留学先での生活が徐々に色味を増していく。

あと半年もあると思っていたのに、
2か月後には12時間の飛行機に乗っているなんて信じられない。

アルバイト先での退職の手続きを少しずつ進め、
大家さんとTHE形式的な別れ話をして、
全てをリセットしていく。

自分の中の日本が薄れていく感覚。

このどんよりとした雲のように、
グレーで時々薄い青。

君と毎週ランチルームで話した内容も忘れていく。

もはやもう忘れている。

なのにどうして、いまだに好きだという感情を持っているのだろう。

そしてどうして君を思うときに感じられる色は
毎日濃くなっていくのだろう。

君色は純粋な青から群れになった青に変化する。

「留学前には推し全員とお別れをしないと」と
毎週どこかのイベントに行っている。

コンサート、握手会、ミュージカル。
神戸、東京、愛知、千葉。

ウォークマンのプレイリストはいつも推したちの音楽。

声優がどうしてこんなにも上手に歌を歌うのだろう。

最近のお気に入りは「三月と群青」。

三月でもないのに、ひたすら聞いている。

自分にとっての別れの季節が近づいているからだろうか。

彼との関係性を動かすべきかずっと悩んでいる。

もうすぐライブで聴けるのか・・・。

きっと泣いちゃうだろうな。

中央線に揺られながら
青いウォークマンのリピートボタンを押した。