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嘘と笑顔

忘れたくないことを
忘れてしまいそうで
わたしの代わりに覚えていてくれませんか。

3年半ぶりに再会したホストファミリー。
「おみやげ買うっしょ?」
「うん、車出せる?」
「もちのろん~行こか」

まさかのホストシスターが免許を持っているとは。
少しドキドキしながら助手席でお店へ。

なぜ彼女がレジにいるんだ?
単にお店の人と話すためではないだろう。
財布を取り出す彼女・・・つまりは私のためのおみやげか?
なぁに、前回は「欲しいもの言って、買ってあげるから」だったのに。
サプライズしたいのか~優しい心の持ち主だな。

わたしの会計後、なんとか袋を隠しながら歩くホストシスター。
「なんか買ったの?」
「お?何も買ってないよ」
「お~ん、そっか」
「うん(逃げ切れたという表情)」
「(笑)ごめんさっきレジで会計してるの見たんだよ」
「おい~笑 なんだよ~騙したのか~!?」
「違うよ~でも何買ったか聞かないからさ、待ってるよ」
「うん・・・笑」

おそらく3年半前は、こんな会話すらホストシスターとできなかった。
自分から話しかけるなどなかったはずだ。
会話のあとのお互いの笑い声に、密かに喜んだ。
しっかり会話ができた証だ。

この小さな喜びもいつか忘れてしまう。
この小さな積み重ねが自信になって今の自分になることも忘れてしまう。
この小さな喜びを与える側になればもっと忘れてしまうのであろう。
それがいつか苦しみになることも知らずに。

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