様となり、基本から大きく変わりました。現在、日本ではABS アメリカンボウリングサービスが販売代理店となりシステムを導入しています。


なお、イタリアの旧Qubicaが本社となったため、オートスコアラーでの小数点表示は、日本や米国流の「.」ではなく、欧州流の「,」となっています。

シェア

筆者が投げたことのある121のボウリング場のうち、27場で導入されており、シェアは22%となっています。

特徴

QubicaAMFのオートスコアラーがテレシステムズから分かれてからそれほど経っていないこともありますが、Qubicaの特徴は、その始まりから現在まで常に要素が追加されていく、上位互換になっていっているということです。

また、スコアシートのレイアウト・デザインは初期から現在に至るまで変わっていません。

Type1

この最初期のバージョンから、1つのオートスコアラーソフトに多数のギミックが搭載されているのがQubica AMFです。

総合的なアニメーションのClassic、海がテーマのOceano、アメリカンイラストのVintage、それにPBA Tourなどといった、様々なテーマが搭載されています。
さらにそのテーマの中で、例えばストライク一つにも数種類ずつのアニメーションが搭載されているので、1つのテーマで100程度のアニメーションがそれぞれ見ることができます。

このテーマの選択は、あらかじめボウリング場で決めて固定になっているところが多く、全レーンが同じテーマというところ、レーンによっていくつかのテーマを使い分けるところがあります。

ただ、川崎グランドボウルでは、客層によってテーマを使い分けるということをしています。受付時にセットすることも可能なようです。

また、稲沢グランドボウルでは客側がテーマを選べるようになっていて、そのような設定も可能なようです。

さらに、Brunswickには搭載されていない、フレーム後の抽選機能も搭載されています。ここではマッチョマンが力で当選を狙うという、まさにこれもアメリカっぽいもの。出現条件はストライクというところもあれば、特定フレームで7本以上という設定もあるので色々変えられるようです。

Type2

Type2もType1と内容はほとんど変わっていませんが、画面がハイビジョン対応になっています。ハイビジョンになっても、オリジナルのものがストライク等の演出含めてアップグレードされた形です。

このType2までは、操作盤に多くのバリエーションがあります。

楕円型のキーボード式、長方形のキーボード式。液晶タッチボタン、そして押せるところだけのキーが光る最新式です。
なので、1つのオートスコアラーでもかなりの通りのバリエーションがあることになって、そこまではさすがに追いきれませんでした。

BES X

QubicaAMFの最新機種がBES Xです。そのType2の頃の機種をBESというらしく、それの発展形ということになります。

BES Xになると、操作は完全にタッチパネルとなります。

このBES X、スコアデザインの変更をロックしているボウリング場もありますが、基本的には変更機能をボウラー側が操作できます。そしてその搭載数がものすごい!

まず、Type1・2で使用されているスコアデザインを、任意で選ぶことができます。それだけでも凄いのですが、写真を読み込んでそれを表示させる「セルフィーグリッド」という機能、海外で流行しそうなものですがそういうのもあります。

そしてオススメは「Bowling Plus」という機能です。この機能を使っていると、進行に応じてこのような文章が表示され、音声はないのですがさながら実況モードです。もちろん他社のオートスコアラーにない機能ですし、これはぜひ一度体感していただきたいところ。
ただ中々オートスコアラーの設定をいじるまでやる方が少ないんですよね。

そして、BES Xにはスコア表示だけに関わらず、ピンデッキ側にも機能を仕込むことができます。このように、ピンデッキにLEDを設置し、また状況に応じて色を変えることができます。

ドリームスタジアム太田・平和島スターレーンでは、不使用レーンを七色に光らせています。
名古屋グランドボウルでは、使用レーン(ハウスボウラーのみ)が七色に光っていて、ストライクやスプリットなどが発生すると色の演出を入れるというやり方で使用しています。

飲食注文にも対応しているので、最近レーンでの飲食可能なのを売りにしているボウリング場はBES Xにしている比率が高いように思っています。多機能に生かせるところが、これからの伸長にもつながっていきそうですね。



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