錆びた顔

わたしは以前、日本基督教団の靖国・天皇制問題小委員会に所属する委員だった。当時わたしは地方で牧会していたが、委員会のため年に二度ほど空路で東京に通った。あるとき途中下車した秋葉原は通り魔事件の翌日で、大量の献花やゲームソフトの供え物が積まれていた。道路はすでに掃除されており、ここで前日壮絶な殺人事件が起こったとは、どう考えても想像不可能だった。帰りの空港ではテレビ画面にメッセージが出ていた。「被害者のなかに肝炎の方がおられました。手当をされた方はお申し出ください」。大量の血が流されたことを物語っていた。

靖国・天皇制問題小委員会では、フィールドワークで靖国神社にも行った。わたしは委員を二期務めたので、二度行った。いずれも平日で、境内は閑散としていた。8月15日ならどんな感じだろうかと、ずっと気になっていた。そこで昨日、意を決して見に行った。

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