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物書き。アートに関するブログもやってます。http://artinspirations.hatenablog.com/ twitterもフォロー大歓迎です(^^)

仕事のパートナーも、心のパートナーも、人生のパートナーも、この世界の絆は、本当はもっとゆるやかなものなんじゃないだろうか。男女とか夫婦とか、枠にとらわれず、ただ点々をつなぐ線だけがあって、その線に種類なんて概念はない。ただ、ひとを大事にして、自由に生きていきたい。それだけ。

残像のゆくえ(2/2)

中学を卒業すると、村を出て町の進学校へ通った。高校を出てからは、さらに都心にある大学へ進学した。就職を機に上京し、いつしか村へはほとんど帰らなくなった。
大人になるにつれ、残像たちとの距離も次第に離れていった。
満員電車の中で窮屈そうに変形しているものや、スクランブル交差点の途中で立ち尽くしているものもいたが、残像たちに気を配るには、東京はあまりにも生身の人間が多すぎた。
一度も交流したことはない

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残像のゆくえ (1/2)

幼い頃、私は生き物の残した残滓が見えた。
たとえば、ふと宙を見上げると、鳥が飛んでいった跡が飛行機雲のように見えたり、切られてしまった大木の切り株の口を、名残惜しそうに取り巻いているのを目にした。よく動き回る犬などを見ていると、実像が掴みにくくなるほど、残滓がそこらじゅうに散って見えた。
人は、とりわけ濃い残滓を残す生き物だった。
人が去って間もない残滓は、ほとんど人のかたちを留めたまま残っていて

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図書館で借りた古い書籍に、ふと、小さな羽虫が挟まってぺったんこになっているのを発見した。
いつ虫が入り込んだのか不明だけど、この虫が今後、この本が存在する限りずっとこのページに貼り付いている可能性もあるわけで。
「本のなかで化石化する羽虫」って何だかロマン。
本は時を超えていく。

街を「美術化」する

通勤途中の道は、田舎育ちの私にはひどく都会的で、いつになっても慣れない。
似たような服装をしたビジネスパーソンたちが、ビルが立ち並ぶオフィス街の方角へ、早足で闊歩しながら進んでいく。
広い通路はスーツや色の濃いコートで埋め尽くされ、まるで黒い運河が流れていくよう。
その流れに、当の私もあれよあれよと組み込まれていくのだが、キャリアウーマン然としてコツコツと足音を響かせながらも、自分が街という巨大な

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