詩:反骨々格

外骨格、と言って、
おれ、マジ、はんこつしんしかないから、
と、若い男たちが地べたをずらずら、
している。
酒に飲まれて?
ぴくぴくと横たわっている者もいる。
すえた空気をマスクごしに吸い込む、
人だかりの駅です。

こころ、に隆起したポリープに、
ときどきは星あかりなどと言う、
あなたたちが好きだよ。
ここは楽しいキャンプ場です。
ごちゃり、わたしの心が酔狂しています。
前世紀のレスラーが、
赤いブルマーの内骨格が、空を駆けている、
人だかりの駅です。
彼らはジビエ狩りに出かけるのだ、
電車に乗って。
 
肩に重たく、スーツびとの頭を感じる。
地点、と地点のあいだが、ぞわりと暗い。
この重たく鼻をつスーツも、
子供の頃は、
夏のじりじりと黒い外骨格を狙っていた、
のかもしれないし、
蝉のふいごが、夏の連結部、が鳴く、
田舎の涼しい縁側で、
ゲームウォッチに夢中だったかもしれない。

外骨格が這っている。
指でちょろ、と触ってつまんで、
ん、と潰してみたい。
指に、
体液、や、
剃ったあとの、かたい髭みたいな足、や、
飴玉のビニールのような質、が、
ねば、ちり、と貼り付くだろう。
どうせ、すぐに石鹸で洗うのだ、と思い、
草のはえてないづらに放った。
雲のてっぺんから放られたようなていで、
少しじっとしたあと、そのあとは知らない。

彼らは肩に銃をかけて、
電車に乗っていた。
 地点、と地点のあいだはいつも似ている。
ニュースサイトに、
シン・なんとか、が
何々でしかない、が、
発電所が爆発しました、が、
ときどき止まる駅、が、地点に、
少し似ている。
マジはんこつしんは、マジなんこつしんを、
はざま、に放りたいかもしれない。
わたしもマジ放られたい。
地点、と地点のあいだの、
昼であれ太陽の届かない、
夜であれ星あかりの届かない、はざまへ。
電車のなかは、内骨格のゆきどまりです。

どうせ、すぐに石鹸で洗うのだから、
ちょろ、とつまんで潰して
ごわごわの毛髪や脂まじりの、
内臓も、石鹸で洗うのだから、
ちゅ、と放る、られる、だけだ。
ゼロの地点に放られて、
そのあとは何度爆発しても、
数兆のうち、いくつかの奇跡が重なる、
としても、それがたとえものすごく、
似ていたとしても、
この窓を流れるはざま、とは違うのだから、
そのあとは知らない。

緩慢と人が減ったり増えたりする。
電車の外骨格をこするのは、
春のうららかなはざまです。
羨ましいほどの身投げです。

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